魅力的な人物も登場し、新シリーズとなるか?『ボーン・レガシー』(トニー・ギルロイ監督作品) | Eagle-eyed Cinema Review-鷲の目映画評-

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イーグルドライバーの観た映像作品について、あれこれ書いて行きます。
主に「洋画」ですが、ジャンルにはあまりこだわらず、インスピレーションで拝見する作品を選んでいます。
海外の「ドラマ」も最近は気になります。

『ボーン・レガシー』(原題:The Bourne Legacy /2012年アメリカ/135分)

監督:トニー・ギルロイ

脚本:トニー・ギルロイ、ダン・ギルロイ

原案:トニー・ギルロイ

原作:ロバート:ラドラム

製作:パトリック・クロウリー、フランク・マーシャル、ベン・スミス、ジェフリー・M・ワイナー

製作総指揮:ジェニファー・フォックス、ヘンリー・モリソン

音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード

編集:ジョン・ギルロイ

出演者:ジェレミー・レナー、レイチェル・ワイズ、エドワード・ノートン、ジョアン・アレン、アルバート・フィニー、スコット・グレン、ステイシー・キーチ、オスカー・アイザック、デヴィッド・ストラザーン、ルイ・オザワ(『プレデターズ』)ら

100点満点中86点
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 「ジェイソン・ボーンは氷山の一角に過ぎなかった。」というキャッチ・コピー通りの設定で、今回は主人公「アーロン・クロス」と相手役「マルタ・シェアリング」という魅力的な人物が登場し、CIAのさらに“闇の部分”が作品のテーマとなります。

 今までの「ボーン・シリーズ」が、欧州中心の活劇であるのに対し、今作は、後半部分で、フィリピンのマニラが主な舞台となり、また、韓国のソウル?らしき街の一角も出るなど、アジア色豊かな作品となっています。元気の無い欧州より、新興国の仲間入りをした元気あるアジアの国々の方が、作品の内容に合っているということなのでしょうか?また、フィリピンの街並みの雑多な感じが、新たなシリーズの予感を感じさせなくはないですね。 

 「ボーン・スプレマシー」と「ボーン・アルティメイタム」でメガホンを取ったポール・グリーングラスは、今作の構想の初期段階で降板し、それに伴ってマット・デイモンも出演を辞退した経緯があります。

 今作の監督はトニー・ギルロイが務め、彼はグリーングラス監督の降板後、始めから構想を練り直したようで、「ボーン・シリーズ」3作や『消されたヘッドライン』の脚本を書いたそのセンスと力量で、今回は原案・脚本・監督をこなしました。監督としては、グリーングラス監督に遠く及ばないものの、彼の書いた脚本によるアクション・ミステリーやサスペンス・ミステリー作品はどれも傑作ですね。


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 主演のジェレミー・レナーは、CIAの特殊工作員「アーロン・クロス」役で、酷寒のアラスカから、シカゴそしてフィリピンへと移動し、CIAからの追手を殲滅しながら“ある目的”を達成します。この「アーロン・クロス」は、生身の人間からすると、まるで「超人」のようで、それには“ワケ”があります。無骨な面相のジェレミーは、理知的には見えませんが、思いつめたような哀愁や悲壮感があって、女性の立場なら、その強さの割には、なんか寄り添ってあげたくなるような、母性本能をくすぐられるような“頼りなさ”を漂わせます。


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 相手役のレイチェル・ワイズは、CIA関連の研究所に務める「マルタ・シェアリング」博士役で、地味な黒髪ながら、理知的で洗練された魅力をもつ女性を演じてます。この役は、CIAの極秘作戦に関わる研究所で、特殊な訓練や投薬を受けた工作員の血液や体の状態を検査する医師で、その極秘性ゆえ、序盤以降、命を狙われる事となります。


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 また、CIAの対策本部の指揮官「リック・マイヤー」役は、あのエドワード・ノートンが演じ、押しが強く冷徹でありながら、ある意味小心な男です。極秘の「トレッド・ストーン」作戦、「ブラック・ブライヤー」作戦が、マスコミの知れるところとなったため、他で進行中の「アウトカム」作戦などの発覚を恐れて、それに関わる大勢の工作員や研究者を抹殺し、隠ぺいを謀ろうと画策する悪の張本人です。


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少しネタバレになってしまいますが・・・(以下、本当にネタバレになってしまいました。知りたくない方は、読まないでくださいね。


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 今作は、スピンオフ的な作品であり、また「ボーン・シリーズ」よりも、話がやや込み入っていて、単なる訓練や教育で特殊工作員を育成するような、生易しい?作戦計画の犠牲者の話ではなくて、投薬や活性ウィルスの感染により、遺伝子を組み替えられて、心身ともにサイボーグ化された元兵士の悲壮な逃亡劇でもあります。また、主人公「アーロン・クロス」と指揮官「リック・マイヤー」との間に、何か因縁めいたことがあるシーンがたびたび登場しながら、はっきりと言えていないなど、続編がありそうな結末です。今作は、135分とやや長めなのですが、前半のゆっくりした導入展開と、中盤以降のハイスピード・アクションの長回しの割には、あっさり終わってしまったような印象もあります。最後まで観て、物足りなさを感じさせることで、次回作への期待を膨らませる“作戦”なのかもしれませんね。

(現在公開中のため、あらすじは控えます。)