昔、母の田舎に遊びに行くと、祖母が小遣いをくれ
まあ田舎っつっても都下なんで、そこそこ栄えた街に
繰り出してさ、まるで宵越しの金が葉っぱにかわるのを
怖れるようにレコードばかり買い漁った。個人経営の
街のレコード屋なんてもんはじつに牧歌的で…
ヴァン・ヘイレンは堂々ハ行に
鎮座ましましていたり、太マジック手書きの仕切り板に
デゼット・ボーイ
そうゆう人がいるんだ、と思い込むでしょ?
子供心に。まあのちにお茶の間の大人気者になる前の
奇天烈なトリックスターだった頃の話だからねえ。
のちに僕はオトコオンナのデゼットでとんだ。

Life on Mars?
僕は所謂グラムロックというのが好きじゃないんだが
初期のデゼットの、連れ去られ感、拐かされ感が
たまらなく好きだった今も。夜中に悪いひとたちが
やって来て、笛を吹きタンバリンを打ち鳴らす。
見た目は醜悪だが父母が云ってたほど悪いひとじゃない。
「ほらごらん、夜空ってのは立派に宇宙空間なのだよ」
絶対ついてった今も。
Space Oddity
シュールな夢ほど鮮明に焼きついてるじゃん。

あれはたぶん神隠しみたいものじゃなかったか?今も?
12才の細胞に流れ込んだまままだ抜けきれちゃいない。