どれだけ時を経ても消えない記憶。

思い出すたびに、痛い。


漸く後悔をしなくなった。

漸く泣かずにすむようになった。

漸く笑って語れるようになった。


それでも、思い出すときの痛みだけは消えない。

愛した記憶。

愛された記憶。

傷つけた記憶。

傷つけられた記憶。


そしてあの人の私を呼ぶ声。

あの人だけの、私の呼び名。

嘘も方便。


誰かを傷つけないためにつく嘘。

誰かのためについた嘘が、

時々重くのしかかる。


いつまで嘘をつきつづける?

いつまで隠し続ける?

・・・墓場まで。

最近思う。

私は多分ものすごく征服されたい人間だと。

断っておくけど、倒錯的な意味じゃない。


私は決めたことはやり遂げないと気が済まない。

人に頼るのは嫌い。

しんどいなと思っても、それを打ち明けることが打ち明けられた人の迷惑になるかも知れないと思うから、結局本当のところで人に甘えることもできない(甘えたくないんじゃなくて、あくまでもできないだけだけれど)。

そういうところが、友人に「ほんま可愛くない」と言われる所以なのだろうけど。


でも、そういう性格だからこそ、私は私を無条件降伏させるような人をすごく求めてしまう。

無理矢理にでも私を征服してくれる人。

かなわない、とあきらめさせてくれる人。

そういう人にだけ、最終的に私は私に「甘える」ことを許せる。


きっと、私みたいなのは、本当に「強い」とは言わないんだろうな。

「迷惑を掛けるのが嫌」とかいって、本当は拒絶される可能性に恐怖しているだけ、

「頼るのは嫌い」とかいって、本当は他人が信用できていないだけ。

「決めたことはやる」とかいって、融通が利かないだけ。


人に甘える、というのも、必要なんだろうけど。

弱さを見せられる、というのも、強さなんだろうけど。

私は堅い殻で身体を覆って守っているカタツムリか巻き貝のようなものだ。