『21グラム』(原題:21Grams/2003年アメリカ/124分:G)
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
脚本:ギレルモ・アリアガ
製作:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、ロバート・サレルノ
製作総指揮:テッド・ホープ
音楽:グスターボ・サンタオラヤ
撮影:ロドリゴ・プリエト、フォルトゥナート・プロコッピオ
出演者:ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ベニチオ・デル・トロ、シャルロット・ゲンズブール(「アイム・ノット・ゼア」)、クレア・デュバル(「アイデンティティ」「実験室KR-13」)、ダニー・ヒューストン(「記憶の棘」「ナンバー23」)ら
100点満点中77点
ある交通事故で脳死状態となった男性の心臓が、別の男性に移植された事で、3つの家族の人間関係が交錯するヒューマン作品。
時系列順にシーンが並べられていないクロス・カッティング構成で、登場人物の心的動きや行動のきっかけとなった場面にシーンが飛んで行く作りになっています。・・・なので、ボーっと観ていると重要な部分を見逃してしまうかも知れません。
人は死ぬと、「21g」分体が軽くなるという“人がいつか失う重さ”=「魂の重量」をテーマとしています。主人公「ポール・リヴァース」が瀕死の重傷を負い、生死の境をさまよう終盤のシーンで、彼がベッドの中で、朦朧とする意識の中で、この事を「自問自答」します。
実際に失う「重量」以上に、亡くなった人間が失うものは“何か?”を問う部分で、鑑賞者それぞれの“胸に来るもの重さ”が違ってきます。
ストーリーは、至って「簡単」ですが、・・・「単純」なので、ワザと、シーンを“クロス・カッティング”して、各登場人物の抱える物語の流れを強く印象付ける土台の効果を演出しています。
また、重要な3人の登場人物が奮闘演技する姿が、その舞台で鬼気迫る力を持って我々に向かって来ます。
主演のショーン・ペンは、大学の数学教師「ポール・リヴァース」役で、イギリス出身の妻「メアリー」(シャルロット・ゲンブール演ず)とは以前一度離別し、再会後結婚した人物ですが、結婚後も・・・やはりこの英国人妻とはうまくいかず、苦悶しながら結婚生活に耐える中年男性ですが、それ以上に、大きな“問題”を抱えています。彼はこの役でヴェネツィア国際映画祭で主演男優賞を受賞しています。
相手役のナオミ・ワッツは、やや裕福な専業主婦「クリスティーナ・ペック」役で、年の離れた子煩悩な夫「マイケル」(ダニー・ヒューストン演ず)と小さい娘2人と幸せに暮らしていましたが、この命より大事な”家族”との死別で、麻薬とアルコールに溺れる生活となります。この作品中の彼女も、本当に「美しい」
助演のベルチオ・デル・トロは、宣教師「ジャック・ジョーダン」役で、強盗を含む複数の犯罪歴を持つ人物で、現在は、一男一女を持つやや厳格な父親で、夫です。冒頭では、過去の罪を反省し、神の道を伝道する立場で、道を踏み外しかけ若者に“神”の存在を説きます。後半には、“ある事故”をきっかけに、その信仰心が大きく揺るぎます。
この出会うはずのない3人が、ある事件・事故をきっかけに出会い、テーマとなる「21グラム」とは?何かに迫って行きます。
(あらすじ)
*実際に、作品をご覧ください。