最初に、あるじ役の方から説明がありました。
男鹿のなまはげは、真山・本山に鎮座する神々の化身と信じられていて
災いを祓い、豊作・吉事をもたらす来訪神として
各家で丁重に迎えられ、もてなされるそうです。
地区ごとにお面が違うように、しきたりも地区ごとに違うそうです。
真山地区のなまはげは、角がなく、3人組みだそうです。
不幸があったお宅や病人のいるお宅には入ることはできないため
3人組みの中の先だちと呼ばれる役目の人が「入ってよろしいですか」と尋ねます。
先だちは、普通の人間のいでたちです。
家のあるじが「どうぞ」と言うと
残りの2人(ばりばりのなまはげ)が、入り口で7回しこをふんでから
「泣く子はいないか、怠け者はいないか」
と、家中を探しまわります。
さらに5回しこを踏んだ後、家のあるじと話をします。
あるじはお膳を出してもてなします。
なまはげは、なまはげ台帳というものを携えていて
そこには、担当地区のすべての人びとの素行が記録されています。
ゲームばかりして、家の手伝いも勉強もしない子どもや
朝寝坊ばかりして朝ご飯もろくに作らず、親を大切にしないお嫁さんなど
みんなバレバレです。
ところが、うまい具合に、素行の悪い家族はみんな家を空けていて
家のあるじが「来年までに、私がちゃんと言って聞かせますから」と、なまはげをなだめます。
なまはげは、子らが言うことを聞かぬなら、手をみっつ叩けば、いつでも来るぞと約束し
今度は3回しこを踏むと
泣く子はいないか、怠け者の嫁さんいないかと
もう一度家中を探しまわります。
最後に、あるじから餅を貰って
「来年また来るから。子らをきちんと躾けて、みな健康でおれ。」
と言って帰って行きます。
なまはげの去った後には、稲藁がたくさん落ちています。
なまはげの箕(?)から抜け落ちたものです。
落ちた稲藁は御利益があるので、翌日まで掃かないそうです。
お守りとして持ち帰ってよいそうです。
ただし、むしっても御利益は無いとのこと。
3回しこを踏んだ後、なまはげは観覧席まで回ってきてくれ
ひとりひとりに、ちゃんとやっているかと問うてくれます。
それは決して恐ろしいものではなく、私には温かい励ましに思えました。
二世帯・三世帯同居を前提としているところが
昔ながらのという感じはしますが
教え自体は、単純かつ普遍的なことで
それが、なまはげの口から語られることで、素直に心に入ってきました。
誠実に勤勉に己のつとめを果たし、親を大切にすること。
それだけのことです。
落ちていた稲藁、もちろん拾って来ました。
私のまわりには、特別にたっぷり落として行ってくれた気がします。






