私たちは仕事でも家庭でも、公平さを重んじ生きています。
同じ仕事をしているなかで、他人より少しでも不当に利益を得たり、他人の努力を自分のものにしたり、良く見せたりする人は存在するものです。が、公平さを欠く行為をすれば、それは側からもわかります。
本人が羞恥心を抱く結果となります。
若いときはそのようなことに出くわすことも多々あり、公平さの重みを感じ入ることで学んでいくものです。人の集団のなかでは、公平さというものは信頼に繋がるとても大事なものです。
どんなに能力が高くても、公平さを欠いては信用されません。
公平さを重んじる姿勢や羞恥心は動物にもあります。
羞恥心と公平さの感覚について
ウィーン大学で実験がありました。
2頭の犬に、お手をさせ,片方には報酬を与え別の犬には与えない実験をすると、不当な扱いを受けたイヌは我慢の限界に達し、協力を拒んだそうです。
報酬がソーセージとパンのように内容に差がつくものであっても。
それに対してイヌが1匹だけであれば、報酬はなくとも、協力は続けてもらえたそうです。
そのような嫉妬心と不公平感はサルでも観察されていると言います。
ワタリガラスもまた、公平不公平にたいする強い感受性を持っています。
共同作業と道具の使用に関する実験。2羽が同時に端と端のヒモをひけば2つのチーズを引き寄せる仕組み。パートナー同士が仲良ければとりわけうまくいきます。綱引き作業をしたあと、1羽が2切れとも食べてしまうことがあれば、働いてもなにも得られなかったカラスはそのことを覚えていて、それ以降そのいやしい仲間とは、ともに作業しようとしなかったそうです。
その人が公平であるかどうか、目的のために無心に活動しているのか、あるいはもっと別の意図があるのかなどが、人の集団にいると滲み出るように顕れます。
人間も群れの動物なのだと。
群れの目的を達成させる厳しさもありますが、群れのなかで生きることじたいの厳しさに、常に直面しなければいけません。
by鶴田真子美(おかめ)