1970年322 ()


やはり海はいい。船乗りへの熱い思い募るも…

強烈な紫外線の仕業か、左頬にホクロ発見!?



カツ船長のブログ

P-045 (1970年3月21日の「愛光丸」から見る南の海と空。日本まではあと1週間ほどの辛 抱だ)






とうとう雨の航海になってしまった。せっかく日焼けしようと意気込んでいたのに、非常に残念である。スタンバイして丸一日、今はどの辺を走っているのだろうか。いずれにせよ、あと1週間前後で日本へ帰れるのである。




小生の給料は一体いくらなんだろう。まさか1万円きっかりなんて事はないだろうな。今は早く日本へ帰りたい気持ちで一杯だが、いくら焦ったってしょうがない。




やっぱり海はいい。俺はもう一度、船乗りになることを真剣に考えてみよう。だが、いくらいいと言っても、やらなければならないことが一杯ある。やはり英語、インドネシア語ぐらいは最低マスターしなくては。それに、体を鍛えることだ、合気道をやることにする。そしてやっぱり、船乗りも一生の仕事にしたくない。




今日は日曜であるのか、船に居るとそんなこと全く関係ないもんな。でもやっぱり一つだけいい事は、メシがいつも以上にいいことである。特に昼にパンを出してくれることはとっても良い。




「思い出」。俺はいつもこいつに頼って生きているケチな、奴。昔を懐かしんでは、今の俺を慰めている。昔王様であっても、いま乞食では話にならんではないか。失われ、過ぎていった時はもう戻るはずはないし、去って行った女も、破壊された自然も、全て現実においては「嘘」でしかないのである。分かりきった事が分からないぼんくら野郎めが、今夜もセンチメンタルになっている。馬鹿たれめが。





風呂へ入る前、我、素晴らしきその顔をつくづく眺めてみるに、重大発見をしたのである。今まで全く気付かなかったのだが、左のほっぺたにホクロがあるのである。しかもかなり目立つ。小生愕然としたね。俺はこのホクロというしろものが大嫌いなのだ。何故に突然現れたか分からんが、この乏しい脳みそで精一杯考えるに、南の太陽の強烈な紫外線かなんぞの仕業に違いない。それにしても、これは明らかにオフクロの劣性遺伝である。





何処の世界(社会)へ行っても、やっぱり、いろんな奴がいろんな考えや行動をもって生きている。小生、というより人間が人として付き合って生きていくうえで最も大切なことは、やっぱり誠意であろう。相手の立場を考えてやる、これは忘れてはならないことだ。





とっても眠い。昨日も夢を見てしまった。全く、毎日ではないか。しっかりしてくれよ、お前さん。(PM10:10)