そら新しいクルマに浮き足立つこと、男子なら
多かれ少なかれあると思いますが…
生産拠点に連れ帰ってやりたい
と、なんか夜中にそう思い立ちましてね
磐田かあ…
あのくっさい田舎だなと。磐田の方、田舎の方
気を悪くなさらないで。僕、贔屓のクラブ以外どこの
ホームタウンも原則糞、というのがフーリガンの
基本理念と考えますので。まあ湯にせよ飯にせよ(可能なら
女にせよ)遠慮なくがっさりいただいて帰りますがね。
ないんですよ磐田って。茶ぐらいしか。
いや、あるんでしょうけどね調べりゃ。こっちから
へりくだって調べてさしあげるほどのとこじゃなし。
いやマジごめんなさい磐田。
で、べつに磐田じゃなくてもいいんじゃない?清水とか
沼津まで戻ったっていいんじゃない?それはそうかも。
でも磐田ってすぐ先は浜名湖、って相当な辺境。
そこまでブッ刺しといて清水や沼津まで引いてしまっては
それは負けだ。
もう岡崎まで行こうオレ。勝とうオレ。

枡八は家康公のお膝元岡崎の誇る日本一のうなぎ屋。いや正確には
日本で唯一無比のうなぎ屋。タレのドス黒い、箸で楽々持てる
硬そうなうなぎ、小汚い外観、店の戸、丼、湯呑み…触れるものすべて
生臭い。初めてこれを目にした時(お持ち帰りを土産にいただいた)
ああこれは喰えんかも、スーパーの魚売り場でつかまされた最悪の
ゴムうなぎのようと思った。実はふんわり。身のソリッドさを
支えているのはわずか数ミクロンの、炭火で苛めに苛めぬかれた
身が本来湛えている脂と濃口のタレでフランベされキャラメリゼされた
表層。その一枚下はとろけるよう。極厚の身と黒魔術のような炭使い。
矢も盾もたまらず来訪したのが5年前か。たぶんうな丼が1400円だった。
イートインする客よりテイクアウトのご近所さんが圧倒的。パックに
雑に入れて新聞紙でくるんでほい。そのぞんざいさが信頼に足る。
はっきり申し上げてここのうなぎを知る前はどこのうなぎもそこそこ
うまかった。高い金を出しゃそのぶん満足できた知る前までは。
帰れないうなぎ。
今は2000円。

高騰で仕入れもままならないだろ?値上げしたって
2000円じゃ味落ちてるかもな。いいえ益々帰れない味。
2000円はいいが高速代ガソリン代はいくらだ貴様。
もう他所でうなぎはいいや。いくらかかっても年に一回…いや
数年に一回、最低でも4年に一回は枡八でうなぎを。死ぬまで。