Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評- -33ページ目

Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

イーグルドライバーの観た映像作品について、あれこれ書いて行きます。
主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『わたしを離さないで』(原題:Never Let Me Go /2010年イギリス、アメリカ/105分)

監督:マーク・ロマネク

脚本:アレックス・ガーランド

原作:カズオ・イシグロ

製作:アンドリュー・マクドナルド、アロン・ライヒ

製作総指揮:アレックス・ガーランド、カズオ・イシグロ、テッサ・ロス

音楽:レイチェル・ポートマン

撮影:アダム・キンメル

編集:バーニー・ピリング

出演者:キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイ、シャーロット・ランプリング、サリー・ホーキンスら

100点満点中79点


Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

 クローン技術によって“オリジナル”のコピー人間をドナーとした、官制による臓器産業(売買)が当たり前となった異世界のイギリスを舞台とした社会派の作品。

 これに加え、少年期~青年期に渡る男女の嫉妬と恋慕を絡めた人間模様を描いたヒューマン作品でもあります。


Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

 1960年代後半から70年代に掛けて画期的な医療技術の開発と国策により、平均寿命が100歳を超えた近過去・平行世界(架空)のイギリスでは、寄宿学校に似たドナー育成施設があり、物心が付いたクローンの男女はここに収容され、適合する“オリジナル”に臓器移植が必要になるまで、この制度に従順に従うドナーとして育てられます。この社会では、ドナーとして育てられたクローン人間には基本的人権は全く無く、この施設を預かる教師たちによって...

 柔らかいが、徹底した洗脳を施され、幼い頃から自分の臓器は適合する大人に提供されるべきものだと教え込まれ、20代前半でその命を閉じることを覚悟している少年少女達がこの施設にはいるのです。』


 こう書くと、最初から陰惨なシーンの連続で見せるホラー作品のような印象を持たれるかもしれませんが、そうではありません。


 序盤は可愛らしい少年少女が、イギリスの田舎の牧歌的な風景の中で、素朴な寄宿舎生活を送っているほのぼのとした雰囲気で始まります。中盤は、あの『小さな恋のメロディ』を彷彿とさせるような幼い恋愛が交差する切ない展開があり、終盤では、実際に臓器を摘出され弱って行く青年の姿や臓器摘出直後に手術室で死亡する若い女性の残酷な様子が描かれます。

 前半の穏やかな流れから、徐々に陰惨な場面に移っていくので、実際の演出は激しくはないのに、胸にグサッと来る心的な重苦しさや不条理感が強く残ります。


Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

 原作は、長崎市出身で、イギリス国籍のカズオ・イシグロの同名小説です。彼は1960年、5歳の時に海洋学者の父親が北海で油田開発前調査をすることになり、一家でサリー州・ギルドフォードに移住しました。1978年にケント大学英文学科、1980年にはイースト・アングリア大学大学院創作学科を卒業しました。本人はほとんど日本語を話せないそうです。


Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

 主演のキャリー・マリガンは介護人「キャシー」を演じます。この役はクローンドナーですが、自己申告により数年間を介護人の仕事をしながら自分の臓器提供までの期間を過ごす役です。少女期は同じクローンの少年少女と共に寄宿舎で育ちます。


Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

 同じ寄宿生「トミー」は、最近「アメージング・スパイダーマン」で主演したアンドリュー・ガーフィールドが演じます。この役は、他の男の子からいじめを受けやすい、精神的に繊細で傷つきやすい男の子です。彼のイメージにぴったりの役です。


Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

 また同じ寄宿生「ルース」は、キーラ・ナイトレイが演じます。この役は相思相愛の少女「キャシー」と少年「トミー」に嫉妬し、色仕掛けで二人の仲を裂く寂しがり屋な女性です。これも彼女にぴったりな役ですね。


(あらすじ)

 介護人「キャシー」は手術室隣の研修室で担当のドナー「トミー」の臓器摘出手術を見守っている。

 

 そして・・・自分の少女期に思いを馳せる。


 彼女は寄宿生であった。そして・・・最愛の「トミー」も・・・親友「ルース」もまた、同じ寄宿学校の生徒であった。

 ここイギリスでは、1960年代後期に画期的な医療技術と医療政策が確立され、その後の10年で平均寿命が100年を超える社会となっている。

 それは、臓器提供を前提としたクローン人間の育成が国家事業として行われ、いくつかの施設で、このクローン人間が大量に養育されていたからであった。

 彼らドナーは、専任の教師によって行われる徹底的な洗脳教育によって自我を封じ込められ、従順な性格で自主性が全く無い人格に育てられる。つまり、自分の体は自分のものでなく、将来自分が成人したあかつきには、この体は他人に譲り渡すものであって、その臓器移植で、自分の生命が危うくなろうとも、甘んじて受け入れる覚悟のできている“製品”が彼らなのだ。

 彼らは18歳までこの寄宿舎で過ごし、その後、各地の待機所に振り分けられ、“終了”の通知が来るまで、仕事もせずに、漫然と待機する運命である。そして、おおよそ20代前半で、その生涯を閉じるのである。

 「トミー」は癇癪持ちで、変わり者であったため、寮生からも仲間外れになり、イジメの対象であった。そして、そのイジメを主動するのは「ルース」である。

 そんな“弾かれ者”の「トミー」に恋慕するのは聡明な「キャシー」である。事あるごとに、「トミー」をかばう「キャシー」の姿は健気で・・・二人のプラトニックは関係は周知の事実となる。

 それを見た「ルース」は、二人の関係に割って入り、二人の関係を引き裂くのであった。かくして、「トミー」は「ルース」とカップルとなり、その成り行きを「キャシー」が静観する3角関係となるが・・・臓器提供の告知は、容赦なくやって来る。


Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-









 


『キャリー』(原題:Carrie /2013年アメリカ/99分)

監督:キンバリー・ピアース

脚本:ロバート・アギーレ=サカサ、ローレンス・D・コーエン

原作:スティーブン・キング

製作:ケヴィン・ミッシャー

製作総指揮:J・マイルズ・デイル

音楽:マルコ・ベルトラミ

撮影:スティーヴ・イェドリン

編集:リー・パーシー、ナンシー・リチャードソン

出演者:クロエ・グレース・モレッツ、ジュリアン・ムーア、ジュディ・グリア、ポーシャ・ダブルデイ、アレックス・ラッセル、ガブリエラ・ワイルド、アンセル・エルゴートら

100点満点中80


Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

 スティーブン・キングの処女作『Carrie』の3回目の映像化作品で、皆さんよく御存じのサスペンス・ホラー。

 今回は、主人公「キャリー・ホワイト」を16歳のクロエ・グレース・モリッツが演じ、母親「マーガレット」はジュリアン・ムーアが演じています。

 オープニングから、かなりショッキングなシーンがあり、ラスト近くの体育館炎上シーン以降も強烈で、ただの“焼き直し”とは言えない迫力はあります。


 監督はキンバリー・ピアースで、1999年の『ボーイズ・ドント・クライ』でもメガホンを執りました。この作品で、主演のヒラリー・スワンクがアカデミー主演女優賞、ゴールデングローブ賞 主演女優賞 (ドラマ部門) を受賞。また、インディペンデント・スピリット賞、ニューヨーク映画批評家協会賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞、全米映画批評家協会賞においても主演女優賞を受賞しました。



Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

 主演のクロエ・グレース・モリッツですが、あの『キック・アス』(2010年)の撮影時、彼女は11歳だったので、幼さく、小柄な印象ですが、今作では、16歳となり、出るところも出てすっかり成熟し始めたレディとなり、体格もなかなか立派です。ブライアン・デ・パルマ監督版の「キャリー」を演じたシシー・スペイセク(↓上)と比べると容姿は各段に優れているので、むしろやりにくかったように思えますが、持ち前の演技力で何とか乗り切り、いじめられっこ、変人の「キャリー」を好演しています。


Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

 彼女は、2005年の『悪魔の棲む家』、2010年の『モールス』など、ホラー作品にたびたび出ていて、幼い美貌の中に“恐怖”や“戦慄”を醸し出す眼力を備えている数少ない女優さんと言えるのではないでしょうか。彼女のファンならずとも必見のホラー作品の主人公として、その役割をきちんと果たしています。

Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

 母親役のジュリアン・ムーアは、ねじ曲がった信仰心で娘を追い込む異常者を怪演しています。しかし、この母親が、なぜこのように偏屈になってしまたかが、十分に説明されいないので、この母親の設定に釈然としません。

 
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

 2013年の作品らしく、半裸のまま泣き叫ぶ「キャリー」を大人数でいじめる様子をスマホで動画撮影したり、その動画をネットで流したりと現代的なイジメのシーンがでてきますが、少し残念なのは、学友からの「キャリー」に対するイジメのシーンが、もう少しきつめに、度重なって行われると、さらに彼女が精神的に変容~崩壊していき、自分の超能力に目覚めるトリガーとして、十分な理由付けになったと思います。


Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-


(↓この女優さんにも注目!ガブリエラ・ワイルド
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

(*現在公開中のため、あらすじは控えます。)


 


 



『ナポレオン・ダイナマイト(当初の邦題:バス男)/原題:Napoleon Dynamite /2004年アメリカ、本邦未公開/82分)

監督:ジャレッド・ヘス

脚本:ジャレッド・ヘス、ジェルーシャ・ヘス

製作:ショーン・コヴェル、クリス・ワイアット

製作総指揮:ジェレミー・クーン、ジョリー・ワイツ

音楽:ジョン・スウィハート

編集:マン・パウエル

出演者:ジョン・ヘダー、アーロン・ルーエル、ジョン・グリース、エフレン・ラミレッツ、ティナ・マジョリーノ、ヘイリー・ダフ、エミリー・ティンドール、ションドレラ・エイヴリーら

100点満点82



Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

 2004年、アメリカのミニシアターで小規模公開されていた学園コメディ。本邦劇場未公開ながら、かの国では、口コミで話題が広がり、全米大ヒットとなった作品。

 本作の監督であるジャレッド・ヘスの、学生時代の習作である短編映画『Peluca』をベースとして大幅にふくらませたもので、そこで用いられていた演出や表現を散りばめて作られています。

 BGMに軽薄な音調と微妙なテンポの電気オルガンを多用し、脱力・無気力・無知・無教養・非常識を絵にかいたような登場人物がやりたい放題に活躍?するヒューマン作品?です。

 当初の邦題の『バス男』は発表当時の日本でヒットしていた『電車男』にあやかったもので、主人公の「ナポレオン・ダイナマイト」が、貧困のためバス通学をしているだけで、『電車男』に通ずる要素は全く無く、2013年10月には電車男ブームに便乗したタイトルを付けたことに対する謝罪文を付ける形で、原題の『ナポレオン・ダイナマイト』へ改題して映像ソフトが再発売された経緯があります。


Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

 監督のジャレッド・ヘスはアイダホ州プレストン出身のモルモン教徒。ブリガムヤング大学へ進学し、在学中の2003年に同大学に在籍中で知り合ったジョン・ヘダーらと共に短編映画『Peluca』を制作しました。この作品をベースとして本作『ナポレオン・ダイナマイト』が長編映画化されました。2006年にはジャック・ブラック主演のナンセンス・コメディ『ナチョ・リブレ 覆面の神様』を取りました。これも傑作。

Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

(↑ナポレオン・ダイナマイト役ジョン・ヘダー)
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

(↑ペドロ・サンチェズ役エフレン・ラミレッツ)

 出演者は、皆ほとんど無名の役者さん。『ビバリーヒルズ青春白書』のような、都会的な金持ちのかっこいい理想的な高校生活とはまったく対極的な、田舎のダサくて冴えない高校生たち3人の友情物語であり、観ているだけでも恥ずかしいほど不器用な学園生活を、オフビートかつコメディタッチでありながら・・・肯定的に描き出しています。・・・なので、冒頭は、吐き気がするほどじれったく、忌々しい近視眼的な主人公の行動パターンにイライラしますが・・・終盤、秘めた力を如何なく発揮して、ハバをきかせる体育会系メンバーをギャフンと言わせる展開が小気味よいです。


 (あらすじ)

 アイダホのど田舎に住み、引きこもりの兄「キップ」やオフロードバギーが趣味の祖母と3人暮らしの「ナポレオン・ダイナマイト」は、とにかく見るからにダサくて、愚鈍な冴えない高校生。マイカーもないため、小学生が主な乗客であるスクールバスで高校へ通っては、体育会系の奴らから変わり者としてバカにされ、いじめられている。

Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

 ある日、祖母がバギー事故に遭って入院してしまい、かつてアメフトでレギュラーに選ばれず、未だに未練がましくアメフト選手の夢を追い続けている叔父の「リコ」(↑)が、保護者代わりとして家にやってくる。

 学校では冴えない変わり者の少女「デビー」(↓右)やメキシコ系移民の転校生「ペドロ」(↓左)が彼の親友である。「ペドロ」が「生徒会長選挙に立候補する。」と言い出し、「ナポレオン」と「デビー」は、なんとか「ペドロ」を当選させようと奔走する。

Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-
Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-