Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評- -14ページ目

Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

イーグルドライバーの観た映像作品について、あれこれ書いて行きます。
主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『マレフィセント』(原題:Maleficent / 2014年アメリカ/135分)

監督:ロバート・ストロンバーグ

脚本:ポール・ディニ、リンダ・ウールヴァートン

製作:ドン・ハーン、ジョー・ロス

製作総指揮:サラ・ブラッドショウ、アンジェリーナ・ジョリー、パラク・パテル

音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード

撮影:ディーン・セムラー

編集:リチャード・ピアソン、クリス・レベンゾン

出演者:アンジェリーナ・ジョリー、シャールト・コプリー、エル・ファニング、サム・ライリー、ジュノー・テンプル、ミランダ・リチャードソン、イメルダ・スタウントン、ブレントン・スウェイツら

100満点中81



 1959年公開のアニメーション作品『眠れる森の美女』のリブート作品で、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ製作のダーク・ファンタジー作品です。

 アニメ版とは違い、魔女「マレフィセント」の生い立ちから、淡い恋愛体験、オーロラ姫との関係、強欲な人間による裏切り~隣国との確執~地域国家樹立までのドラマを、「マレフィセント」の視点で描かれています。

 既成概念を打ち破る“新発想”で、単なる悪役だった魔女「マレフィセント」が、実は森の平和を守る妖精であって、神でも悪魔でもなく、慈愛に満ちながらも、常に人間臭く苦悩する未熟な存在であるというところから作品が出発しています。ただ、彼女の能力は、人間から見ると圧倒的で、恐怖感を伴う程であり、彼女に守られている森には、どうして集まったかは分かりませんが、大量の財宝が眠っているので、人間の住む隣国からの攻撃対象となります。


 監督のロバート・ストロンバーグは2009年の『アバター』、2010年の『アリス・イン・ワンダーランド』、2013年の『オズ はじまりの戦い』で、舞台美術全般を担当するプロダクションデザイナーを務めました。今作では、ティム・バートンやでデヴィッド・イェーツ等の名前が挙がりましたが、バートンの右腕ともいえるストロンバーグの起用が決まったということです。



 アンジェリーナ・ジョリーは主人公「マレフィセント」演じます。この役は「悪人」と言うより、未熟な人格ゆえに人間に裏切られ、誤った判断で他人に“解けぬ”魔法をかけてしまう妖精です。




 エル・ファニングは『眠れる森の美女』こと「オーロラ姫」を演じます。この役は、美女と言うより“無垢な少女”であり、王様の命令で16歳の誕生日を迎える前日まで、3人の妖精に育てられます。彼女自身は、名子役ダコタ・ファニングの妹で、2001年公開の『アイ・アム・サム』では、姉のダコタの幼少期を演じました。2011年公開の『SUPER8/スーパーエイト』では、大人びた中学生役を演じました。今のところ映画よりTVでの活躍の方が多いですね。今作でもとても可愛い。


 

 シャールト・コプリーは「ステファン王」を演じます。この役は、農民の子であったが、「マレフィセント」との出会いで、人生が大きく変わってしまう青年ですが、立身出世のため彼女を裏切っただけでなく、彼女が守る森を我が物にしようと、侵略行為に及びます。彼が「オーロラ姫」のお父さんです。似てないけど・・・。彼自身は南アフリカ共和国ヨハネスブルグ出身の俳優で、友人のニール・ブロムカンプ監督の『第9地区』(2009年)で主演し、その後、『特攻野郎AチームTHE MOVIE』や、やはりブロムガンプ監督作品『エリジウム』にも出演しています。これから本邦公開する『オールド・ボーイ』にも出演しています。楽しみですね。 

 

 これら俳優陣が、元来、子供向けと思われていた『眠れる森の美女』の新解釈物語を鑑賞者に語ってくれます。











(*現在公開中のため、あらすじは控えます。)

 

 

 


 

 


『トランセンデンス』(原題:Transcendence /2014年イギリス、中国、アメリカ/119分)

監督:ウォーリー・フィスター

脚本:ジャック・パグレン

製作:ケイト・コーエン、ブロデリック・ジョンソン、アンドリュー・A・コソーヴ、アニー・マーター、マリサ・ポルヴィーノ、デイヴィッド・ヴァルデス

製作総指揮:ダン・ミンツ、クリストファー・ノーラン、エマ・トーマス

音楽:マイケル・ダナ

撮影:ジェス・ホール

編集:デイヴィッド・ローゼンブルーム

出演者:ジョニー・デップ、レベッカ・ホール、ポール・ベタニー、ケイト・マーラ、キリアン・マーフィー、コール・ハウザー、モーガン・フリーマンら

100点満点中88



 近未来のアメリカを舞台に、最先端の人工知能の研究者らが、本来禁止されているはずの“禁断の”人体実験に手を染めたせいで、政府機関と同業他者から画期的発展的研究を破壊されてしまうというSF作品。

 最先端の科学技術が人類を救うと考える者と、最先端技術を手に入れた者は人類の敵となると考える者との利害対立から、全人類的不幸が生まれるということも描かれています。

 こう書くと、無機質的な印象を与えてしまいますが、この作品の根底にあるものは、夫婦愛と女性のエゴです。・・・なので、この作品は人間ドラマの色合いが濃い恋愛作品です。

 “女性のエゴ”と言うと、ある一派から大変な反発をいただくかもしれませんが、このテーマの反作用として、やや小ぶりの“男性のエゴ”も作品の裏にあります。(*方便ではなく、様々なエゴが絡んだ末に・・・○○な結末になるという作品です。)

 特に、女性の方が鑑賞すると・・・感涙してしまうような結末です。非常に切ない。




 監督のウォーリー・フィスターはイリノイ州シカゴ出身で、高校卒業後にメリーランド州のテレビ局でアシスタントとして働いた後、1991年から映画製作に携わるようになった人物です。2000年の『メメント』以降はクリストファー・ノーラン作品で撮影を手がけています。『バットマン ビギンズ』、『プレステージ』、『ダークナイト』、『インセプション』でアカデミー撮影賞にノミネートされ、『インセプション』で撮影賞を受賞をしました。




 ジョニー・デップは人工知能の第一人者「ウィル・キャスター」を演じます。この役は、コンピュータプログラミングとナノテクを専門にする科学者で、技術的特異点(Technological Singularity)を見極めることを研究目的とする、究極の研究者です。・・・なので、先端技術を「社会悪」と信じる集団から、命を狙われることになります。


*技術的特異点(Technological Singularity)・・・現時点で、未来研究において、人類の技術開発の歴史から推測され得る正確かつ信頼できる、未来モデルの限界点のこと。 

*未来研究=未来学・・・時間を直線に喩えると、未来は時間線の中で未だ起きていない部分を指す。すなわち、未だ起きていない事象の存在する時空間である。この研究はありうべき未来を予測するべく Strategic Foresight(戦略的洞察)の適用を試みる学問であり、現在の傾向から未来の状態を予測するのが、この研究の典型的な方法論だが、逆に、現時点で想定される未来をもたらすには、今どうすべきかを考える backcasting の手法もある学問でもある。



 相手役のレベッカ・ホールは「エヴリン・キャスター」を演じます。この役は夫「ウィル」と同じく人工知能を専門にする研究者です。夫の急死に耐えかねず、夫の意識・思考・知識・人格・倫理観等彼の“人となり”をスパコン内にアップロードしてしまいます。彼の肉体が消滅しても、“人となり”が人工知能化するので、ある意味『永遠』の存在になります。これが、今作の意味する“究極のエゴイズム”です。彼女本人はロンドン出身の女優で、2006年のクリストファー・ノーラン監督の『プレステージ』で好演し、2008年公開の『それでも恋するバルセロナ』では監督のウディ・アレンによってヒロイン「ヴィッキー」役に抜擢され、これで一躍脚光を集めました。2010年にはベン・アフレックの『ザ・タウン』、2013年には『アイアンマン3』に重要な役で出演しました。



 ポール・ベタニーは「マックス・ウォーターズ」を演じます。この役は、やはり人口知能の研究者で、「エヴリン」に恋する男性です。「ウィル」の死で「エヴリン」への想いが加速し、自分のエゴと引き換えに本当に大事なモノを失うばかりか、偉大な研究を破壊することなります。彼本人はロンドン出身の俳優で、2006年の『ダ・ヴィンチ・コード』の出演や2010年のオカルト作品『レギオン』、2011年のホラー作品『プリースト』の主演で有名ですね。



 キリアン・マーフィーはFBI捜査官「ドナルド・ブキャナン」を演じます。この役は自分の立身出世のため、過激派テロ組織RIFT(リフト)を先導し、人工知能となった「ウィル」を抹殺しようとします。彼本人は、2002年の『28日後...』の出演が鮮烈でしたし、2005年のクリストファー・ノーラン監督の『バットマン ビギンズ』の「スケアクロウ」役、2010年の同監督『インセプション』の「ロバート・フィッシャー」役でも強烈な印象がありますね。




 これらの人物が、トライセンデンス=“超越”を目の前にして、二極に別れ、狭隘な価値観とエゴイズムに翻弄され、破滅的な結末に向けて進んで行きますが・・・ただ、それだけで終わらないのが、この作品の秀逸な点です。(公開中なので、細かく言えないのが・・・歯がゆいですが)特に、女性に対し、ご鑑賞をお勧めしたい傑作です。













(*現在公開中のため、あらすじは控えます。)

『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(原題:Edge of Tomorrow /2014年アメリカ、イギリス/125分)

監督:ダグ・リーマン

脚本:ダンテ・W・ハーパー、ジョビー・ハロルド、スティーヴ・クローヴス、クリストファー・マッカリー、ティム・クリング、ジェズ・バターワース、アレックス・カーツマン、ロベルト・オーチー

原作:桜坂洋『All Tou Need Is Kill』

製作:ジェイソン・ホッフス、グレゴリー・ジェイコブズ、トム・ラサリー、ジェフリー・シルヴァー、アーウィン・ストフ

製作総指揮:ジョビー・ハロルド

音楽:ラミン・ジャヴァディ

撮影:ディオン・ビーブ

編集:ジェームズ・ハーバート

出演者:トム・クルーズ、エミリー・ブラント、ビル・パクストン、ブンダン・グリーソン、キック・ガリー、ドラゴミール・ムルジッチ、シャーロット・ライリー、ジョナス・アームストロング、フランツ・ドラメー、羽田昌義、トニー・ウェイ、ノア・テイラーら

100満点中136



 桜坂 洋によって書かれた小説『All You Need Is Kill』を原作とした、SF戦闘アクション。

 近未来、未知の地球外知的生命体からの侵略で、ほぼ全土が奪われた欧州を舞台に、米軍の広報担当将校が最前線に送られるが、ある不思議な作用によって、死亡するたびに、時間がほぼ1日分巻き戻され(逆戻りし)、以前の記憶はそのままに、同じ1日を生きなければならないというタイムループ(時間の循環構造、環状時間、時間循環、閉時間などと訳せる)に落ち込み、肉体は変わらないものの、何百回何千回と同じ場面を経験するため、戦闘能力や判断能力、状況予見能力が段階的に向上していく姿が描かれます。

 非常に良く出来たSF作品で、場面展開はスピーディで複雑、観客を欺く仕掛けが満載、その上、激しい戦闘シーンと洗練されたデザインの機動歩兵の装備、そして、エイリアンの奇想天外な戦闘能力と造形が最初から最後まで、圧巻の傑作です。とにかく、SF好きがご覧になると圧倒されること請け合いです。私には、超ストライクの“ど真ん中”作品です。・・・なので、採点は136点となりました。




 監督のダグ・リーマンはニューヨーク出身で、2002年の『ボーン・アイデンティティ』や2005年の『Mr.&Mrs. スミス』、2008年の『ジャンパー』でもメガホンを執りました。アクの強さは感じませんが、戦闘・格闘に関しては、独特の美学を持った監督で、既定路線の予定調和的展開を極力排除し、ジャンルを超えるような新鮮さを作品の中に吹き込んで行きます。アクションの中に、登場人物の人間性や思いを込めてぶつけ合うことが得意な監督です。



 主演のトム・クルーズは米軍の広報担当将校『ウィリアム・ケイジ少佐』を演じます。NATO軍の作戦に突然組み込まれ、タイムループに落ち込んで行きます。超人的なヒーローではなく、タイムループを重ねていくうちに、段階的にスキルアップしていく、凡庸な戦闘員です。


 相手役のエミリー・ブラントは『リタ・ヴラタスキ軍曹』を演じます。この役は、歴戦の勇士であり、以前、タイムループの経験がある女兵士です。彼女自身は、ロンドン出身の女優で、2007年の『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』や2010年の『ガリバー旅行記』、2011年の『アジャストメント』、2012年の『LOOPER/ルーパー』などに出演しています。比較的、SF物が得意なように感じますね。聡明な役が多いです。今作でも、頼もしい美人です。



 ブレンダン・グリーソンは『ブリガム将軍』を演じます。この役はNATO軍の総司令官で、頑固一徹な軍人です。彼自身は、2005年の『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』などで「マッドアイ・ムーディ」役で有名ですね。




 ビル・パクストンは『ファレウ曹長』を演じます。この役は、パワード・スーツを装着した機動歩兵を率いる現場指揮官です。彼自身は、1984年の『ターミネーター』や1986年の『エイリアン2』、1994年の『トゥルーライズ』に出演していますね。どちらかと言うと、気弱で臆病な役が多く、『エイリアン2』では、ダメダメな宇宙海兵隊兵士を好演していました。今作では、勇猛果敢な曹長役ですが、やはり、出撃して間もなくあっさり、戦死してしまうような役です。



 このような俳優さんたちが、侵略者相手に戦闘シーンを繰り広げ、特にトム演じる『ウィリアム・ケイジ』とエミリー演じる『リタ・ヴラタスキ』が、勝利に向かって試行錯誤していく様は、SFファンならずとも必見なのではないでしょうか?




















(*現在公開中のため、あらすじは控えます。)