香港60年前のロフト! | 広東語っておもしろい!

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旧正月気分がぬけず、家でぼーっと過ごしており、ブログを更新していませんでした・・・



今回は香港のレトロな住宅をご紹介したいと思います。


ご存じのとおり、香港の不動産は高く、今は特にバブルで信じられないほどの高値となっています。

築25年、2LDKの我が家のボロマンションが、日本円でなんと6000万円くらいします。

政府もいろいろ策を講じていますが、狭い土地におおぜい住んでいるので、常に高めであることには変わりません。

それでも以前に比べると香港人の住環境は格段に良くなっています。



先日”美荷楼”というところに行ってきました。

ここは香港の下町”深水捗”(サムスイポ)にある、香港政府による第一号の”公団”だったところです。だったという過去形で、現在はリニューアルしてユースホステルになっており、その一部が当時のまま保存され、博物館となっています。



(上)リニューアル前の美荷楼

さすが築60年だけあって

ぼろぼろです。


(下)今の美荷楼、ユースホステルになっていて

1Fに記念博物館があります。

ユースホステルのサイト

http://www.meihohouse.hk/chi/





公団ができる前は、このあたりには中国からなだれこんできた多くの人がバラックを建てて住んでいました。水も電気もない掘っ立て小屋で、ベニヤやトタンで作った粗末な住居がひしめき合っていまいた。

1953年ここで大火事が発生ーいわゆる”石硤尾大火”-、火は瞬く間に燃え移り、ほとんどを焼き尽くしてしまいました。約58,000人が家を失い、露頭に迷います。

それまでイギリス香港政庁は、住居は市民が自分で何とかするものという態度を取っていましたが、さすがにこの火事で重い腰をあげざるを得ませんでした。そこで建てられたのが、この公団です。仮設住宅みたいな一時避難所的な意味合いもあり、それは非常に簡素なものでした。


ドアと窓のついた約30平米のコンクリートの空間だけ、トイレ・シャワー共有、台所はなく、みな廊下に調理器具を置き、そこで煮炊きをしていました。






廊下です。

家の前にずらーっと調理器具が並べられており

皆ここで料理しています。

















この30平米に入居する条件は、一家族5人以上(子供は半人分として計算)、それに満たない場合は、他の家族と同居するというものでした。

すごいです。その当時の部屋の様子が展示されていましたが、すごーく工夫して住んでいて、まあ、今で言う、ロフトですね。






これが一家族分のスペース。

上がロフトベッドになっており、4人くらい寝れます。

寝る以外は無理そう。立って歩く事ができないくらい狭いです。下にも2人寝れるベッドがあり、さらに手前に帆布の簡易ベッドあり。夏などはこれを廊下に出して寝ました。



これは2家族同居の状態。カーテンで半分に仕切っています。同様にロフトベッドになっており、それぞれ3-4人くらい寝れます。すごい利用率!



この団地には有名な映画監督のジョン・ウーさんも住んでいたそうです。



美荷楼生活館のサイト

http://www.meihohouse.hk/chi/channel.php?channel_id=53






余談ですが、香港では家が狭いため、いわゆるワードローブに服を掛けるという習慣がなく(ワードローブを置くスペースがない)、重衣料以外は通常たたんでタンスに入れるとか、二段ベッドの上の段が物置状態になっていて、そこにそのまま積み重ねておくという光景がよく見られます。

よって、よくたたみじわのついた服を来て街を歩いているオジサンとかを見かけます。

あー、このひとさっき二段ベッドからこの服取り出してそのまま着たな~、って思うんです。



もうひとつ余談ですが、年配の香港人の場合、ズボンは基本的にスラックスたたみの人が多く、ジーンズの真ん中に折りたたみの線をつけている人もよく見かけます。



まあ、今は住宅事情は改善されたとは言え、やはり狭いので工夫が必要です。

ですから、ここでは日本ではあまりお目にかかれないような省スペース家具や内装を見かけます。時間があったら、この辺も後日ご紹介したいと思います。


私は昔っから狭い家を工夫して住むとか、ロフトとかすごく興味あったので、ここはかなりディープで面白いと思いました。

みなさんもぜひ一度訪れてみてください。