暑い季節になにですが・・・
2015箱根駅伝でなぜ低体温症は起きたのでしょうか
さまざまな議論がこれまでされていますが、いまいちすっきりとしていないようです。
人体には体温を一定に保つためのさまざまなメカニズムが備わっていますが、それでもあるレベルを越えて熱の産生gainが喪失lossを上回ると熱中症に、逆に熱の喪失が産生を上回ると低体温症になります。
つまり、熱の産生あるいは喪失の絶対量ではなくてあくまでその差が問題なのです。
具体的に考えてみましょう。
箱根駅伝、あるいはマラソンの一流選手の走るスピードは時速20キロに近い、いわば、猛スピードで走っています。当然、からだが創りだす熱は莫大な量になります。
ところが一方で、箱根のように気温が3度と低く、しかもこのようなスピードで走ると対流によって失われる熱の量もまた莫大です。とりわけ2013年の箱根駅伝のように強風が吹いていてそれをまともに受けると、対流による熱の喪失はさらに増え低体温症におちいるリスクはきわめて高くなるのです。
スピードを維持して低体温症になるのを防ぐには、しっかりとしたウエアを着て対流による熱の喪失を減らすことが第一です。
青学の選手は肩から手までウエア、アームスリーブ、手袋で覆われていて露出していません。このことによって、失われる熱の量は駒大などの選手に比べてはるかに少なくなるのです。
それをしっかり選手に準備させた青学のコーチ、監督は大したものだと思います。
ただ、できれば帽子をかぶっていたほうがよりいっそう良かったと思います。
頭は、脳への血液の流れる量が多いこと、頭蓋骨は熱の良導体であること、頭の皮膚は薄くて断熱効果の高い脂肪が少ないことから、な主要な熱の喪失の原因になりやすいのです。
服を重ね着する前に帽子をかぶれと言われますが、それはこのよう頭の特性から来ているのです。
最初に述べたように、低体温症になるかならないかは熱の産生あるいは喪失の絶対量ではなくてあくまでその差ですから、一般のランナーでも低体温症になる危険はいつでもあります。時速10キロ程度で走っていると作られる熱の量は莫大ではありませんがそのような中でも対流によって熱が失われるとやはり低体温症になるリスクがあります。さらに、風が吹いていたり雨が降っていると一層リスクが高まるので要注意です。