【桜色(さくらいろ)】2016.03.16(水)

おはようございます🌸

梅が満開ですが
桜も待ち遠しいですね(^_-)-☆

桜は日本の国花です。

 

 

 

 

 

『古事記』に出てくる「木花之開耶姫(このはなのさくやひめ)」の
「木花」が桜の花を意味し、
「サクヤ」の音が「サクラ」の語源と言われます。

桜色(さくらいろ)とは、
桜の花弁にイメージされる赤みを含んだ淡い紅色のことです。
紅染(べにぞめ)の中で、もっとも淡い色で
ほんのり酔った女性の顔や皮膚が赤みをおびた様子にも
使われることで知られています。

 

 

 

 

 

「桜色」の色名は平安時代より一般化し使われていますが、
初出は『古今和歌集』の
「桜色に衣は深く染めて着む 花の散りなむのちの形見に」(紀有朋)です。

元々は色名のことではなく「桜の色に」と言うべきところを
省略して表記したものでした。

襲(かさね)の色目としては、
実物の花色に近く「表・白、裏・赤花」で
赤みをおびた若葉に淡い紅の桜花を表しています。

ちなみに、英語の桜色を意味するチェリー(Cherry)は、
さくらんぼの果皮の色に由来する濃い赤色で、
日本の伝統色の「桜色」とは全くの別の色です。

 

 

 

 

 

 

と、ここまで書いてどうしても思い出すのは
中学の国語の教科書に載っていた
大岡信さんの『言葉の力』。

人間国宝である染色家の志村ふくみさんが
桜の「樹皮」からきれいな薄桜色を染める、というお話。

桜のことを想うといつも脳裏に浮かびます。

長いので、ご興味のある方だけどうぞ(^_-)-☆

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『言葉の力』 大岡 信

人はよく美しい言葉、正しい言葉について語る。しかし、私たちが用いる言葉のどれをとってみても、単独にそれだけで美しいと決まっている言葉、正しいと決まっている言葉はない。ある人があるとき発した言葉がどんなに美しかったとしても、別の人がそれを用いたとき同じように美しいとは限らない。それは、言葉というものの本質が、口先だけのもの、語彙だけのものだはなくて、それを発している人間全体の世界をいやおうなしに背負ってしまうところにあるからである。人間全体が、ささやかな言葉の一つ一つに反映してしまうからである。

京都の嵯峨に住む染織家志村ふくみさんの仕事場で話していたおり、志村さんがなんとも美しい桜色に染まった糸で織った着物を見せてくれた。そのピンクは淡いようでいて、しかも燃えるような強さを内に秘め、はなやかで、しかも深く落ち着いている色だった。その美しさは目と心を吸い込むように感じられた。

「この色は何から取り出したんですか」「桜からです」

と志村さんは答えた。素人の気安さで、私はすぐに桜の花びらを煮詰めて色を取り出したものだろうと思った。実際はこれは桜の皮から取り出した色なのだった。あの黒っぽいごつごつした桜の皮からこの美しいピンクの色が取れるのだという。志村さんは続いてこう教えてくれた。この桜色は一年中どの季節でもとれるわけではない。桜の花が咲く直前のころ、山の桜の皮をもらってきて染めると、こんな上気したような、えもいわれぬ色が取り出せるのだ、と。

私はその話を聞いて、体が一瞬ゆらぐような不思議な感じにおそわれた。春先、間もなく花となって咲き出でようとしている桜の木が、花びらだけでなく、木全体で懸命になって最上のピンクの色になろうとしている姿が、私の脳裡にゆらめいたからである。花びらのピンクは幹のピンクであり、樹皮のピンクであり、樹液のピンクであった。桜は全身で春のピンクに色づいていて、花びらはいわばそれらのピンクが、ほんの先端だけ姿を出したものにすぎなかった。

考えてみればこれはまさにそのとおりで、木全体の一刻も休むことのない活動の精髄が、春という時節に桜の花びらという一つの現象になるにすぎないのだった。しかしわれわれの限られた視野の中では、桜の花びらに現れ出たピンクしか見えない。たまたま志村さんのような人がそれを樹木全身の色として見せてくれると、はっと驚く。

このように見てくれば、これは言葉の世界での出来事と同じことではないかという気がする。言葉の一語一語は桜の花びら一枚一枚だといっていい。一見したところぜんぜん別の色をしているが、しかし、本当は全身でその花びらの色を生み出している大きな幹、それを、その一語一語の花びらが背後に背負っているのである。そういうことを念頭におきながら、言葉というものを考える必要があるのではなかろうか。そういう態度をもって言葉の中で生きていこうとするとき、一語一語のささやかな言葉の、ささやかさそのものの大きな意味が実感されてくるのではなかろうか。美しい言葉、正しい言葉というものも、そのときはじめて私たちの身近なものになるだろう。

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