1978年10月12日、沖縄県南城市の生まれ。
東京慈恵医科大学医学部医学科卒業で日本内科学会認定医。
2011年、『誰がための刃 レゾンデートル』で第4回ばらのまち
福山ミステリー文学新人賞を受賞し、同作で翌年デビュー。
2015年、『仮面病棟』で2015啓文堂大賞(文庫部門)。
2018年、『崩れる脳を抱きしめて』で第8回広島本大賞(小説部
門)と第4回沖縄書店大賞(小説部門)をダブル受賞。
2020年、『ムゲンの i 』で第6回沖縄書店大賞(小説部門)。







外科医の速水は狛江市郊外にある療養型の田所医院で
夜勤の当直で待機していた。
ピエロのマスクをかぶった男が腹部から出血している
若い女性を連れてやってきた。
コンビニ強盗に入った男が逃走の際に発砲して女性を
連れてきたのだった。
秀悟は夜勤の看護師の東野良子と佐々木香とともに緊
急手術をして川崎愛美という女性を救った。
いつもはいないはずの田所院長が現れて、警察に通報
しようという秀悟たちの携帯電話を没収した。
病室でうめき声が聞こえ、秀悟と愛美が行ってみると
「新宿11」と記されたベッドの男が手術後の縫合糸が
切られて出血し、倒れていた。
新宿11とはこの病院で11番目の、新宿で見つかった身
元不明患者という意味だった。
不審に思った秀悟と愛美がつぎつぎにカルテを調べる
と一枚の紙切れが挟まっていて、七人の名前の中に新
宿11があり、「調べろ」と書いてあった……。