1961年12月16日、岐阜県の生まれ。
花園大学文学部国文学科卒業。
中山七里はペンネームで、故郷に近い岐阜県下呂市に
ある渓谷、中山七里からとった。
幼少のころから読書好きで、保育園の保母さんに
「大きくなったら物語を書く」と言っていた。
最終盤で話がガラッと一転する作風が得意で、「どんで
んがえしの帝王」と呼ばれる。
2009年、『さよならドビュッシー』 で第8回このミス大賞を
受賞して、翌年にデビューした。





警視庁公安部外事第三課の幣原勇一郎(しではら・ゆう
いちろう)はイラクから就労ビザで入国しているアブド
ーラ・ウスマーンの張り込み調査を続けていた。
ある朝、出勤早々木津課長に呼ばれて内勤を命じられた。
数日後、幣原の官舎に同僚三人がやってきて、私戦及び
陰謀罪容疑で息子の秀樹を逮捕して連れて行った。
だが二日間で処分保留が決定し、秀樹は帰宅した。
同時に幣原は元通りにアブドーラの監視に戻った。
幣原秀樹の名前は新聞とテレビで大々的に報じられ、官
舎のマンションはすぐに特定され、高校生の長女可奈絵
は祖母の家に避難した。
幣原は自分の責任において家の中では秀樹を監視すると
いう条件で盗聴、盗撮はしないようにと木津課長に約束
させた。
だが、数日後の夜、秀樹はベランダの非常はしごを使っ
て父親とマスコミ陣の目をくぐって逃走した。
二時間後の零時過ぎに官舎から一キロ離れたところで死
体で発見された。
幣原と妻の由里子は別室で警視庁捜査一課の綿貫から執
拗な尋問を受け、ついで公安部の同僚高頭から秀樹殺し
の容疑者として取り調べを受ける……。