1949年7月7日、岡山県玉野市生まれで兵庫県神戸市在住。
慶應義塾大学工学部卒業、同大学院修士課程修了。
大学院在学中に通産省の電子技術総合研究所で核融合の
研究を行う。
日本原子力研究所の研究員を経てカリフォルニア大学ロサ
ンゼルス校に留学、1981年に帰国してから学習塾を経営しな
がら執筆活動に入る。
1990年、『帰国』 で第24回北日本文学賞受賞。
1994年、『メルトダウン』 で第1回小説現代推理新人賞。
1999年、『イントゥルーダー』 で第16回サントリーミステリー大
賞と同じく読者賞をダブル受賞して本格的に作家デビュー。
全国学習塾協同組合の理事でもある。







北海道南西部、日本海に面した内知町の小学四年生の女の
子が郷土の絵を描いて文部科学大臣賞を受賞した。
その絵には実際にはない発電用の白い風車が描かれていた。
発表されたその絵を見て多くの観光会社がルートに組み入れ
たいと内知町の役場に連絡してきたが、現実には風車はない
のだから断らざるを得なかった。
堀江町長は町おこしの起爆剤になると考えて風車を作ること
に決めた。
ヨーロッパ製だと三億円はかかるという風車を手作りで五百万
円の予算で決行することになった。
金がないため、設計は内知工業高校の藤江先生に、施工は潰
れそうだが地元唯一の鉄工所である東間鉄工所に依頼した。
高校卒業と同時に父親と喧嘩して東間鉄工所を飛び出したま
ま音信不通になっていた東間優輝も七年ぶりに帰ってきて、
造船所で鍛えられた板金と溶接の技術を生かして風車作りを
手伝った。
試運転の日には北海道知事や札幌市長までやってきて、華々
しくスタートした。
だが、そのあとに……。

高嶋哲夫にしてはちょっと甘い作品だと思ったら、第56回青少
年読書感想文全国コンクールの高等学校の部の課題図書に
なっていた。