すきやきは生卵につける派。圧倒的に。食には
様式美というものがある。スプーンで啜る
みそ汁はうめえのかよ、って話。必然よりも
美の追求だ。が!
甘い割下、肉の脂、生卵…エッジが効かぬにもほどが
ある。後半戦ほとほとダレる。自分で所望しといて
もう飽き飽きだ!となる寸前に京の黒七味投入。山椒の
ストロングなやつ。守りに入って何がわるい?これは
超オフェンシブなディフェンスだ。
僕はしゃぶしゃぶの、沸かした水道水で肉を濯ぐテーゼも
気に入らず、昆布ダシに白味噌を溶いたやつでゆわす。
ほどほど伝統的だけど要所要所で革命的な、大人の
男。ついこないだまでは。
したら都会では生卵におろしニンニクらしい。
「アンタなんか骨の髄までありきたり」と言われた気が。
脳内で卵とニンニクが直結するの、サプリメントぐらいだ。
ちょっと想像がつかないので、やってみましょうか。
そうしましょう。


磁場がくるう味?
あれ?今何喰ってんだっけ?和洋中韓印…アフリカ大陸や
中近東…猛スピードで世界地図をスキャンしてるよ
僕の味覚GPS。タンゴのリズムでポルカが踊るんだよ。
大袈裟?大袈裟か?じゃあアンタ試してみ。やってみ。
ここでよろしかったでしょうか?
結局、磁気嵐の末、僕の脳内衛星と味蕾が指し示した
おぼろげな座標は
生涯にたぶん一度か二度しか食べたことない、和風の
和牛100%の、少しレア気味の
超高級ハンバーガーの罪深いお味。
おいしゅうございましたが、水面下で満腹中枢も
迷走してた模様で、今ものすさまじい胸焼けしてます。
ありがとうございました。人生、谷欠谷欠。