Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評- -15ページ目

Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

イーグルドライバーの観た映像作品について、あれこれ書いて行きます。
主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『300〈スリーハンドレッド〉~帝国の進撃~』(原題:300:Rize of an Empire /2014年アメリカ/102分/R15+)

監督:ノーム・ムーロ

脚本:ザック・スナイダー、カート・ジョンスタッド

原作:フランク・ミラー『Xerxes』

製作:ジャンニ・ヌナリ、マーク・キャントン、ザック・スナイダー、デボラ・スナイダー、バーニー・ゴールドマン、トマス・タル

製作総指揮:スティーブ・ジョーンズ、ジョン・ジャシュニ、クレイグ・J・フローレス、マーティ・P・ユーイング

音楽:ジャンキーXL

撮影:サイモン・ダガン

編集:ワイアット・スミス、デヴィッド・ブレナ―

出演者:サリヴァン・ステイプルトン、エヴァ・グリーン、レナ・ヘディ、ハンス・マシソン、ロドリゴ・サントロ、カラン・マルヴェイ、デビッド・ウェナム、ジャック・オコンネル、アンドリュー・ティアナン、イガル・ノール、アンドリュー・プレヴィン、ピーター・メンサーら
100点満点中86



 フランク・ミラーのグラフィックノベルを原作とした2007年公開の『300〈スリーハンドレッド〉』の続編で、ペルシア戦争のテルモピュライの戦いの結末とその後のアルテミシオンの海戦をメインに描いたファンタジー歴史アクション作品。

 戦闘シーンは圧巻で、本来難しいとされる海上でのそれは、きっと鑑賞者の“ど胆を抜く”展開です。とにかく、ものすごい迫力!!


 前作で監督と共同脚本を担当したザック・スナイダーは、『マン・オブ・スティール』を監督する事となったため、製作側に回り、多少テイストは変わりますが、今作の監督はノーム・ロームとなりました。


 前作は、都市国家スパルタ一国の混迷する国内政治と圧倒的に少ない兵力で、数万倍の兵力を誇る敵、ペルシャ軍に、いかに対峙したかが描かれていました。

 今作では、スパルタ一国に留まらず、ギリシャの都市国家全部とペルシャ帝国が激突する大規模な展開です。したがって、今作の主人公は、スパルタ人ではなく、アテナイの軍人「テミストクレス」です。


「テミストクレス」・・・アテナイの政治家であり軍人。紀元前520年頃(諸説あり)に生き、アテナイの執政官を務め、アテナイをギリシア随一の海軍国に成長させ、ペルシア戦争を勝利に導いたとされる。マラトンの戦い以降、ギリシャ連合軍を率いペルシャ軍と果敢に戦った戦術家であって、アテナイがラウレイオン鉱山の開発で、採掘された銀資源により巨万の富みを取得した際、本来、市民に分配されるべきその収入を、交渉によって海軍増強の資金とした知略家でもある。兵力で圧倒的に勝るペルシャ軍に対し、陸戦での劣勢を見切り、海戦での勝利こそが雌雄を決すると判断した点で優れているばかりでなく、要となるスパルタ海上部隊の参戦を導いた点でも、優れた戦略家であったと言える。その後、数奇な人生を送ることになるのだが・・・




 この「テミストクレス」はサリヴァン・ステイプルトンが演じます。彼はオーストラリア出身の俳優で、2012年公開の『L.A. ギャング ストーリー』にも出演しています。続く作品が期待される新星です。



 エヴァ・グリーンはペルシャ海軍の最高司令官「アルテミシア」を演じます。この役は、幼少期、両親を殺され、数年間、艦船の船底で慰み者になった挙句、ペルシャの港に打ち捨てられたところを、ペルシャ軍に拾われたギリシャ人女性という設定です。その後、剣術家として開花し、数々の戦で勲功を立て、ペルシャ王「ダレイオス王」の右腕となった軍人です。「ダレイオス王」が没した後は、息子「クセルクセス」の後見として、その地位を確立し、主に海軍を率いギリシャ連合軍を苦しめます。エヴァ本人はパリ出身の女優で、父はスウェーデン人の歯科医、母はピエ・ノワール系ユダヤ人です。どこか無国籍風な容姿と大きな目が印象的な超美人で、2005年公開の『キングダム・オブ・ヘブン』でハリウッドに進出し、2006年公開の007作品『007カジノ・ロワイアル』、2012年のジョニー・デップ主演のコメディ『ダーク・シャドウ』にも出演しました。




 また、スパルタの未亡人「ゴルゴ王妃」はレナ・ヘディが、前作に引き続き出演しています。彼女自身は2005年公開の『ブラザーズ・グリム』の狩人「アンジェリカ」役や2008年の戦争作品『レッド・バロン』の看護師「ケイト・オテルスドルフ」を好演しています。

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 これらの俳優陣が、スナイダーワールドで“ぶつかり合う”わけです。













(*現在、公開中のためあらすじは控えます。)





『ラストミッション』(原題:3Days to Kill /2014年アメリカ、フランス/117分)

監督:マックG

脚本:リュック・ベッソン、アディ・ハサック

原案:リュック・ベッソン

製作:アディ・ハサック、リュック・ベッソン、マーク・リバート、ライアン・カヴァノー、ヴィルジニー・シラ

音楽:ギヨーム・ルーセル

撮影:ティエリー・アルボガスト

編集:オードリー・シモノード

出演者:ケビン・コスナー、ヘイリー・スタインフェルド、アンバー・ハード、コニー・ニールセン、リチャード・サメル、エリック・エブアニー、トーマス・ルマスキス、レイモンド・J・バリー、ジェームズ・ブロケット

100点満点中73点



 初老の年齢に達した超ベテランのCIA工作員が、癌に侵され余命3か月を宣告され、ティーンエイジャーの娘や元妻との人間関係修復に苦心惨憺しながら、困難な作戦を遂行していくという内容。

 リュック・ベッソン原案の大人のスパイアクションです。 

 なぜかパリを舞台としており、大胆かつ激しいアクションシーンを期待して観に行くと、その期待は大きく裏切られます。

 お洒落なロケーションを選びに選んだ割には、主演のケビン・コスナーはスタイリッシュではなく、ややしょぼくれていてダンディさにも欠けています。貧しい身なりでもそれなりにカッコいいコスナーではありますが、今作ではクールでもシャープでもありません。ただし、もう60歳になろうという彼の役は、長年、現場の工作員として生きながれえて来た所以として、ひとたび作戦に入れば、射撃と徒手格闘の腕前は突出しており、向かうところ敵なしの様相です。まーこのギャップが、コスナーの存在感を際立たせるワケですし、作品内にコメディ要素を醸し出す効果もあるワケですから、ベッソンはこのあたりを狙って人物設定をしたと思われます。



 監督のマックGは、ミシガン州カラマズー生まれカリフォルニア州ニューポートビーチ育ちで、ドキュメンタリー作品や映像広告の仕事を経て、2000年公開の『チャーリーズ・エンジェル』で監督デビューし、続く2003年に続編『チャーリーズ・エンジェル フルスロットル』も監督しました。アクション作品を手掛けることの多い監督ですが、作品内にコメディ要素を織り込むことが得意な監督でもあります。この辺がベッソンに買われて監督オファーされたのでしょう。



 主演のケビン・コスナーは、CIAの超ベテラン工作員「イーサン・レナ―」を演じます。余命幾ばくもない彼は引退を考えていたが、ある条件を提示され、ある作戦に参加することとなります。



 その娘「ゾーイ・レナ―」はヘイリー・スタインフェルドが演じます。この役は、生まれてから、ほとんど父親からの愛情を受けたことのない10代の少女で、多忙な母親との関係も希薄なため、やや自暴自棄なところがあります。彼女本人は、カリフォルニア州サウザンドオークス出身で、父親はユダヤ系、母方の祖父はフィリピンの家系です。2010年公開のコーエン兄弟作品『トゥルー・グリッド』では復讐に燃える少女「マティ・ロス」を好演しました。作品自体も素晴らしいです。



 元妻「クリスティン・レナ―」はコニー・ニールセンが演じます。この役は、自立した女性で、パリでの高い生活費を捻出するため必死に働くビジネスウーマンのようです。海外への出張もたびたびあるようで、娘の素行にもやや無頓着です。ニールセン本人はデンマーク、コペンハーゲン出身でフランスでモデルとしても活躍していた経歴も持ちます。ハリウッド作品では、1998年のSF作品『ソールジャー』、2000年のSF作品『ミッション・トゥ・マース』や歴史アクション『グラディエーター』などがあります。




 また、あのアンバー・ハードはCIA上級工作員「ヴィヴィ・ディレイ」を演じます。この役はCIA長官自ら指令を出すような?エリート工作員のようで?作戦の司令塔です。作戦全体を俯瞰して観る立場はよいのですが、老骨に鞭打つ現場の工作員へのサポートはほとんどしないのは・・・なんか変です。謎の女を演じては天下一品のアンバーですが、ベッソンが考えた人物設定が“雑”過ぎです。アンバー本人は、2011年のジョニー・デップ主演の『ラム・ダイアリー』や2013年のダニー・トレホ主演の『マチェーテ・キルズ』に出演しています。これらの作品でも、やはり謎めいた役柄でしたね。本人の恋愛対象が男性ばかりではないからでしょうか?











(*公開中のため、あらすじは控えます。)
 

『エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE』(原題:Elite Squad The Enemy Within /120分ブラジル)

監督:ジョゼ・パジーリャ

脚本:ジョゼ・パジーリャ、ホドリゴ・ピメンテル、ブラウリオ・マントヴァーニ

製作:マルコス・プラード、ジョゼ・パジーリャ

製作総指揮:ビア・カストロ、エドゥアルド・コンスタンティーニ、Genna Terranova

音楽:ペドロ・ブロンフマン

撮影:ペドロ・ブロンフマン

編集:ダニエル・レゼンデ

出演者:ヴァグネル・モーラ、アンドレ・ハミロ、セウ・ジョルジュ、タイナミュラーら

100点満点中82



 リオ・デジャネイロに広がるスラム街、ファヴェーラの治安維持に活躍する武装警官隊、通称「BOPE」(ボッペ)の指揮官の視点で描かれるブラジル社会と警察内部の病巣を深くえぐった犯罪作品。

 2008年のベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した前作『エリート・スクワッド』のスタッフと俳優陣はそのままに、アクション性と残忍性、そしてポリティカル要素を強くした内容となっています。

 地場のストリート・ギャングを掃討しても、腐敗した現場の警官たちがそれに成り代わり、住民からあらゆる手段で様々な搾取を続けていき、地域レベルの政治家と深く癒着していく様子が描かれる問題作です。

 もちろんフィクションですが、冒頭で「あまりに実在の組織と類似している点が多くありますが、この作品はあくまでもフィクションです。」という字幕が流れるほど、臨場感とリアリズムに富んだ展開です。・・・なので、前作以上に興奮し、緊迫感あふれる内容です。


 今回のサッカーワールドカップ、ブラジル大会は、治安の面で本当に大丈夫か???と思わざるを得ない感じです。(大丈夫でしょうけど・・・) 

 監督も脚本陣も前作と変わらぬ布陣です。その両方に名を連ねるジョゼ・パジーリャは前作が長編商業作品として初監督し、最近作は、2014年公開の新作『ロボコップ』でもメガホンを執りました。犯罪アクションの分野で今後さらに期待が持てる逸材です。



(あらすじ)

 リオデジャネイロ州の軍警察に所属する特殊部隊「BOPE」の現場指揮官「ナシメント中佐」は、ベネディチーノ病院からホンダ・フィットで出た途端、SUVに乗った謎の集団に進路も退路も断たれ、自動小銃の雨あられのような銃撃に合う。多くの事件を解決し、犯罪集団や腐敗した警官を法秩序維持の名の下に公務執行=殺害してきたが、その結果がこの襲撃事件である。



 そのきっかけとなるのが、4年前の「第一バング―」と言われる刑務所での暴動と囚人殺害事件である。「第一バング―」では、政治家に賄賂を渡し、命だけは救われている3つの麻薬組織の幹部らが収監されている。それぞれ別棟に組織ごとに入れられているが、看守を買収して、拳銃と鍵を手に入れた「レッド・コマンド」一派が、他の組織の幹部を殺害するため、暴動を開始する。「ナシメント中佐」は、「マチアス大尉」率いる1個中隊を差し向けるが、州知事の判断で、人道活動家「フラガ」に交渉させることになる。結局、「マチアス大尉」の現場判断で、武装囚人らを急襲し、彼らを掃討・鎮圧してしまう。人道活動家「フラガ」も人質となっていた看守の命も無事であったが、その責任を取らされる形で、「ナシメント中佐」は公安局の次官となって盗聴部門の責任者となり、「マチアス大尉」は所轄の警察隊勤務となる。刑務所の暴動鎮圧は、市民から大きな支持を受けたため、「ナシメント中佐」は事実上の昇進、「マチアス大尉」は割を食った形だ。

 これ以降、「ナシメント中佐」は公安局の中枢で辣腕をふるい、「BOPE」を精鋭化するとともに、数個中隊しかなかった部隊を16個中隊、390名にまで拡充し、装甲車数台とヘリコプター1機を運用する大部隊へと成長させたのである。そして、その戦力で、多くのファヴェーラに巣食う麻薬組織やストリートギャングを徹底的に退治する作戦を開始する。この作戦は、一見、治安の回復に役立っているようであるが、犯罪組織から上前をはねていた腐敗した警官たちにとっては死活問題である。犯罪組織を失った現場の警察隊は、地元の組織から賄賂をせしめる代わりに、警官自らその不正資金の調達に乗り出すことに、つまり、警察隊自体が犯罪組織と同じ“しのぎ”を始めることとなってしまう。ここで、ブラジル社会に新たな“癌”が生まれるきっかけを、公安局が作ることとなってしまったのである。