1967年3月、山形県南陽市の生まれ。
近畿大学豊岡短期大学卒業。
2012年、『焔火(ほむらび)』で第6回小説現代
長編新人賞を受賞してデビュー。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240511/06/cannonball/ee/c8/j/o0437058615437149920.jpg?caw=800)
昭和初期、十八歳の鉄は狸撃ちを生業とする家に生まれ、
一家は村八分にあっていた。
幼馴染で十六歳のおミツの家は盗っ人一家だった。
鉄とおミツはいつも地蔵堂で交わった。
あるとき、地蔵堂の扉が外から開き、「糞どもが」の声
のあと、気がつくと鉄は手足を縛られ後頭部がしびれた。
村長の息子と三人の手下がわらっていた。
村長の息子が森の奥に入った隙に鉄は縄をほどき、狸を
仕留めるために持っていた鉄芯で三人の手下を倒した。
森に入っていくとおミツは丸裸にされて切り刻まれて血
塗れになって木に吊るされて息絶えていた。
村長の息子を鉄芯で傷だらけにしたが、最後の力で崖か
ら投げ落とされた。
気がついたのは小舟の上で、港まで連れて行ってもらい、
そこで川で鮭を獲る網元に出逢った。
伊吹というその網元は面倒見がよく、鉄はそこでの生活
が気に入っていつまでも伊吹についていこうと思った。
少し金が貯まったときに仕事仲間の吾助に誘われて色街
に行き、そこでおミツにそっくりのあや子に出逢った。
あや子は目が見えず、瞽女(ごぜ)の出で厳しくも優し
い師匠を事故で失って苦界に投げ出されてから煮え湯の
連続の半生だった。
鉄は漁師暮らしとあや子との恋で、平穏で生き甲斐のあ
る生活を送っていたが、伊吹のところにとうとう巡査の
手配書が回ってきた。
伊吹は鉄を信じ、新しい着替えと多額の札束をもたせて
逃げさせてくれた。
鉄とあや子は瞽女と男瞽女として村人たちの敬愛をうけ、
いくつも峠を超えて生活を送っていた。
だが、またまた不幸が訪れた……。
近畿大学豊岡短期大学卒業。
2012年、『焔火(ほむらび)』で第6回小説現代
長編新人賞を受賞してデビュー。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240511/06/cannonball/ee/c8/j/o0437058615437149920.jpg?caw=800)
昭和初期、十八歳の鉄は狸撃ちを生業とする家に生まれ、
一家は村八分にあっていた。
幼馴染で十六歳のおミツの家は盗っ人一家だった。
鉄とおミツはいつも地蔵堂で交わった。
あるとき、地蔵堂の扉が外から開き、「糞どもが」の声
のあと、気がつくと鉄は手足を縛られ後頭部がしびれた。
村長の息子と三人の手下がわらっていた。
村長の息子が森の奥に入った隙に鉄は縄をほどき、狸を
仕留めるために持っていた鉄芯で三人の手下を倒した。
森に入っていくとおミツは丸裸にされて切り刻まれて血
塗れになって木に吊るされて息絶えていた。
村長の息子を鉄芯で傷だらけにしたが、最後の力で崖か
ら投げ落とされた。
気がついたのは小舟の上で、港まで連れて行ってもらい、
そこで川で鮭を獲る網元に出逢った。
伊吹というその網元は面倒見がよく、鉄はそこでの生活
が気に入っていつまでも伊吹についていこうと思った。
少し金が貯まったときに仕事仲間の吾助に誘われて色街
に行き、そこでおミツにそっくりのあや子に出逢った。
あや子は目が見えず、瞽女(ごぜ)の出で厳しくも優し
い師匠を事故で失って苦界に投げ出されてから煮え湯の
連続の半生だった。
鉄は漁師暮らしとあや子との恋で、平穏で生き甲斐のあ
る生活を送っていたが、伊吹のところにとうとう巡査の
手配書が回ってきた。
伊吹は鉄を信じ、新しい着替えと多額の札束をもたせて
逃げさせてくれた。
鉄とあや子は瞽女と男瞽女として村人たちの敬愛をうけ、
いくつも峠を超えて生活を送っていた。
だが、またまた不幸が訪れた……。