訪問終了にあたっての声明

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1月26日、IMF(国際通貨基金)は日本訪問後の声明を出しました。なかなか興味深い内容なので、
とくに金融政策に関する内容をまとめておきます。
 
以下、声明の位置付けなどをIMF資料から引用して※以下に示しておきます。
 
※「訪問終了にあたっての声明」は、国際通貨基金(IMF)職員による公式訪問(大半の場合は対加盟国)の終了に伴い発表されるもので、職員による初期評価を示すものである。IMF訪問団の派遣は、国際通貨基金協定第4条に基づき定期的に(通常は年1回)行われる協議の一環として、また、IMF資金の利用(IMFからの借り入れ)の要請に関連して、あるいは、スタッフ・モニタリング・プログラムの協議のため、さらには、職員によるその他の経済情勢モニタリングの一環として行われる(引用)。
 
 

ある意味、客観的に(?)あるいは世界的な視野からみた金融政策の是非などはなかなか得られないと思われるので、このIMFによる声明は非常に基調な意見であると思います。

※もしかすると何らかのバイアスがあるのかもしれない点、完全に否定できるものではありません。

 

【金融政策について】

 

■金融政策の現状認織について

 

緩和的な金融政策スタンスが引き続き適切であるが、2%の物価目標を持続的に達成するために、

生産性と実質賃金を改善する政策を含むその他の政策によってそれを支える必要がある。

 

しかしながら、ベースラインの物価見通しは非常に大きな不確実性を伴っており、リスクは上方に傾いている。

 

物価の上振れリスクとしては、為替レート下落の影響が遅れて表れることや国境再開、輸入インフレの二次的影響、財政支援策、予想を上回る賃金の伸びなどがある。

 

さらに、日本のインフレ期待は主として後ろ向きであるため、ひとたび高インフレが発生するとそれが長期化しかねない。

 

下振れリスクは、主にインフレ期待の硬直性労働市場の構造的要因による弱い賃金上昇の長期化と相まった世界経済の減速に起因する。

 

加えて、日本銀行はこの数か月間に大量の国債を買い入れ、現在では5年物・10年物国債の発行残高の70%近くを保有するに至っている。

 

こうした買入れによって、日本国債市場の流動性が低下するとともに、イールドカーブに歪みが生じており、市場調査は債券市場機能が急激に低下していることを示している

 

こうした状況の下、日本銀行は12月の金融政策決定会合において、イールドカーブ・コントロール(YCC) の枠組みの修正を行った。

 

■IMFの提案

 

したがって、既に述べたように、物価に関する双方向のリスクを踏まえると、長期金利の一層の柔軟化は、将来の急激な金融政策の変更を回避するのに役立つだろう。

 

これは、物価に関するリスクへの対応を改善するとともに、長期化する融緩和の副作用に対処することにも資するであろう。

 

同時に、将来政策金利を徐々に変更する際の前提条件について明確なガイダンスを提供することは、市場の期待を安定化させ、物価目標達成に向けた日本銀行のコミットメントの信頼性を高めることに資するであろう。 金融政策の設定の変更について十分なコミュニケーションを行うことで、円滑な移行の促進と金融安定の維持がもたらされるであろう。

 

こうした状況において、日本銀行は長期金利の更なる柔軟性と上昇を許容するために、10年物金利の変動幅の拡大かつ/または10年物金利の目標水準の引き上げ、金利目標の年限の短期化、あるいは国債金利目標から国債買入れの量的目標への移行といった選択肢を検討し得るだろう。

 

■懸念点を含む議論

 

1) 各戦略のメリットとデメリットに関する検討

日本銀行は、各戦略のメリットとデメリットを慎重に見極める必要がある。 例えば、10年物金利の目標水準の上下の変動幅の拡大は、現行のYCCの枠組みの微調整を伴うが、市場原理が主導的な役割を果たすことができるような十分大きな変動幅とすることが求められる。

 

他方で、量ベースのアプローチに移行すれば、特定の金利水準を維持する必要性やそれに伴う副作用を伴うことはないが、日本銀行による国債買入れの量は状態に依存して決定され、金利の上昇が急速過ぎる場合には調整が必要になるだろう。

 

最後に、金利目標の年限短期化は、2%の物価目標が持続的に達成されるまでの間、(実体経済活動にとってより重要な)短期金利を引き続き低い水準に維持することに資すると考えられるが、日本銀行は特定の金利水準を目標とする場合と同様の高コストな副作用に直面する可能性がある。

 

さらに、重大なインフレ上振れリスクが現実化するシナリオにおいては、より一層強力に金融緩和の撤回を進めなければならず、物価上昇率を2%の目標水準まで押し下げて安定させるためには、より早期に中立的な金利水準を超える水準へと短期金利を引き上げることが必要となり得る。

 

2)為替相場介入に関する条件の明確化

2022年の間に、円の大幅な変動を引き金に、当局は外国為替市場に介入した。

 

2022年3月以降の円の減価は主に金利差を反映したものだが、実証分析によると、6月以降においては、為替レートは、根底にある変動要因に示唆される以上に減価していたことが示されている。一般的に、為替介入は、過度な変動を抑え、円の変動のペースをファンダメンタルズや十分に機能する市場とより一致させるのに役立ち得るが、その効果はおそらく一時的なものである。

 

原則として、為替レートの変動は、ショックの吸収に役立つ。従って、為替介入の実施は、無秩序な市場環境、急激な円の変動による金融安定に対するリスク、通貨の変動がインフレ期待を不安定化させ得る懸念があるといった、特殊な状況下に限定されるべきである。


※年に1度、IMFは各国の経済担当へのインタビューを通して、全般的な経済・金融戦略を評価しているようです。
 
現状を追認しつつ、市場とのコミュニケーションの必要性、金利政策の柔軟性、また戦略上のメリットデメリット等に関する詳細な検討など、何点か具体的に提案をしているようです。
 
確かに、こういう条件になればこうした方針を転換する等々、したたかな戦略に基づく市場との対話は必要だと思います。
 
 
ご健康に、ご安全に!
 
※本日の参照サイト
 
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