フリーのPRマン・漆田亮は、得意先の日野楽器から、ある男を探してくれと頼まれる。男の名はサントス、20年前フペインの有名なギター製作家・ホセ ラモスを訪ねた日本人ギタリストだという。わずかな手掛かりをもとに、サントス探しに奔走する漆田は、やがて大きな事件の闇に巻き込まれてゆく・・・。
先生、僕を診て下さい――女性精神科医・南川藍子は、診察室に坐る男の神経回路に深々とメスを入れていった。 暴走する脳神経プログラムのパスワードは何なのか。男の過去にそのヒントはあるのだろうか。 頻々と起こる異様な殺人事件。狂気の矛先は、刻々と藍子にその照準を合わせてゆく。 獲物を求めて彷徨う脳髄たちの正体が明らかになったとき、最も恐ろしい真実が藍子に襲いかかり、そして――。
1936年、スペイン内戦前夜。ナチス主導のベルリン五輪に対抗して、パルセロナの地で計画が進められていたという幻のオリンピック――。 1992年。バルセロナ五輪が開幕を間近に控えたころ、遙か東方から「幻」を発掘すべく、二人の日本人が訪れた。 半世紀の歳月の彼方に見え隠れする真実。暴けば暴くほど、行く手に謎の妨害者が現れて・・・。ベルリン。バルセロナ、東京を結び、50年のタイムスパンで贈る。
スペイン内戦で外人部隊に身を投じた日本人義勇兵・ギジェルモ・サトウ。その足跡を追う特報部記者・龍門二郎に仕組まれた戦慄の罠とペンダントの謎・・・非情の運命に翻弄される男と女の愛の相克。
メガネは取りたくありません――ラッカーで真黒に塗りつぶされた競泳用の水中眼鏡をかけた女の態度は、かたくなだった。朝起きたら、まぶたがこわばり、あけようとすると激痛がするという。次第に事情がわかり始めた。自宅が火事になり、夫が焼死して彼女だけが助かった事件が、病気の引き金になっているらしい。《水中眼鏡の女》他心理のひだに埋め込まれた恐怖の真実をえぐる2編
1996年1月。イギリス人の美人ギタリスト、ファラオナとともにスペインの寒村を訪れたわたしは、ちょうど30年前に起きたいまわしい事件の記憶と遭遇することになる。失われた核爆弾は、ほんとうに引き上げられたのか。それとも、だれかが爆発させるのを待って、まだどこかに眠っているのか。
大手家電メーカーの極秘のプロジェクトが、業界紙にすっぱぬかれた──華やかな舞台の裏にうごめく、しなやかな女たちと、したたかな男たちの、策謀と欲望。新製品キャンペーンを妨害する黒幕の正体は? その目的は? 広告業界の苛烈な闘いに翻弄される新人女性ギタリスト・香華ハルナに魔の手が迫る。つややかで小粋な都会の匂い。街の息づかいが聞こえる。
暴力と権力がはびこる’70年、中国。上海は秘密結社・侠客党の手で護られていた。が、文革の嵐にまぎれ、南の紅花党が振興を開始。闇社会もまた、混乱していた。「俺を指名しして来た奴を。…殺したのか」悲しげに問うた男の名は、侠客党の若きエリート・風箔。絶世の武芸と冴えた頭脳をもちながら、人を殺せなくなった青年である。「敵の数は、減らせるときに減らす」刃物のような声は、上司の探刻。風箔の心の傷を分かち合う美貌の友。「まだ、殺せぬか。私はもう…顔も思いだせん」探刻は風箔に手を汚す必要のない仕事を命じる。党のパトロンの洋館へ行き、財宝のありかを示す暗号を解けというのだ。相棒は、妙になまいきな少女・選杯。一見平穏な任務に見えたが―。上海の闇の中、蒼き狼は胸を疼かせ真実を追う。
三年前の事件―やくざの組長誘拐。犯人グループは四人。当時の組員二人と、絵図を描いた謎の「メール男」、そして、東京湾に浮かんだ中国人マフィアで、「K」の恋人の李。身代金は消えた。元組員二人の依頼で「K」の身辺を探る裏の探偵・木。身代金の行方は?「K」の真意は?事件の真相は?パズルのピースがすべて揃ったとき、驚愕の結末が待ち受けていた。
地獄を覗かされ、日本を捨てた国際犯罪者・仙田。外国人犯罪を撲滅するため、限界を超えようとするエリート警官・香田。どん底からすべてを手に入れようとする不法滞在の中国人女性・明蘭。自ら退路を断ち突き進む男女の思惑と野望が一気に発火点に到達した時、孤高の刑事・鮫島が選ばざるを得ない「究極の決断」とは?理想と現実、信念と絶望、個人と社会、正義の意味、そしてこの国のありようが、骨太かつスピーディな物語に溶解していく。ターニングポイントとなるシリーズ最大の問題傑作、