Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評- -11ページ目

Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

イーグルドライバーの観た映像作品について、あれこれ書いて行きます。
主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『アメリカン・スナイパー』(原題:American Sniper /2014年アメリカ/132分/R-15+)

監督:クリント・イーストウッド

脚本:ジェイソン・ホール

原作:クリス・カイル他『ネイビー・シールズ最強の狙撃手』

製作:クリント・イーストウッド、ロバート・ロレンツ、ピーター・モーガン、アンドリュー・ラザール、ブラッドリー・クーパー

撮影:トム・スターン

編集:ジョエル・コックス、ゲイリー・ローチ

出演者:ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー、ルーク・グライムス、カイル・ガルナー、ジェイク・マクドーマンら

100点満点中103




 ブラッドリー・クーパー主演・製作による、実在の狙撃手の手記を元に脚色された社会性の強い戦争作品。

 一説によると、原作の手記『ネイビー・シールズ最強の狙撃手』を読んだクーパー本人が、映像権を取得し、ワーナー・ブラザーズに持ち込んで、映画化が決定したということです。

 『アメリカン・ハッスル』の監督デヴィッド・O・ラッセルがこの作品の監督に手を挙げたり、『プライベート・ライアン』の監督スティーブン・スピルバーグの名も上がったが、結局、クーパーの意向が通り、クリント・イーストウッドが監督することとなりました。

 作品の舞台となるのは、2003年~2013年のアメリカ本土並びに中東イラクです。これは、主人公「クリス・カイル」が1998年のアメリカ大使館爆破事件に触発され海軍に入隊し、その後、海軍特殊部隊「United States Navy SEALs」(ネービー・シールズ)の厳しい選考に勝ち抜き、そのチーム3の専任狙撃手として、イラク戦争に4度にわたり従軍したという半生が描かれているためです。




*『クリス・カイル』(クーパー↑左・本人↑右)・・・1974年4月8日生まれ、2013年2月2日没。テキサス州出身。幼い頃から、愛国心の強い父親から、自衛自立の精神を植え付けられ、狩猟の技術を叩き込まれた。「アメリカ大使館爆破事件」でその愛国心に火が付き、海兵隊募集事務所を尋ねるが、たまたま担当者が不在で入隊を断念し、代わりに陸軍の事務所に行くが、志望する特殊部隊への入隊要件に適合しないため、陸軍への入隊も断念。その後の海軍の担当者との面談から、SEALsなら選抜試験を突破すれば入隊できると知り、海軍に入隊する。そこで、生来の射撃センスを認められ、狙撃手として、イラクの戦地に4度従軍する。この戦争中の「ラマディの戦い」での勲功により、イラクの反政府武装勢力からは、「ラマディの悪魔」との異名で恐れられ、敵軍から18万ドルの懸賞金が掛けられる程であった。



*『イラク戦争』・・・アメリカ合衆国が主体となり2003年3月20日に始まり、イギリス、オーストラリアと、工兵部隊を派遣したポーランド等が加わる有志連合によって、イラク武装解除問題の進展義務違反を理由とする『イラクの自由作戦』の名の下に、イラクへ侵攻したことで始まった軍事介入。米軍対イラク軍の正規軍同士戦闘は、2003年中に終了するが、イラク国内での治安悪化とイラクのアルカイーダの暗躍が顕著になったため、その後も、戦闘と駐屯は続行された。




 監督は『ミリオンダラー・ベイビー』や『父親たちの星条旗』、『硫黄島からの手紙』のクリント・イーストウッド。「ダーティ・ハリー」役でも有名な役者さんでもあります。




 主演のブラッドリー・クーパーは、SEAlsの伝説の狙撃手「クリス・カイル」役で、イーストウッド監督によると、役作りの為チョコレートバーなどの高カロリー食品を摂取し続け、約20kg体重を増量するとともに、実弾による射撃訓練を積んで、この役に望んだそうです。




 彼の妻役「タヤ・カイル」は、シエナ・ミラーが演じます。彼女は、米英の二重国籍を持つモデルであり俳優でありデザイナーです。2009年の『G.I.ジョー』に出演していましたね。悪女役でした。今作では、結婚生活の三分の一以上を戦場で過ごす夫の安全と一男一女の子供と家庭を守る堅実な妻を演じています。実際の「タヤ」も美人ですが、ミラーも相当な美女です。


 この作品では、イラク戦争の意義を云々するよりも、愛国者「クリス・カイル」が、軍に志願するに至る動機や4度に渡って従軍する心の“よりどころ”と“闇”が分かりやすく描かれています。また、彼を支える妻「タヤ」の夫に対する思慕の念や国に残された孤独感・不安感・恐怖感が見事に描かれています。

 戦争作品にありがちなアクションや銃撃シーンの派手さよりも登場人物の内面の方が重く描かれている点が秀逸です。(*戦闘シーンは、相当強烈ですし、臨場感と緊迫感・焦燥感はかなりなものです。念のため)


 戦争作品としてではなく、ヒューマンドラマとして、数週間後にもう一度、鑑賞したくなるような優れた作品です。今の時点では、アカデミー作品賞はどの作品にその栄誉が与えられるかは解りませんが、今年のイーグルドライバーの最優秀作品候補に入る作品です。









(*現在公開中のため、あらすじは控えます。)

 




『ホビット 決戦のゆくえ』(原題:The Hobbit:The Batttle of Five Armies /2014年アメリカ/145分/G)

監督:ピーター・ジャクソン

脚本:フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエン、ピーター・ジャクソン、ギレルモ・デル・トロ

原作:J・R・R・トールキン『ホビットの冒険』

製作:キャロリン・カニンガム、ゼイン・ワイナー、フラン・ウォルシュ、ピーター・ジャクソン

製作総指揮:アラン・ホーン、トビー・エメリッヒ、ケン・カミンズ、キャロリン・ブラックウッド

音楽:ハワード・ショア

撮影:アンドリュー・レスニー

編集:ジャベス・オルセン

製作会社:ニュー・ライン・シネマ、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー、ウィングナット・フィルムズ

配給:ワーナー・ブラザーズ

出演者:イアン・マッケラン、マーティン・フリーマン、リチャード・アーミティッジ、
エヴァンジェリン・リリー、リー・ペイス、ルーク・エヴァンズ、ベネディクト・カンバーバッチ、ケン・ストット、ジェームズ・ネスビット、ケイト・ブランシェット、イアン・ホルム、クリストファー・リー、ヒューゴ・ウィーヴィング、オーランド・ブルームら

100点満点中86




 『ホビットの冒険』3部作の三作目にして、このシリーズの完結編であり、これに続く『ロード・オブ・ザ・リング』三部作の前日譚となるアクション色の強いファンタジー作品。

 主人公の「ビルボ・バギンズ」が、魔法使い「ガンダルフ」らの突然の訪問で、ドワーフの王族一派と『思いがけない冒険』(2012年公開)に出てから、『竜に奪われた王国』(2013年公開)にたどり着き、王国に蓄えられた財宝をめぐって、また、種族間紛争を火種として五軍の合戦が勃発する顛末が描かれ、最後にある結末が提示される展開です。ちなみに、主人公「ビルボ・バギンズ」は、このあとのシリーズ『ロード・オブ・ザ・リング』の主人公「フロド・バギンズ」の育ての父です。




 監督のピーター・ジャクソン(↑)は1961年生まれ、ニュージーランド出身の映像作家で、2014年ハリウッドの殿堂入りを果たしました。幼少期から、映像製作の興味を持ち、キングコングのリメイクに執念を燃やすが、大手からは全く相手にされず、ホラー作品中心に監督業を続けていました。1990年頃からカルト作品の監督として一躍有名となり、1995年頃からハリウッド映画に参入し、『ロード・オブ・ザ・リング』の原作小説『指輪物語』の映像化に着手しました。そして、これらシリーズ全ての監督を務め、今作で完結となりました。ちなみに、『キング・コング』は2005年に、ナオミ・ワッツ主演で公開され、世界で5億5000万ドル以上の興業収入を得る大成功を収めました。




 主演のマーティン・フリーマン(↑)はホビットで“忍びの者”とも呼ばれる「ビルボ・バギンズ」を演じます。このシリーズ1作目では、ホビット庄から出たこともなかった内気な青年であったが、最終作では、立派な戦士であり、良識人に成長した姿を見せます。フリーマン本人はイングランド出身の俳優で、イギリスのTV番組に多く出演した後、ハリウッド作品にも出演するようになりました。2005年の英米合作作品『銀河ヒッチハイク・ガイド』の出演では、彼の持ち味を遺憾無く発揮していました。




 イアン・マッケラン(↑)は、灰色の魔術師「ガンダルフ」を演じます。この役は、竜に奪われた王国に蓄えられた財宝が、各種族間の紛争の元となる事を懸念し、もともとの所有者であるドワーフの手に戻そうと奮闘する“賢者イスタリ”の一人です。彼はただ元の所有者に王国を返すだけでなく、礼節と節度を知らぬドワーフに対し、周辺諸国との協調の大事さも教えようと自らも戦います。マッケラン本人は、やはりイングランド出身の俳優で、 『X-メン』シリーズの「マグニートー」役で有名ですね。同性愛者の権利擁護運動でも有名です。














(*現在公開中のため、あらすじは控えます。)

 その他、日本でも有名な俳優陣が多数出演する娯楽大作となています。原題のとおり、5つの軍隊が入り乱れての、終盤の戦闘シーンは圧巻で、手に汗握る興奮のシーンの連続です。ただ、灰色の魔術師「ガンダルフ」は、続くシリーズ中で、どんな理由で白い魔術師として復活するのかは、疑問の残ったままです。

『フューリー』(原題: Fury /2014年アメリカ/134分/G)

監督・脚本:デヴィッド・エアー

製作:ビル・ブロック、デヴィッド・エアー、イーサン・スミス、ジョン・レッシャー

製作総指揮:ブラッド・ピット、サーシャ・シャピロ、アントン・レッシン、アレックス・オット、ベン・ウェイスブレン

撮影:ローマン・ヴァシャノフ

編集:ドディ・ドーン

音楽:スティーヴン・プライス

出演者:ブラッド・ピット、シャイア・ラブーフ、ローガン・ラーマン、マケル・ペーニャ、ジョン・バーンサル、ジェイソン・アイザックス、スコット・イーストウッドら

100点満点中97





 第二次世界大戦終盤の欧州戦線において、ドイツ領土深くに進軍した戦車小隊の奮闘を描いた、ヒューマン要素の大変強い戦争アクション。

 製作総指揮に主演のブラッド・ピットが名を連ねています。作品製作は彼のライフワークとなっていますね。出演作品の選定だけでなく、自ら出演する作品の創造にまで関わるのが、ピットスタイルということです。



 この作品は、もちろん、戦争讃歌のような作品ではなく、戦争批判の色濃い作品で、戦場の狂気やむごたらしさ、不条理さをことさら強烈に表現しています。

 ・・・ですので、最後まで拝見すると、相当に暗澹たる気分になることを記しておきます。そんな気分にさせる要因は、脚本であることに間違いはないのですが、それよりも、戦闘シーンの迫力と臨場感ある現実性の再現なんだと思います。

 まーとにかく、“すごい”凄すぎるシーンの連続です。


 砲弾が真上から雨あられのように着弾する様と重低音の爆発音、米軍中戦車と独軍88mm対戦車砲中隊との戦闘、米軍「M4中戦車」と独軍「重戦車:ティーガーⅠ」との対決、機動力を失った米軍「M4中戦車」対独軍SS歩兵300名との決戦など、劇中、大きな戦闘アクションが5~7エピソードあって、その合間に、戦闘員やドイツ領内の人々の人間模様が挿入され、当時、戦争に否応なしに関わらざるを得なかった人々の心情が織り込まれています。

 この動と静のコントラストに私のような鑑賞者は、相当やられてしまうのです。

 やらねば、やられてしまう強者必勝の戦場で、残虐と狂気に支配された戦場で、各戦闘員が理性と良心が心中にありながら、恐怖感に押しつぶされながらそれに耐えて、殺戮を重ねていく悲劇が、“これでもか、これでもか”というくらい徹底的に描かれています。この辺りが、従来の戦争映画の中でも、最も濃厚な部類に入る作品であると言えます。・・・なので、鑑賞後、暗澹とした気分になるのです。




*M4中戦車・・・第二次世界大戦時に、アメリカ合衆国で開発された中戦車で通称「シャーマン」。車体前部左右に正操縦席と副操縦席兼前方機関銃座が設けられている。砲塔内には車長・砲手・装填手の3名が、車体前部左右に正操縦士と副操縦士が搭乗し、合計5名で1車両を運用する。主砲は75mm戦車砲M3(M61弾で初速619m/s)を装備し、副武装として12.7mmM2重機銃1丁が車外に装備され、更に7.62mmM1919機関銃3丁が、車外と砲塔内、副操縦席に各1丁づつ装備されている。




*テイーガーⅠ・・・第二次世界大戦時に、ドイツで開発された重戦車でⅥ号戦車の通称。上記のシャーマンと同じく5名で運用する。主砲は8.8cm(50口径)Kwk36L/56砲を装備し、副武装として7.92mmMG34機関銃2丁が装備されている。特にこの8.8cm主砲の威力は、大戦終了まで最も強力であり、連合軍に恐れられた戦車砲であった。


 監督のデヴィッド・エアーはイリノイ州シャンペーン出身の映画監督であり脚本家でありプロデューサーです。潜水艦戦と諜報作戦を融合っせて描いた『U-571』や市警の悪徳警官の悪業を描いた『トレーニング・デイ』で脚本を担当し、その後、監督を務めるようになりました。




 主演のブラッド・ピットはもうご説明する必要はないですね。今作では、戦車小隊L1-6の小隊長(車長)「ドン・“ウォーダディ”コリアー」軍曹を演じています。この役は、ナチスドイツ、特にSSと言われる親衛隊を徹底的に嫌う下士官で、車長として、 「フューリー」と名づけられた1両の中戦車「M4シャーマン」を預かる隊長です。アフリカ戦線から、戦車兵として従軍し、類い稀なる操縦術、砲術の才能を発揮して、数々の戦闘を勝ち抜いてきた猛者です。彼が車長となって、命拾いした搭乗員からは絶大なる信頼のある親分であり、名前の通り“戦争の親方”たる存在です。




 シャイア・ラブーフは、砲手「ボイド・“バイブル”・スワン」上等兵を演じます。車長「ドン」を信じて、指示通りに照準し、性能・火力で勝る敵戦車に対し、的確に砲弾を叩き込みます。沈着冷静であり責任感も強い役。本人は、『トランスフォーマー』シリーズ前3作の主演で有名ですね。




 マイケル・ベーニャは、正操縦士「トリニ・“ゴルド”・ガルシア」伍長を演じます。この役は、メキシコ系アメリカ人で、やはり、車長「ドン」を信じて、指示通り、M4シャーマン中戦車を操縦します。ベーニャ本人は、イリノイ州シカゴ出身の俳優で、2007年の『ザ・シューター/極大射程』や2011年の『世界侵略: ロサンゼルス決戦』などのアクション作品に出演しています。




 ローガン・ラーマン(↑上右・下左)は、新兵「ノーマン・“マシン”・エリンソン」を演じます。この役は、情報部配属予定のタイピストでしたが、人員不足で急遽、戦車小隊に配属された若者です。虫も殺したこともないような善良な青年でしたが、「M4シャーマン」の副操縦士として乗組み、主に右翼警戒と機関銃射手を担います。車長「ドン」から受けたある“洗礼”をきっかけとして、一人前の??戦闘員となります。ラーマン本人は子役出身で7歳の頃から映画に出ており、2004年の『バタフライ・エフェクト』の出演が印象的でしたし、2010年の『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』や続編の『・・・/魔の海』の主演で有名です。


 ピット始めこれらの達者らが冷たく泥濘んだ戦場にたたき込まれ、未曾有の激戦に突入していくのです。













(*現在、公開中のためあらすじは控えます。)