拝啓 猫捨て人=パラソル御殿さま
私たちはこのエリアの猫たちの捕獲と手術、保護や譲渡を5年前から始めております。
ここの猫たちが、私たちボランティアによって、見守られていることを、
いつからあなたはご存じなのでしょうか。
そして、私たちが、これまでどれほどの時間と経費をかけて、猫たちを守ってきたか、
そしてさまざまなつてを頼り、土地の所有者との交渉を重ね、若い人を育てながら、
理解のない人を説得しながら神経をすり減らし、ここを守ってきたか、おわかりになりますか?
あなたの作られたパラソル御殿は確かに上出来でした。
深夜の給餌で回ったポイントに、見慣れぬ大きなパラソルとハウスをみたとき、
そしてまだ1か月くらいの子猫たちがハウスの穴から躍り出てきたときの、
私の驚きと嘆きといったらありません。
ハウスのなかにはふかふかの衣類が詰まり、
子猫が眠っていました。
でも、台風が来ればこんなパラソルはどっかへ飛んでいってしまいます。
これからの寒さにビニールのハウスも子猫を守れません。
パックの牛乳が置いてありましたが、あれは人間用で、猫は消化できずに下痢を起こしてしまいます。
それに、おかゆが置いてありました。
子猫は食べるものがほかにないため、ちゅぱちゅぱと吸っていましたが、
あれでは猫が必要とする栄養をとれません。
おかゆは、まだ新しくやわらかくて、置いて行ったばかりだったのでしょうね。
あなたの置いて行った子猫たちは、何匹いたのかわかりませんが、
こちらで連れ帰ったのは、3匹です。
ブラジル人留学生が通りかかって、3日前からここに子猫が捨てられていて、
もともとは4匹いたと聞きました。
その1匹はどうしたのでしょう。
ほかにもいたのかもしれません。
ここはカラスも多いのです。
カラスに突かれて亡くなる子猫もたくさんいるのですよ。
捨てた子猫は寒さや天敵でほとんどが死んでしまうのです。
捨て場を探していたのですか。
親はどうしたのですか。
親猫はいなかった、とブラジル人。
産まれてしまった子猫だけを処分ですか?
手術をしなければ、3か月後にまた産まれますよ。
そうしたらまたここに連れてくるのですか?
3か月前に、この子らとそっくりの4匹をここで保護しました。
パラソルちゃんとサイダーちゃん、と名付けました。
あと2匹は、かみちゃん先輩のお宅から、譲渡されました。
また、産まれてしまったのですね?
そして、ここに連れてきたのですね?
あなたは手術をしないで増やしてしまう、そして簡単に捨てるから、
こうして別の人が多大な迷惑をこうむって、大きな苦労をすることになります。
手術をしないのは、経済的な理由かもしれませんし、
「去勢は自然に反する」といった信条の問題かもしれません。
でも、産まれた子猫たちが捨てられて不幸になり、
また、保護をする私たちがいっそう不幸になるのです。
ただでさえ私たちは、ちょっと不幸気味です。
朝から晩まで猫の世話に追われ、いつも疲れ果てています。
好きでやってるんだろう、と言われて、それでおしまいにされますが、
私たちにも「幸福を追求する権利」があるはずです。
むずかしいことを要求するのではありません。
少しの時間をみつけては、お茶を飲むほっとするひとときがうれしい。
そんな程度です。
でも、こうして子猫が捨てられてしまったら、またお茶の時間すらも奪われます。
私たちの、ささやかな休息を、これ以上奪わないでくださいませ。
人生は、動物のことだけで終わらないのですから。
ほかにもやることがあり、夢があります。
仕事、恋、家族との語らい、旅、読書、趣味。。。いろいろあります。
私たちも、バランスをもって生活をしていきたいのです。
だから、もう捨てないで。
そろそろ親猫に手術をしませんか。
5000円で手術ができます。
病院をご紹介できます。
私たちの会に、問い合わせてください。
捨てるなんて、好きでやっているわけではないはず。
大切な仲間たちが、苦労を重ねて、このエリアをずっと守ってきてくれました。
手術をして、増えないようにし、ごはんをあげて、水もかえて、
コンテナ周辺の清掃をし、口が痛い猫には缶詰を与え、
病気になったら獣医さんに走り、シェルターに入れて看護をし、
いよいよとなれば看取って、花を手向け、決まった場所に埋葬して手をあわせます。
こうした試みが、やがて全国に広がって、全国の野良猫が助かるように、と願って。
地域猫、という言葉を聞いたことはありますか?
地域で管理する、飼い主のいない猫のことです。
餌を与え、手術をして繁殖防止をし、だんだんとやさしく減らしていくのです。
TNRC(コントロール)、TNRM(マネージメント)。
このCとかMが、大事なのです。
片っ端から手術して終わり、でなく、手術を終えた猫がちゃんと地域に存在できるように、
周囲の人々に活動を伝え、理解のできない方にも理解をして頂けるよう説得し、
粘り、浸透させていく必要があります。
野良猫も命です。
野良猫も愛護法に守られています。
だから、地域猫活動が広まるようにと、全国のボラさんたちが各地で頑張られてきて、
国会も環境省も認めた地域猫を、つぶさないでほしいのです。
「地域猫エリアには捨て猫をされるもの、減るはずはない」、それが理由のひとつとされて、地域猫は不可能だ、と言う人がいるのです。
つぶさないで、私たちを。
毛布を引っ張り出されぬよう、カラス除けの工夫をしてくださったのはナナさんです。
ぐれママも元気です。
てんかんの発作で去年かしまさんとジャスミンさんが病院搬送してくださったときは危篤状態だったのが、
とても元気で、缶詰もりもり食べています。
つぶさないで、私たちを。お願いです。
あったかな毛布も、皆さんからのご厚意で何とか1枚づつ集めて、
子猫3匹は、粉ミルクをお湯でといて与え、アンカの上であたたかく、眠りにつきました。
向かい合わせの小ケージで、1日過ごしてもらいます。
ちゃんと育ちそうです。ご安心ください。
手術は、猫のために、必要です。
たくさん産んでしまうのですから。
CAPINでは、近く、獣医さんのご協力を得て、野良猫の集団手術を企画しています。
不幸な子猫が産まれないように、野良猫の手術をすすめていきたいのです。
いぬねこ殺処分数最多の、ワースト県。
この処分数の多さは、地域の解決能力の低さを表しています。
新しい試みを受け入れられない地域、
モラルの低い地域、
今は、ほんとうにそうかもしれません。
でも、私たちの意識で、ここを変えてもいかれます。
パラソル猫御殿さん、そのときはあなたも、必ずお母さん猫を連れてきてください。
byおかめ