Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評- -12ページ目

Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

イーグルドライバーの観た映像作品について、あれこれ書いて行きます。
主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『猿の惑星:新世紀』(原題:Dawn of the Planet of the Apes /2014年アメリカ/130分)

監督:マット・リーヴス

脚本:リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー、マーク・ボンバック

原作:ピエール・ブールの原作小説『猿の惑星』、(キャラクター創造:リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー)

製作:ピーター・チャーニン、ディラン・クラーク、リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー

製作総指揮:マーク・ボンバック、トーマス・M・ハメル

音楽:マイケル・ジアッキーノ

撮影:マイケル・セレシン

編集:ウィリアム・ホイ、スタン・サルファス

出演者:アンディ・サーキス、ジェイソン・クラーク、ゲイリー・オールドマン、ケリー・ラッセル、トビー・ケベル、ジュディ・グリア、コディ・スミット=マクフィーら

100点満点中86




 人類が行った遺伝子操作実験の失敗から、人類は滅亡危機に瀕し、それに取って代わって類人猿が生態系の頂点に立つという古典的SF作品『猿の惑星』のリブート第2弾で、通算8作目となる作品。

 2011年公開の『猿の惑星:創世記』の続編で、人類から受ける虐待や弾圧から逃れ、サンフランシスコ郊外の大森林で独自の共生社会を築いた「言葉をしゃべる猿」=「シーザー」の束ねる類人猿集団に対し、製薬会社ジェネシス社から流出した「猿インフル」が致死率を上げながら変異・蔓延したことで、極端に人口を減らし、文明も秩序も消滅しつつある人類の凋落振りが序盤で強調される始まりです。

 人類が類人猿に対して優位性を持つとすれば、それは文化文明であり、科学技術でありますが、この作品では、文明が終焉しつつある人類は、類人猿に対して圧倒的に劣勢です。なぜなら、人類が家や社会インフラ、ライフラインが確保されなければ生存不可能であるのに対し、類人猿は自然に溶け込み、組織的な狩猟活動で、生きる糧を得ながら、必要最小限の欲望で生存できるからです。

 もっと簡単に言えば、類人猿は“火”や“光”や“熱”を得る為のエネルギーを必要としないから、人類より優位なのです。



 この作品で訴えたいことは、性悪説にたった上で・・・

 人類は不誠実さや高慢さ、根深い猜疑心を必ず持っていて、それが故に、滅亡に向かうような不幸が襲うのだということ、また、人類の欲望には際限がなく、他人の権利を奪ってもその追及のために突き進んでしまう“恥ずべき”生物であるということです。

 それに対し、類人猿は無欲で争うことを避けることで、小規模ながら生きながらえ平穏で幸せな生活が送れるのだということも描かれています。従って、この作品のテーマは、「強欲は自身を滅ぼし、無欲は自身を助ける」ということです。


 監督のマット・リーヴスは、ニューヨークで生まれ、ロサンゼルスで育ち、南カリフォルニア大学に進学し、脚本執筆を始めました。J・J・エーブラムスと出会ったことで、2008年公開の『クローバーフィールド/HAKAISHA』のメガホンを取りました。その後、スウェーデン作品『ぼくのエリ 200歳の少女』のリメイク『モールス』(2010年公開)を監督しました。 



 この作品は、主人公「シーザー」の顔のアップで作品が終了しますが、その顔は、この後あるかもしれない続編の内容を示唆する厳しい表情です。続編では、人類と類人猿との間で激しい攻防戦が行われるるような感じがしました。

















(*現在公開中のため、あらすじは控えます。)

 


『ルーシー』(原題:Lucy /2014年フランス/89分/PG12)

監督・脚本:リュック・ベッソン

製作:ビルジニー・ベッソン=シラ

製作総指揮:マーク・シュミューガー

撮影:ティエリー・アルボガスト

編集:ジュリアン・レイ

美術:ユーグ・ティサンディエ

衣装:オリビエ・ベリオ

音楽:エリック・セラ

視覚効果:ニコラス・ブルックス

出演者:スカーレット・ヨハンソン、モーガン・フリーマン、チェ・ミンシク、アムール・ワケド、ジュリアン・リンド=タット

100点満点中89




 神経科学(俗に言う脳科学)の多岐にわたる最先端理論を、やや荒唐無稽に組み合わせ、発展的に導き出した仮説を堂々とテーマに掲げる現代社会を舞台にしたアクション要素の強いSF作品です。

 この作品では、人類の脳の活用比率は、脳全体の10%に過ぎず、20%活用しているイルカには劣るものの、他の生物が数%しか使用していないのと比べ、格段に優れた種であるがゆえに、人類は生態系の頂点にいるのだと主張しています。これがこの作品の土台です。したがって、この拡張性のある「脳」の活用比率を飛躍的に向上させることで、人類の次なる進化、あるいは万物の真理、果ては宇宙の起源にまで迫れるというのが、この作品のテーマです。これだけでも、その荒唐無稽さに驚きますし、陳腐な感じさえしてきます。

 ・・・でも、そんな“疑義”を飲み込んでしまうくらい、この作品は良くできています。

 どの点で、“良く出来ている”かというと・・・それはまず、モーガン・フリーマン演じる神経科学の第一人者「ノーマン教授」の行う冒頭での公演。そして、脳の活性化を促す薬剤の存在、さらに、主演のスカレット・ヨハンソンの演技と存在感です。



 監督のリュック・ベッソンは、もうみなさん良くご存知の監督さんですが、この作品で、人名を題名にした現代劇は3作目ですね。(*『Angel-A』を人名とするなら、4作目) 過去の『ニキータ』、『レオン』がヒューマン要素のあるアクション作品であったのに対し、今作は、徹頭徹尾、人の感情や人生観などの“人間臭いモノ”を排除し、無機的に「神経科学」の奇論に臨んでいます。舞台は日常的な普通の風景の中にあるのに、登場人物並びに展開するシーンは、なんとも“冷たい”感じです。・・・なので、こういった肌感の悪い作品が苦手な方には、鑑賞をお勧めしません。向きません。ただし、結末がどうなるだろうと、多少の肌感が悪くとも、好奇心旺盛な方々には、大いにお薦めしたい作品です。本当に面白い。




 主演のスカレット・ヨハンソンは、主人公「ルーシー」を演じます。この役は、台湾で生活する女性ですが、定職もなく、チンピラのような男の世話になっているような社会不適合者です。彼女がある韓国系組織の薬物取引に巻き込まれることでストーリーが始まります。小柄でやや大顔のヨハンソンですが、健康的なお色気と謎めいた演技で、中盤以降、この世の者とも思えぬ存在感を発揮します。彼女以外にこの「ルーシー」役はありえない程の“はまり役”です。





 チェ・ミンシクは「韓国組織のボス」役です。この役は、日本で言う“ヤクザ”のような暴力組織の組長のような存在で、台湾の某所で開発された高純度「CHP4」を強奪し、欧米各国に密輸しようとします。ミンシク自身は、1962年生まれで、ソウル特別市出身の俳優です。1999年の韓国作品『シュリ』で北朝鮮工作部隊の指揮官「パク・ムヨン」を演じ、2003年には『オールド・ボーイ』で主人公「オ・デス」を演じました。いかにも反社会的な面相の個性的な俳優です。













(*現在公開中のためあらすじは控えます。)

 



『ジェイン・オースティンの読書会』(原題:The Jane Austen Book Club /2007年アメリカ/106分)

監督・脚本:ロビン・スウィコード

原作:カレン・ジョイ・ファウラー

製作:ジョン・コーリー、ジュリー・リン、ダイアナ・ナッパー

製作総指揮:マーシャル・ローズ

音楽:アーロン・ジグマン

撮影:ジョン・トゥーン

編集:メリアン・ブランドン

出演者:キャシー・ベイカー、マリア・ベロ、エイミー・ブラント、エイミー・ブレネマン、マギー・グレイス、ヒュー・ダンシー、ケヴィン・ゼガーズ、ジミー・スミッツら

100点満点中82



 カレン・ジョイ・ファウラーの同名小説を原作としたヒューマン作品。

 6人の男女が、ジェイン・オースティンの長編小説6作をテーマとする「読書会」を企画・実施するのですが、彼らが織り成す人間模様を、オースティン作品の主題と絡めてストーリーが進む展開です。この映像作品自体の大命題は“家族・友人・恋愛という人間関係を真摯に見つめ直す”ということです。

 オースティン作品を読み進めていく中で、登場人物のものの考え方や人間関係が中盤から微妙に変化していき、ラスト近くで大きく変わっていく様が、なるほどと“腑に落ちる”結末です。・・・なので、地味な作品ですが、私の評価は82点です。

*「ジェイン・オースティン」・・・ 1775年12月16日 ~1817年7月18日。イギリスの小説家、18世紀から19世紀イングランドにおける田舎の中流社会を舞台として、女性の私生活を結婚を中心として皮肉と愛情を込めて描き、その作品は近代イギリス長編小説の頂点とみなされている。また英語における自由間接話法(描出話法)の発達に大きく貢献したことでも知られる。主要作品は、『分別と多感』『高慢と偏見』『エマ』『マンスフィールド・パーク』『ノーサンガー僧院』『説得』の6作品。(WIKIより)


 今作を鑑賞なさる前に、あらかじめこの小説6作のストーリーを把握しないと楽しめない作品かというと、必ずしもそうとは言えません。むしろ、今作を鑑賞後、オースティン作品に興味を持って、小説を読み始めるというのでもいいのではないでしょうか?


 「読書会」という“集まり”は、私の周りでは全く見たことも聞いたこともありませんが、日本でこのような同好会的アクティビティは、たくさんあるのでしょうか?作品の中では、全く赤の他人であっても、気を置かずに参加を勧誘するのですが、日本人にはこのような社交性や習慣はあまりないように感じます。・・・ですから、やや好奇の目でこの作品を鑑賞していました。


*「読書会」・・・集団で読書または読書に関するコミュニケーションを行うためのイベント、またはイベントを開催するグループである。アメリカにおける読書会の形態として最も普及している形式は、一般にブッククラブと呼ばれている。ブッククラブでは、ある程度固定されたメンバーによって不定期にイベントとして開催される。イベントの内容は、特定の本をそのイベントのテーマとしてメンバーが事前に読んでおき、イベント当日にはテーマとなる本の内容についてメンバー同士で自由にディスカッションするというスタイルが一般的である。(WIKIより)



 監督と脚本を兼任するロビン・スウィコードは1952年サウスカロライナ州出身で、夫は『欲望という名の電車』、『波止場』、『エデンの東』などの作品を手掛けた監督エリア・カザンの息子ニコラス・カザンで、彼も脚本家です。また、娘のゾーイ・カザンは女優であり、脚本家です。ゾーイの出演作で印象的なのは、パートナーのポール・ダノ主演の『ルビー・スパークス』です。この作品では、ダノと彼女は製作総指揮に名を連ねています。



 出演者では、エイミー・ブラントが「プルーディー」を演じます。この役は、高校生から言い寄られるフランス語の教師で、亭主との関係が冷え切っているせいで、この誘惑に負けそうになります。母親との関係も良好とはいえず、対人関係は相当不得手です。ブラント自身は、最近作『オール・ユー・ニード・イズ・キル』に機動歩兵軍曹の役で出演しています。




 マギー・グレイスは「アレグラ」を演じます。この役は、両親が離婚の危機に瀕した20代前半の娘で、レズビアンです。グレイス自身はテレビシリーズ『LOST』に「シャノン・ルサフォード」役でレギュラー出演して有名になり、2008年の『96時間』と続編の『96時間/リベンジ』で、リーアム・ニーソン演じる「ブライアン・ミルズ」の娘「キム」を演じました。


(あらすじ)

 「シルヴィア」とその娘「アレグラ」そして「バーナデッド」は、葬儀に参加している。大型犬リッジ・バックのブリーダーである「ジョスリン」の愛犬がこの世を去ったからだ。「ジョスリン」は、未婚で40代半ばの女性であるが、他に家族がいないせいもあって、この愛犬の死が相当こたえている様子である。「シルビア」と娘「アレグラ」は、失意の底にいる「ジョスリン」を慰め、また、互いの友情を再確認しようと、「バーナテッド」が“人生の解毒剤”として勧めるジェイン・オースティンの読書会を企画する。オースティンの代表作は6作あることから、あと2人を誘って、毎月1作品づつ持ち回りで担当し、研究会式に意見交換をする形式とした。

 高校のフランス語教師「プルーディー」は、セクシーでキュートな男子高校生「トレイ」から目が離せない。夫は夫婦関係よりも自分の趣味を優先させるし、単調な毎日にうんざりしている。ある晩、接待と言ってNBA観戦に行ってしまった夫のワガママに我慢ができず、映画館の前で号泣していると・・・「バーナテッド」から声を掛けられ、読書会に勧誘される。

 「シルヴィア」は、優しいと思っていた夫「ダニエル」から、離婚を切り出される。会社の部下の女性と暮らしたいと言われたのだ。この事実は「ジョスリン」の耳にも入り、偶然出会ったITサポート企業で働くSF小説マニアの「グレッグ」を「シルヴィア」に紹介しようと、読書会に勧誘する。

 こうして、「シルヴィア」、「バーナデッド」、「ジョスリン」の3人に「アレグラ」と高校教師「プルーディー」、SF小説マニアで、オースティン作品が初めての「グレッグ」が加わって、ジェイン・オースティンの読書会が始まるのであるが、20代~40代の各世代間のギャップや生活環境、生い立ちの違いによって、作品自体や登場人物に対する意見が大分違ってくると同時に、お互いの人間性が作用し、それぞれの生き方・考え方が大きく変化していくととになるのだが・・・