こんにちは!カンテウムの矢舗です。
今回は少し変わったタイトルですが、感情と身体に関するお話をさせていただきます。
声楽のテクニックは多岐に渡るもので、また同時に様々なテクニックを組み合わせて用いる必要があります。この際に特定の「心の状態」と身体を結びつけることで、複雑なテクニックの組み合わせが楽に行えるようになることがあります。
なぜなら、ある感情によって身体に起る反応というのは一つではないからです。これを上手く使えば、一つの感情を呼び起こすだけでいくつかの身体的な反応を同時に得られるということになります。
例えば息を吸うとき。
テクニック的には、胸郭を十分に広げ、なおかつ横隔膜、咽頭を下げるという、異なった動きを同時に行う必要があるのですが、これらの動作、実はある心の状態と関係があります。
それは、
「威張る」
という状態です。威張っている人の身体性は、決して弱々しくはあり得ません。胸を十分にはり、鼻の穴が若干膨らみ大きく深く息を取り込もうとします。この「威張る」という心の状態を持ちながら息を吸うと、驚くほどにしっかりと息が身体に入るのを感じることができるはずです。
また、母音のテクニックにも使えます。
イ母音は「不機嫌」に発音すると、イ母音特有の喉の締まりを緩和させることができます。構音と表情筋の調整を同時に行うことができるからです。
このようなことから、歌を歌う際、特にテクニック的な面に関しては、若干人を見下ろしたような、高飛車な心持ちは優位に働くようです・・・ 実際声楽家の世界、自分をしっかり持っておられる、強い方々は総じて声も豊かなものです。
もちろん普段は常に柔和であることに越したことはないのですが、これもまた一つの「テクニック」として、このような「心の状態」を持っておくのも大切だと思います。