いわき、リアリー、リアリー、リスペクタブルだった。
石炭の採掘には掘っちゃあ湧いて出る湯は厄介事で
でもその湯を味方につけ仮想常夏の楽園をでっち上げた。
温泉であっためりゃいいっぺ。
はじめて訪れた時はドーム内にたちこめる硫黄臭に
面食らった。いかに湯量豊富と云えど、施設のプールや
浴槽が掛け流しなわけはないが、それでも濃厚に匂い立つ
それは隠しようもなかった。椰子の木とフラとたまご臭。
ゲートイン。来るぞ。あれ来ないぞ。

大浴場は?来ないぞ。日本最大級の露天の湯は最大級なりの
大循環湯祭だが、掛湯槽はぷんぷんだったはず。前回は両腕が
ぷるぷるするまで、修行僧のようにかぶり湯をしつづけた。
ひとかぶり、ふたかぶり。来んよ。いわきの泉質、変わった?
調べたら「震災で枯渇したがまたすぐ別泉源をボーリングした…」
「成分表で硫化水素イオンが二割減…」とか云う人もいらして
まあそうゆうネガティブな情報は市や観光協会は謳わないからね
真偽のほどは定かじゃないけど、フロントに訊く野暮はしない。
一番いい風呂はどこですか?「ウィルポートの浴場でございます」
部屋からほんの百歩ぐらい。掛け流し。小ぢんまり。人気なし。
肩透かし。クアハウスみたいのかと。浴槽とカランのみ。
全然それでいいです。
硫黄?匂わなくてもOK。
黒い微細な湯の花、食塩泉、軽い鉱物油の香り、くそあたたまる。
すべすべとは少しちがう。肌が心地良くキシキシ軋む感じ。浴後は
汗が引かずに困る。でも気を失うように寝た。くそあたたまる。
地の滴、星の営み、感謝永遠に。