ミナミの帝王に学ぶマーケティング講座!
私は常々、不思議に思っていることがあった。
それは、
なぜ「ミナミの帝王」の表紙は全て似通っているのか?
と、いうことだ。
2冊並べたら間違い探しのレベルだ。
果たして、これは作者の手抜きなのだろうか?
確かに、1ページ1コマを使って本来3話で終わりそうな話を、コミック2冊分まるまる使って水増ししているのだから、もはや手抜きと言われても仕方がないだろう。
(これで1ページ!)
しかし、
そう考えるのは早計だ。
あなたは、まだ「ミナミの帝王」の本当のスゴさを何一つ理解していない。
なぜなら!
「ミナミの帝王」は、時代のトレンドを読みきった素晴らしいマーケティングの教科書なのだから!!
そこで!
私が長年研究してきた「ミナミの帝王の4つの凄さ」を出し惜しみなく発表しようと思う。
心して聞いて欲しい。
ミナミの帝王の凄さ①
【漫画家よりも漫画屋としての姿勢が徹底している。】
先ほどは3話で終わる話を2冊分に水増ししているなどど言ったが、実はこれこそプロの仕事。
単行本が1冊売れるたびに入ってくる印税に内容の濃さは加味されない。
それならば内容を6倍に薄め、6分の1の労力でコミック一冊分の印税が入ってくる方が遥かに効率的だろう。
もちろん、それで顧客満足度が下がってしまっては意味がないのだが、それについても問題ない。
内容を薄めることにより。新たなメリットを作っているのだから。
そのメリットこそが次に語る「ミナミの帝王の凄さ②」だ。
ミナミの帝王の凄さ②
【疾走感を失わない】
内容を薄めるとは、要は「読みやすい」を意識しているということ。
この読みやすさが、とんでもない疾走感を生み出している。
何しろ1ページ1コマ感覚なので、まるで速読でもしているように正味15分で一冊読みきることが出来るのだ。
この「疾走感」こそ、漫画の良さの一つだろう。
最近、内容を詰め込み過ぎるあまり、めっきり疾走感を失ってしまった「ワンピース」にも少しは見習って欲しいものだ。
ミナミの帝王の凄さ③
【コミックの最後の1話に、新章をスタートさせる】
私たちは、なぜ回転寿司で食べすぎてしまうのか?
それは、明確なゴールがないからだ。
もし、仮に「すし桶」で1人前をドーン!と出されたら、その中で自分なりの食べ順を決めて完結させようとしてしまうだろう。
なぜならば、その方がキリが良いからだ。
ところが、回転寿司ではこの「キリ」という概念を排除している。
だからこそ、ずっとキリの悪さが付きまとい、次から次に流れて来る寿司に手が伸びてしまうのだ。
ミナミの帝王でも、それと全く同じ手法を使っている。
それが、「わざとキリを悪くする」という手法だ。
ミナミの帝王は、基本オムニバス形式にも関わらず、必ずコミックの最後の一話に「デリヘル王編スタート」など新エピソードを放り込んで来るのだ。
頑固で真面目一徹の先生が、「ワシはデリヘリ王になる!」などと叫んでるシーンからスタートするのだから目が離せない。
「あの真面目な先生に何があったの!?」
と、そのキリの悪さに、またつい次の一冊を購入してしまうのだ。
これぞエンドレスリピートの回転寿司戦略なのだ。
ミナミの帝王の凄さ④
【長期連載の利点をフルに活かす】
これぞ、冒頭でお話しした
「なぜ「ミナミの帝王」の表紙は全て似通っているのか?」
という問いへの、私の回答となる。
ここまで読んだ、あなたはもうお気づきかもしれない。
そう。
150巻という長期連載の利点を活かし、同じような表紙で我々読者を混乱させ、同じ巻を2冊買わせるという作戦なのだ!
何を隠そう、私も今まで4回ほどダブって買ってしまっている!!
しかし、本当の恐ろしさは、ここからなのだ。
そのダブったミナミの帝王をどうするか?
恐らく友達に配るだろう。
「これ、ダブったからあげるよ。」
と。
すると、困惑した友達は、
「えー・・別にいらない・・」
と、言いながらも、ペラリとめくるだろう。
が・・
この時点で、すでにその友人はミナミの蟻地獄へとハマっているのだ。
1ページ1コマの読みやすさにページをめくる手が止まらなくなること必至!
更に1冊読み終わったと思ったらキリの悪いことに新エピソードがスタート!
慌てて、続きの巻を買いにいくも、酷似した表紙のトラップにかかりダブって購入!
そして、またしても行き場を失ったその一冊が、別の友人の手に・・・
こうして、エンドレスな「ミナミの帝王スパイラル」が全国で同時多発的に発生し、作者には「ちゃり〜ん!」と印税が入り続けるのだ。
それも6分の一の労力で、だ。
美しいビジネスモデルとは、まるで自然の生態系のように循環しているもの。
私はこれほど美しいビジネスモデルは、あまり見た事がない。
ミナミの帝王から我々が見習うべき点はあまりにも多いのだ。
(ライター フク式コキュ夫)
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