新しい常識は「全頭救済」 犬猫救済の輪ブログより転載 | CAPIN(キャピン)公式活動報告

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財界さっぽろ編集部より
https://www.zaikaisapporo.co.jp/news/news-article.php?id=15773

【今月号特選記事】近隣自治体にも波及?続報!釧路管内・厚岸町が「野犬(ノイヌ)銃殺廃止」へ


2021年06月14日 17時00分
財界さっぽろ編集部




 月刊財界さっぽろ2021年4月号で道東の野犬銃殺問題を報じてから、約3カ月。釧路管内・厚岸町が「犬の銃薬殺をやめる」と表明した。銃殺廃止への引き金となったのは、本誌で道東の野犬事情を知った道内外の愛護団体、愛犬家による強い抗議だった。

 そもそも野犬(やけん)とは「畜犬(ペット)以外」を指すが、その中でもヒグマやエゾシカ同様、狩猟鳥獣に該当する「ノイヌ」と呼ばれる個体がいる。ノイヌの定義は「生物学的な分類ではペットとして飼われているイヌと変わらないが、飼い主の元を離れ、常時山野等において、専ら野生生物を捕食し生息している」(「鳥獣保護管理法」参照)とあり、駆除の対象となる。

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愛護団体によって保護された野犬の仔犬。胆嚢、右後足が欠損している ©財界さっぽろ


 市街地や村落を徘徊する、いわゆる「ノライヌ」は本法の対象に含まれないが、見た目や一面的な行動だけでは、ノイヌとの区別がつきにくい。

 厚岸町では昨年度、11頭を銃殺処分。16年度からの3年間は、39頭、16頭、25頭を駆除してきた。すなわちこの犬たちは、ノイヌに分類される。

 近隣自治体では近年、浜中町でも同様の駆除を行っており、今後の動向を愛護団体が注視。発売中の財界さっぽろ7月号では、同町担当者のコメントも掲載している。

 厚岸町へ“愛護砲”を打ち込み、本件のトリガーとなった道外の愛護団体「犬猫救済の輪」と認定NPO法人「動物愛護を考える茨城県民ネットワーク CAPIN」の、道東の野犬を保護する札幌の保護団体「犬のM基金」による仔犬の実態、家畜への被害で頭を悩ませる酪農家など、さまざまな立ち位置から“真の解決”を探る。


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 また本誌での第一報を掲載した月刊財界さっぽろ4月号は以下からどうぞ。

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拡散!!☆厚岸町発・・・「新しい常識は全頭救済」


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このほど、厚岸町役場は皆様の声を受け入れ、犬の銃薬殺を廃止するとホームページに公表しました。
殺すことが常識であった厚岸町でしたが、今後、犬を殺さないと明言しています。
声を上げて下さった皆様、本当にありがとうございました。
犬猫救済の輪からこれまでの経過とこれからの課題をご報告をさせていただきます。


(厚岸町で撤廃できた制度、残ってしまった制度) 
財界さっぽろ4月号で報道されて以来、多くの方々が銃殺、薬殺されている厚岸町の犬を救おうと動いて下さいました。
犬猫救済の輪でも厚岸町に対して10項目の提案をいたしました。
犬を殺さずに酪農被害も予防できる具体的な解決策を提案することが必要だと考えたからです。官民協働のワーキンググループの設置や「厚岸町ノイヌ駆除奨励制度」の撤廃、不妊去勢手術推進事業の開始等、10項目は私達の長年の経験をふまえたものです。これらを実践している自治体では殺処分が劇的に減ってきています。
厚岸町はその中で「厚岸町ノイヌ駆除奨励制度」の撤廃と「厚岸町鳥獣被害防止計画」からノイヌを削除することを決断しました。これにより、ノイヌ銃殺の制度が厚岸町から姿を消しました。
ただし、野犬(ヤケン)については、薬殺はしないと発表したものの、「不要犬」を飼い主自身が殺す規則を含んだ「厚岸町畜犬管理及び野犬掃とう条例」が残ってしまっています。現在、坂本博之弁護士がこの条例の問題点について厚岸町に申入れをしておられます。


(法違反が疑われることは撤廃や改訂を)

同時に、正確な状況を把握するため調査と検証を重ねました。多方面から貴重な助言や資料をいただきました。
その結果、法違反が疑われる状況が複数、見い出されました。
ノイヌとして銃殺されている犬達が、実は(銃殺すれば厳罰になる)野良犬、捨て犬だったのではないか、獣医師以外の人が毒薬の筋弛緩薬で犬を死なせてよいのか、町長が犬の飼い主に自分の犬を自分で手にかけて殺す命令を出してよいのか等です。
法違反が疑がわれるような制度や規則は撤廃したり、改訂していただく必要があります。


(曖昧な被害状況)
また、駆除の理由となっている被害の実態も不明でした。厚岸町からは「被害は人がいない夜間に発生することもあり、どちらの動物(キツネ、ノイヌ)が行った被害なのか判断ができないケースがある」と回答が来ています。被害金額も「個別の被害額の集計はしていない」とのことでした。被害の実態が曖昧なまま犬が駆除されてきたことに問題がありますし、これでは本格的な対策も出来ません。



(持続可能なシステム作りを)
厚岸町は、「財政上、犬の保護施設ができない」と新聞社の取材に答えています。
茨城県等のように「ふるさと納税」を犬猫の殺処分を減らす目的を設けて募っている自治体も多数あります。
また、厚岸町は防衛省から「特定防衛施設周辺整備調整交付金」として公益事業に交付金がでています(これで野犬掃討車を購入していました)。民間で盛んなクラウドファンディングという方法もあります。駆除にかけていた費用を生かすほうに転換して里親探しへ繋げていだきたいと考えます。
今後、厚岸町だけではなく釧路管区の市町村から道庁釧路総合振興局保健所1か所に犬が集められるようになると、過密になって殺処分を誘発する恐れもあります。
勿論、釧路総合振興局側の整備も急務です。
一方で各市町村側でも独自に保護施設を作り、必要に応じて応急医療や社会化トレーニングを施し里親探しまで手掛けることによって、はじめて釧路管区全域で持続可能なシステムが出来上がります。。
これは災害時にも必要なことです。



厚岸町に望むことは「あらゆる命を粗末にしない」こと

犬だけではなく、駆除一辺倒の野生動物にも防除優先の原則を守り、工夫を凝らして共生の道を探っていただきたいと思います。



地域や企業の経済発展には動物福祉への配慮が必須
昨今、動物福祉を軽視した過程を経た製品には消費者の世界的な嫌悪感があります。そのため、例えば欧米の食料品売り場ではANIMAL WELFARE(アニマルウェルフェア/動物福祉)の表示が、消費者が購入する際の目安のひとつとなっています。
ファッション界で有名ブランドの大部分が毛皮を使用しなくなったことも思い起こす必要があります。
動物福祉は、投資家の間で企業へ投資する際の重要な検討事項として注目を集めています。
地域や企業の経済発展には動物福祉への配慮が欠かせない時代を迎えています。逆に、動物福祉に配慮すれば、それがが強みになると言っても過言ではありません。
  


厚岸以外の釧路管区の市町村(弟子屈町、標茶町、浜中町、釧路町、釧路市、白糠町、鶴居村)への要望

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白糟町長は飼い犬の殺処分を飼い主に命令できる
標茶町では野犬掃討車を新たに購入したり、釧路町にはノイヌ駆除に奨励金制度があったり、白糟町には町長による飼い犬への殺処分命令措置があるなど、犬の扱いに問題がありますので、一刻も早く改善していただく必要があります

1)鳥獣被害防止計画に「ノイヌ」がある場合は、ノイヌを削除してください。

2)野犬掃討条例の中に首長による畜犬への殺処分命令がある場合は「殺処分」を削除してください

3)厚岸町のように、今後、犬の銃薬殺を行わないことをホームページ上で公表してください。

4)その上で犬達を生かして譲渡につなげるために、犬猫救済の輪が厚岸町に対して行った10項目の提言を実現してください。

5)10項目の中で、特に野犬を新たに生み出さないために狂犬病予防法における登録、鑑札及び注射済み票装着に全力をあげてください。


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道東に動物愛護センターを
厚岸町を含めた釧路管区に動物愛護センターが必要です。
そうすれば動物愛護法に基づいて保護や譲渡の仕組みがしっかりと根付くことでしょう。


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旭川市動物愛護センター・あにまある






お礼とお願い

勇気をもって厚岸町犬銃薬殺の一報を出された財界さっぽろ様、他自治体の取組等を紹介して解決法を探って下さった東京新聞特報部様、地元ならではの情報をお寄せいただいた北海道の皆様、保護啓発活動にご尽力なさっている道内団体様、膨大な資料を基にアドバイスをいただいた市民グループ様、筋弛緩剤のむごさを獣医師の立場から訴えて下さった山口武雄先生、常総野犬の成功例を基に厚岸町と交渉を続けて下さっているCAPIN鶴田理事長様、弁護士の立場から法的な問題をご指摘下さっている坂本博之先生、資料や見解をご説明下さった環境省職員様、道庁職員様、他自治体職員の皆様、そして、物言えぬ犬達に代わり声を上げて下さった皆様、お忙しい中SNSなどで拡散してくださった皆様、おひとりおひとりに深く敬意を表します。
これから北海道釧路管区では大改革が始まります。動物たちにとっては何十年に一度のチャンスです。皆様には共に北海道全域を新しい常識「全頭救済」へ導いていただきたくお願い申し上げます。
犬猫救済の輪は引き続き、注目してまいります。

令和3年6月19日      犬猫救済の輪・TNR日本動物福祉病院
                 代表  結 昭子

以上、犬猫救済の輪ブログより転載させて頂きました。




by鶴田真子美(おかめ)