殺処分ゼロは可能です。 ボローニャの市営シェルター犬舎 | CAPIN(キャピン)公式活動報告

CAPIN(キャピン)公式活動報告

認定NPO法人「動物愛護を考える茨城県民ネットワーク CAPIN」
公式ブログ

 中部イタリア、エミリアロマーニャ州都のボローニャ。

郊外の田園地帯にある、ボローニャ市営の保護犬猫シェルター。

複数の動物保護団体の施設が元になって、シェルターは約60年前に建設されました。

現在、犬は160頭、猫は56匹を収容。

世話をするのは、週休2日制、時給5〜7ユーロ(1,000円弱)でシフトを組んで働く7人の有償スタッフさんと、責任者のご夫妻。
そのほか、1日10人前後のボランティアさん。

犬のトレーナーさんで構成される団体、TDB (terra del branco)から派遣されてきます。

こちらは犬舎です。
ドッグラン付き犬舎が並びます。

中には一頭ずつ入っています。

犬舎からドッグランへ自由に出られる犬の出入り口。

脱走防止のネットがかぶさったドッグラン。

シェルターの全体図。

犬のトレーニングのためのエリアや、人馴れしない猫のための広い庭がついた猫舎が新たに建設されつつあります。



保護活動の歴史を感じさせる古い施設です。 

責任者のご夫妻は親日家。
ボローニャ大学で哲学、人類学を学ばれたご主人。


スタッフさんは足りていますか?
と問うと、私たちは皆エキスパートだから、少人数先鋭でミスなく世話をしています、と。

ボランティアさんは研修を終えたら、25ユーロで身分証を取得し、出入りをするようになっています。


譲渡を待つ犬たち。

なつこい子も怖がりもいます。

週に3回、獣医師が往診。


イタリアでは2019年から新しい法律により、数値規制が更に厳しくなります。

犬1頭あたりの収容面接が広くなりますので、方々のシェルターで犬舎建て替えが急ピッチで進められています。




イタリアはずっと犬猫殺処分ゼロ。

野犬や乳飲み子やシニアやハンディキャップのある子を殺処分することは違法です。

生かしていることがかえって苦痛となるような、病末期の犬猫の安楽死のほかは、殺処分は、認められていません。

基礎自治体、つまり市区町村コムーネごとに、公的なシェルターがあります。

運営資金は国、州からも予算がついています。

土地と建物は市が提供。

トレーナーさんや獣医師や有償スタッフも市が雇用。

市が出来ない場合は、動物保護の全国組織、ENPAがスタッフ数名を送り込みます。

自立した自治体では、ENPAでなく、独自の保護団体が自主運営しています。ボローニャなど。

シェルターで大切なものは人手です。行政による雇用により、しっかりとマンパワーが確保されています。そこにボランティアさんが入りますので、飼養体制もしっかりとし、お世話の質も、安定しています。


常にボランティア募集。
志願者は、決まった曜日に講習を受け、試験に合格すると、8000円くらい支払ってパスカードを受け取ります。その費用には保険も含まれます。咬傷事故や脱走に対応できるよう、保険加入は義務づけられています。

皆さんイキイキと世話をされています。数十年も通っている人も。動物から元気をもらっているそうです。

必ず、避妊去勢。
定期的な、ワクチン、ノミダニ駆除。

譲渡費用はゼロか、3000円くらいまで。

民間に丸投げでなく、行政がきちんと予算さえ付ければ、殺処分ゼロは可能だし、雇用の創出になります。

ウン億円かかる道路一本を来年度に回せば、シェルターに予算をつけるのも簡単なことです。

この動物保護分野で働きたいと考える若者は、少なくないのです。
周辺にショップやカフェやドッグランを併設すれば、地域経済も活性化します。

殺処分ゼロは、具体的に、達成できるのです。


by 鶴田おかめ