動物。
明らかに、感情を持っている。
悲しくて、涙を流している。
みーた里親募集中
紀元前、アリストテレスは動物は感覚を有さず人間より下位にあって人間が自由に使える資源であると主張。
聖書には人間がほかの動物に対する支配権を有するとある。
17世紀にはデカルトが動物は苦しまないとする動物機械論を展開。言葉を持つ人間が精神、理性を持つ。
動物を道具として利用できるとした。
だから、18世紀まで、西欧では激しい動物虐待が見られた。
しかし、ダーウィンの進化論により動物と人間の形態や生理機能が連続的なものであることが、科学的根拠を伴って人々に広く浸透していった。
彼はラマルクの「一つの系統がより高次な形態へと前進する」という考えを捨てた。そして生命を一つの進化樹から分岐する系統だと見なし始めた。「一つの動物が他の動物よりも高等だと言うのは不合理である」と考えた。
そしてダーウィンはこう結論した。「人類とその高貴な特性、困窮している人への同情、人間にとどまらずささやかな生命さえも慈しむ心、神のような知性、太陽系の運動と法則への理解、あるいはそのような全ての高尚な力、[とともに]人間はその体の中に未だつつましい祖先の痕跡を残している」
人と動物の差はあまりない。悲しみ、喜び、思いやり。動物と暮らす人はみな、分かること。
言葉は動物にもある。
目や耳の動き、からだの動き、鳴き声、仲間を集めるときの声、危険シグナル、人間には感知できない周波数や嗅覚を用いて豊かな情報伝達をしている。
ゆんた (茨城県動物指導センター引き出し歩君)と保護猫たち里親様宅にて。感謝
1215年マグナカルタ 「国王は議会の承認なく個人の身体の自由を奪ったり課税してはならない」
1517年ルター 個人の自由と尊厳。神の前で平等。
17世紀イギリスで清教徒革命、名誉革命、「権利の章典」が発布。人は平等、自由、財産権あり、国家はそれを守るもの。
このロックの思想、
そして、ルソーの「人は生まれながらにして自由、平等である」とする思想は、
続くフランス革命やアメリカ独立戦争に影響を与えた。
世界人権宣言。子どもの権利。女性の権利。社会権。
このように、ヒューマン・ライツやヒューマニズムは社会に浸透していったが、動物の権利についてはまだ始まったばかりだ。
動物への共感や憐憫といった主観的倫理観から、客観的サイエンスに基づき、動物の扱い方を考え直すムーブメントが生まれた。
『アニマル・マシーン』集約的家畜飼育の虐待性を批判1964
議会が委員会を設置しまとめたブランベル・レポート1965
このときに動物の苦しみを分類した「5つの自由」の原型が明示された。
発想の転換が必要だ。
欧州審議会で
農用動物の保護に関する協約1976
屠畜場での家畜の保護に関する協約1979
アムステルダム条約
理事会指令
そこでやっと、動物には感覚がある、という解釈までたどり着いたばかりだ。
感覚を有するだけでないことは、知性や情を備えていることは、みなよく理解している。それなのに、欧州指令でもこのレベルだ。
権利の主体としての人と、権利の客体としての物を対峙させる伝統的な二元論に対し、動物の法的位置づけを考察することは新しい切り口を加える重要な論点である、との文章を読んだ。
人間の権利の対象にならないもの、所有権の対象にならないもの,と言う位置付け。これを、私たちはいま、議論して探らねばならない。
確かドイツなど法律が最近変わった。
環境や動物は権利を持つ、と言い切るか、あるいは、
環境や動物は重要な価値である、と言うにとどめるのべきなのか。
リンスより↓
意思能力の観点からも動物の権利について考察できるかも。
成年被後見人には健常者と同等の意思能力はない(他の動物と比べてそれが低い可能性がある)けれど、それでも人権が保障される。
意思能力が低くても権利が認められるなら、それを人が人にのみ認めるのは恣意的であり、他種にも認められると考えても良いだろう。
それは成年被後見人に対しての成年後見人のように、裁判所が保護者として認めた者の庇護のもとで権利保障が行われるとしたら?
現行制度の中でもアニマルライツを認める枠組みは、成年後見制度を援用する形でありえるのではないかな。
かつては技術力の限界により数多いる生物に対して個体識別や移動トレースができなかったから議論すらできなかったけれど、今の技術なら実現できる。
あとは、どこから権利能力を認めるかの線引きをどうするか。
成年被後見人は、制限された権利能力を行使できる。しかし彼らに人権があることそのものは否定されない。
同じような枠組みで、制限された権利を動物に認めていくことはできるのかな。
今の日本の、世界に遅れた畜産動物、実験動物分野の様々な課題を解決するには、動物の法的な位置付けをさぐり、あらゆる分野が議論を深めていかなくてはならない。農水省も、研究者も、獣医や畜産農家も。
世界は動いている。
大手グローバル企業では、日本を含めた全支店で、2025年までにケージフリー卵に移行する。
マックも、スタバ、デニーズも。イオンもヒルトン、ディズニーも。
EUに輸出をしているならEU基準を満たさねばならない。
なのに日本ではまだ大半がバタリーケージである。
鳥はエンリッチドケージ、平飼いへ。
ピークトリミングはより早い日齢で、有資格者による紫外線照射の技術等を活かして。
妊娠豚のフリーアクセスストールの使用を。
子豚の圧死を避けるための分娩ストールは認めて。
豚の輸送時に豚房ごとの仕切り柵を。
専門家によれば、多大な苦痛を与える豚の犬歯切断は歯髄に達せば痛みと出血を伴い、不要との指摘がある。
去勢は免疫学的去勢製剤を用いる方法があるそう。
耳に刻み込むV字の数で個体識別する残酷な耳刻はやめ、プラスチック装着にすれば苦しまない。
畜産動物を人道的に扱うことは、経済活動のためにも不可避であり、避けて通れない。
目の前の今生きる動物の苦痛を軽減すること、それは何も悪いことではない。当たり前のこと。
私たちは21世紀を生きています。この時代の限界のなかで、精一杯の最善を。
by鶴田真子美(おかめ)