昨日、私はシャンソンの発表会に出た。今までシャンソンは聴くだけだったが、昨年5月にギター弾き語りを再開し、フォークソングを中心に歌って弾いていたのだが、せっかくシャンソン・ライブ・ハウスに通うようになって、耳も肥えてきたところだ。シャンソンも聴くだけでなく、歌ってみたい。エルム(ライブ・ハウス)では、シャンソン教室もやっているという。そしてこの1月から教室に通うことになった。そして発表会である(^_^.)

                        

 100人近い生徒さんたちが次々と、バント(ピアノ、エレキギター、ベース、ドラム)をバックに歌っていく。皆それぞれに「一曲入魂」で、興味深い。ただ数日前に私の先生からもらった100名弱の出演者のプログラムを見て1つ驚いたことがあった。なんと男性は3名のみ。あとは全て女性だった。しかも59歳の私より高齢の方がほとんどだ。しかし皆さん上手に歌い上げていく。
男性はなかなか年を取っても趣味の世界に足を入れる人がいないのかなあ?と考える。


 4グループに分かれていて、私は3グループの第一番(ギター弾き語りのため、マイクと譜面台のセッティングがあるため)で、舞台の大幕が上がると同時に演奏することとなった。幕が上がり、スポットライトを浴び、バンドの演奏に合わせて、歌い、ギターをつま弾く。この日のために相当練習した「愛の出帆」(M.サルドゥー歌)だが、若干喉の調子も悪く、出だしからイマイチで、自分の歌唱のピッチ(音程)が少しズレているのが自分でわかり、修正しようとするがうまく行かない。私の歌唱指導をしてくれている先生にバックコーラスでハモってもらった。こちらはさすがにうまくハモってもらっていた・・・。3分24秒の私の時間はあっという間に終わった感じだった。

 

 さて、発表会なので、リハーサルも極簡単なもので、先生が一応歌唱をチェックするだけであるのでいたしかたない。ギター弾き語りで出演する私としては、ギターも直接アンプにつないでもらってやってほしかったが、音量の調節が困難という理由(それは十分できるでしょ?とは思ったが)で、それは叶わなかった。そのためギターはイントロの部分だけよく入っていたと思うが、あとはほとんど、バンドの音にかき消された感じだった。

 喉の調子が今ひとつのせいもあってか、(緊張はなかったと思うが)いつになくピッチ(音程)がうまくバンドに乗せられなかったのが、ちょっと悔やまれた。

 

とまあここまでは前置きで、ここからが掲題の件で本題である。

 発表会が終わり、打ち上げ会となった。私の席は幹事さんの計らい(男性は3名しか出演者がいないせいか)で、この発表会の名誉講師であり、エルムのオーナー(フランス芸術文化勲章叙勲ピアニスト、日仏シャンソン協会日本支局長)である加藤修滋さんの席の隣の隣となった。

私曰く「加藤修滋さんのブログ『永田文夫先生の言葉』を読みました(下記参照)『この歌を紹介したい』という熱いアマチュア精神がプロから薄れつつある。その永田さんの言葉は重いですね」

http://ameblo.jp/chansonlove/entry-12264507209.html

加藤修滋さん曰く「そうなんです。今のプロ歌手は、皆が歌っているお客様受けする歌を、何気なく歌ってしまっている。新しい歌を積極的に聴いて、この歌いいなあ!~広めたい!という情熱を持った歌い手が少ないのが現状です」

「それから、今日の発表会を聴いていて、全般的に感じること・・歌は上手に歌おうとするより、その歌の演奏をしっかり聴いて、演奏に合わせる努力をすることが肝要だと思いますね」と言われた。

えっ?上手く歌うことより、その歌や演奏をしっかり聴け?なんだか禅問答のようだ。

  加藤氏曰く「楽器は微妙に音がズレます。(「そうそうウチ(エルム)の1階のピアノもそろそろ調律しないとだめだな」と小声で)その微妙なズレを聞き分ける、繊細な耳が必要なのです。繊細な耳があれば、自然と歌は上手になる。だから原曲や上手な歌い手の歌を沢山聴いて、耳を鍛えることが肝要ですね。だから歌唱は、楽譜に忠実に歌うのではなく、微妙なピッチ(音程)の楽器に合わせることが大切なんです」

「なるほど、確かに素晴らしい音楽を聴いていると、耳は鍛えられますね(以下、私の独り言「音楽はいい音を聞きたいので、自宅PCでも”OLASONIC”という所のちょっと高価なスピーカーで聴いてます。これ!なかなか良いです!」)で耳を鍛えれば、自然と歌はついて来るのですね

 加藤修滋さんの言われるように、確かに耳が悪くなると、歌唱力(というか音楽力)は落ちると思う。ウチの父が82歳くらいまでは、ハーモニカ(これはプロ級)とトランペット(こちらはアマチュア級)をやっていたが、耳が遠くなり(悪くなり)痴呆症が進んで(84歳くらいになったら)きたら、まずペットの音がおかしくなり、続いて、すばらしい音色だったハーモニカまでもおかしくなってきた。最初の数ヶ月、本人は気づいていなかったようだが、そのうち自分でも分かり、どちらも止めてしまった。パーシーフェイスやマントヴァーニー・オーケストラが大好きだった父。今は音楽をほとんど聴かなくなった。聴いて楽しくないと言う。今は3分前に話したことを何回も聞いてくるまで進行してきた。まだ私の顔を覚えていてくれているのが救いだ。

 

 話が横道にそれたが、音楽はとにかく耳(聴覚)が大切で、その次が口(発声)というのがよくわかった加藤修滋さんからの非常に蘊蓄のあるお話(会話)であり、とても有意義な打ち上げ会であった(^_^.)このようなお話を聞けただけでも、発表会に参加したかいがあった(*^_^*)

 ただシャンソンを聴くだけだった私の歌の世界が、少し開かれたような感じだ(^_^.)