Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評- -26ページ目

Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

イーグルドライバーの観た映像作品について、あれこれ書いて行きます。
主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』(原題:Kick-Ass2 /2013年アメリカ、イギリス/103分/R-15)

監督・脚本:ジェフ・ワドロウ

原作:マーク・ミラー、ジョン・ロミータ・Jr『Kick-Ass2』『Hit-Girl』

製作:マシュー・ヴォーン、アダム・ボーリング、タルキン・パック、デヴィッド・リード、ブラッド・ピット

製作総指揮:トレヴァー・デューク・モレッツ

音楽:ヘンリー・ジャックマン、マシュー・マージェソン

撮影:ティム・モーリス=ジョーンズ

編集:エディ・ハミルトン

出演者:アーロン・テイラー=ジョンソン、クロエ・グレース・モレッツ、クリストファー・ミンツ=プラッセ、ジム・キャリー、ドナルド・フェイソン、ロバート・エムズ、リンディ・ブース、ダニエル・カルーヤ、クラーク・デュークら

100点満点中93



 マーク・ミラーとジョン・ロミータ・Jrによる同名のコミック及び『Hit-Girl』を原作とした、ヴァイオレンス・コメディ作品で2010年の『キック・アス』の続編です。

冒頭から「ヒット・ガール」が「キック・アス」を銃撃するシーンで始まり、基本的なストーリーは、成長した「ヒット・ガール」と「キック・アス」の学園生活をベースにして、手作りのスーパーヒーローたちが低能な悪漢たちの横暴に敢然と立ちはだかる姿を描いています。アクション場面以外でも、前作以上にナンセンスな暴力シーンやお下劣なネタ満載の作品です。

登場キャラクターは随分と増え、主人公のアーロン・テイラー=ジョンソン演じる「キック・アス」とクロエ・グレース・モレッツ演じる「ヒット・ガール」が下町のスーパーヒーローたちを率いますし、前作で「レッド・ミスト」だったクリストファー・ミンツ=プラッセが、私怨に凝り固まってとなり、凶悪犯軍団を率います。


「マザー・ファッカー」
(??実際に作品をご覧ください)

 

 スーパーヒーロー側は、ジム・キャリー演じる「スターズ・アンド・ストライプス大佐」(↑) 、「ドクター・グラビティ」、「インセクト・マン」、「ナイト・ビッチ」、「バトル・ガイ」、「アス・キッカー」など、「キック・アス」の活躍に触発されて奮起したメンバーが急増し、凶悪犯側は、「ブラック・デス」、「マザー・ロシア」(↓)、「チンギス・半殺し」、「腫瘍(ザ・トゥーマー)」など失笑するような悪人が急ごしらえで集められます。









 前作に比べると、やや場当たり的で散漫なストーリー展開は、作品の性質上?ご愛嬌で、学園でイジメに合う「ヒット・ガール」こと「ミンディ」の女の子な一面や「ヒット・ガール」にサディスティックに鍛えられ、進化する「キック・アス」こと「デイヴィッド」の微妙なたくましさ?を観るだけで笑える内容です。今作の「キック・アス」は、夜間巡回中に女性キャラ「ナイト・ビッチ」とたびたびコスプレSEXをしてしまうエロエロぶりも見せます。




 ただ何と言っても、この作品の“売り”は大人になったクロエ・グレース・モレッツをたっぷりと拝見できること。本邦では、公開が前後したリメイク版『キャリー』でも、健康的なお色気たっぷりに登場したように今作でも、子役から女優へと成長した彼女の美しさを堪能できます。本当に、美しく可愛い。






(*公開中のため、あらすじは控えます。)


 




  

 

『エージェント:ライアン』(原題:Jack ryan:Shadow Recruit /2014年アメリカ/105分)

監督:ケネス・ブラナ―

脚本:アダム・コーザット、デヴィッド・コープ

キャラクター創造:トム・クランシー

製作:ロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ、メイス・ニューフェルド、デヴィッド・バロン、マーク・ヴァーラディアン

製作総指揮:ダナ・ゴールドバーグ、トミー・ハーパー

音楽:パトリック・ドイル

撮影:ハリス・ザンバーラウコス

編集:マーティン・ウォルシュ

出演者:クリス・パイン、ケネス・ブラナー、ケビン・コスナー、キーラ・ナイトレイ、デヴィッド・ペイマーら

100点満点中88




 トム・クランシーの小説「ジャック・ライアン」シリーズで創造されたキャラクターの活躍を描いた映像作品で、今作は既存の小説に依らないオリジナルストーリーで展開するポリティカル・サスペンス作品です。

 つまり、従来の「ジャック・ライアン」が主人公の映像作品とは異なり、特定の小説を原作とせず、ホセイン・アミニによる作品コンセプトを土台にした脚本で撮られたリブート作品ということです。原作が旧ソ連時代からの息の長いシリーズであったことを考えると、特定の小説の設定を踏襲するには、現代的な感覚からして、相当無理があるので、今作ではオリジナル色を強くして、新解釈の「ジャック・ライアン」を創造したということです。

 しかも、日本語字幕に関しては、日本の政治・社会ジャーナリストである池上 彰が字幕監修し、社会情勢・経済システムに疎いであろう字幕訳者の表現力を補完しています。

 今作は、派手なアクションや諜報員の巧みな潜入術、徒手格闘、射撃術をひけらかすようなシーンは少なく、経済アナリストの道を歩んできた、若き「ジャック・ライアン」が、いかに愛国心に目覚め、従軍経験をし、しかも、CIAエージェントの現場を経験し、どのように将来の上級分析官となっていくかを縦軸で描いています。合わせて、伴侶となる眼科医「キャシー」との恋愛模様と結婚前の微妙な婚約関係を横軸に描いているため、市民でもある「ジャック・ライアン」の庶民的・人間的な一面も十分表現されています。・・・なので、想像以上にエンターテインメント性の高いサスペンスに仕上がっています。大人の方々がご覧になると、 “面白い”と、唸ること請け合いの傑作です。

 今作でオリジナルの設定を考案したホセイン・アミニはイラン出身の脚本家で、2010年のジョン・キューザック主演『シャンハイ』や2012年のクリステン・スチュアート主演の『スノーホワイト』の脚本を手掛けました。今作でも、綿密なキャラクター設定をしています。この点は、作品の背骨となるので大切な部分です。



 監督のケネス・ブラナ―は俳優の方が有名で、2011年公開の『マイティ・ソー』の監督を務めたことは、あまり知られていませんね。むしろ、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』の教師「ギルデロイ・ロックハート」役や、2008年のトム・クルーズ主演『ワルキューレ』の「ヘニング・フォン・トレスコウ少将」役の方が有名です。




 主演のクリス・パインは、主人公「ジャック・ライアン」を演じます。この役は9.11をきっかけに愛国心に目覚める青年で、将来のCIA上級分析官です。アフガニスタンの傷病で、若き研修医と恋に落ちます。




 キーラ・ナイトレイは、「ライアン」の婚約者「キャシー」を演じます。この役は、研修医時代に、海軍病院で、「ライアン」のリハビリ担当者だったことから、彼と交際が始まった医学生で、将来の眼科医です。「ライアン」以上に肝のすわった才色兼備の才媛です。




 ケビン・コスナーは、元海軍中佐「ウィリアム・ハーパー」を演じます。この役は、リハビリ中の「ライアン」を見舞いながら、CIAの職員として採用の機会をつかむ現場場責任者兼リクルーターです。海軍中佐の経歴からは想像できませんが、狙撃の名手でもあります。




 ケネス・ブラナ―は、監督と兼任で「ヴィクトル・チェレヴィン」を演じます。この役は旧ソ連の復興を願う、ロシアの企業連合のCEOで、軍事的、経済的同時多発テロを画策する愛国者です。






 このような人物が、アメリカ経済に大打撃を与えるであろう陰謀を解明し、未然に防ぐ攻防をダイナミックに描いています。




(*公開中のため、あらすじは控えます。)


 



 

 


『モーテル』(原題:Vacancy /2007年アメリカ/80分)

監督:ニムロッド・アーントル

脚本:マーク・L・スミス

製作:ハル・リーバーマン

製作総指揮:グレン・S・ゲイナー、ステイシー・コルカー・クレイマー、ブライアン・パスカル

音楽:ポール・ハスリンジャー

撮影:アンジェイ・セクラ

編集:アンジェイ・セクラ

出演者:ルーク・ウィルソン、ケイト・ベッキンセイル、フランク・ホエーリー、イーサン・エンブリー、スコット・G・アンダーソンら

100点満点中78点



 ヒッチコックにオマージュを捧げたマーク・L・スミスが脚本を書いたサスペンス・スリラー。本作の構想に8年間を費やしたということです。

 しかも、舞台は田舎のモーテルで、あの名作『サイコ』を彷彿とさせる設定です。期待せず観ると・・・結構、怖いシーンの連続で、ドキリとするシーンも満載です。原題のVacancyとは、「空室」という意味と「空虚」「うつろ」という意味があります。似た雰囲気の作品としては、ジェームズ・マンゴールド監督、マイケル・クーニー脚本の『アイデンティティ』(2003年)がありますが、こちらの方が終盤の種明かし的な展開が見事で、ストーリーも秀逸です。



 主演のケイト・べッキンセールは「エイミー・フォックス」を演じます。この役はは、息子を亡くしたせいで、夫との結婚関係も破綻した、失意に満ちた女性です。冒頭から、とにかく夫に対して批判的で、本人に対しても「役立たず」呼ばわりします。彼女は現在のアメリカの女優の中でも、とりわけ美形女優の代表格ですね。今作では、やや薄めの化粧で、ずる賢さも美貌の一助にするような戦う女性を演じています。素朴な美しさをまといたいのでしょうが、どうしても“放つような”“刺すような”美しさ が出てしまいます。



 その夫「デイヴィッド・フォックス」はルーク・ウィルソンが演じます。この役は妻「エイミー」のように、息子の死を悲しむ事を引きずらない楽天家で、理論的に考えるよりも、裏付けのない直観で動いてしまう、大ざっぱな性格の男性です。妻との関係を修復することを諦めたせいで、もはや娯楽として、彼女の神経を逆なでするようなことを平気でします。ウィルソン自身が、やや喜劇的なおちゃらけキャラなので、その後、この夫婦を襲う惨劇がより強烈な衝撃となります。中盤から、自分たちは蜘蛛の巣にひっかっかった獲物なんだと気づくあたりの恐怖にゆがみかけた顔が、非常に印象的です。



 モーテルの管理人「メイソン」はフランク・ホエーリーが演じます。この役は、モーテルの経営とは名ばかりで、その実は、モーテルを舞台として、宿泊客を襲っては、快楽的に殺害し、その様子を隠しカメラやハンディ・カメラで記録・編集しては繰り返し鑑賞したり、その“作品”を販売したりする変質者です。彼には複数の協力者がいて、この一味はおもに短刀で刺殺することを好みます。はまり役です。




(あらすじ)

 「デイヴィッド・フォックス」は、妻「エイミー」と深夜の山道を愛車BMWで走っている。彼は「エイミー」の両親の結婚記念日を祝うため、遠方にある彼女の実家で昼間過ごし、帰宅する途中である。高速道路が混雑するからと、根拠のない勝手な判断で、一般道を選び近道を試みるが、どうも道に迷ってしまったらしい。一向に家に着かない夫の運転に、初めは“ふて寝”を決め込んでいた「エイミー」は、嫌味の一つも言いたくなる。携帯も圏外となり、車のエンジンの様子もおかしくなるが、土地勘がないうえ、夜なのでスタンドで修理する当てもない。ただ明かりを求めて、走り続ける二人であったが、果たして、前方に小さな明かりを発見する。なんと、ガソリンスタンドとモーテルである。とりあえず、スタンドに入り、店主に看てもらうが、次の町までなら走れそうだとの助言を得て、再び走り出す。しかし、数キロ走ったところで、エンコしてしまう。しかたがないので、もと来た道を徒歩で引き換えし、モーテルで電話を借りることにする。管理の「メイソン」は、言葉は柔らかだが、含みを持った接客態度で、気持ち悪い。しかし、深夜に差し掛かったこの時間では、先ほどのスタンドの店主は帰宅し、連絡が付かないため、「エイミー」の反対意見を無視する形で宿泊することにし、案内された4号室に入室する。テレビを見ながら、寝てしまおうとする「デイヴィット」であるが、肝心のテレビはチャンネルを合わせてもどこの局も入らず、ただ、数本のVHSビデオテープが置いてあるだけだった。しかたがないので、ビデオを観ることにするが、そこには陰惨な殺害シーンが様々な角度から撮られているスプラッタームービーであった。そして、その室内は見たことある内装であるが・・・これは二人を襲う狂気の序章である。