あの頃、僕はスライダーズやブランキーなんて
聴かずに何にうつつをぬかしてた?世紀末の始まり。
『ヘッド博士の世界塔』
ああ最悪にまた頭でっかちな(笑)そらスラやブラは敵だ。
妥協点が見当たらない。でもこのアルバムは凄いんだぜ。
何が凄いって再発できないぐらい凄い。凄すぎてもう。
あの傲慢なふたりは「サンプリング?訊かれたらいや
演奏してます僕たちって云う(笑)」と嘯いてたけど
そういう洒落の罷り通らぬ時代だ。なんて生き苦しい。
僕のクルマのHDDでこのアルバムだけが蚊の鳴くような音圧で
やけくそ気味に音量を上げると、次に来るオアシスの1stで
耳を潰す羽目になる。国の威信をかけてこれのリマスターに
乗り出せよ政府。著作権諸々超法規的措置でございますと。
僕の讃美歌。

病めるときも健やかなるときもこれを聴いた。
恋をしたらかならずこれを捧げた。夜はこれを抱いて
眠った。天に昇りそうな瞬間は頭の中でこれが鳴る。
砕け散る刹那、辛い現実を辛いと受けとめねばならぬ
その刹那、これを鳴らす。気分じゃないんだよなと
この歌を遠ざけたことが一度もない。誓ってない。
今、僕はとても自由だけど、この歌と世界塔に関しては
永遠に囚われの身。あのふたりの仕掛けた「10年殺し」。
どころか25年殺しだよもう、フリッパーズ。