高校生のころ、Miles Davis がアイドルだった。

1950年代から60年代前半のMilesはほんとうにかっこよかった。

その後Milesはちがう方向性を発揮し始めたし、オレもフォーク

などに眼を向け、また受験勉強もあったりしてジャズから遠のいた。


後年、再度ジャズに向かい合ったとき Miles 以外のトランペッター

たちをおおぜい聴きなおすことになった。


サックスもそうだが、トランペットもバップフレーズを丁寧に吹く人が

好きだ。

Clifford Brown は別格として、Conte Candoli 、Nick Travis 、それに

Thad Jones 、Kenny Dorham 。

なかでも Kenny Dorham が大好きだ。

Fats Navarro や Dizzy Gillespie のように超絶技巧を駆使するわけ

ではない。

トランペットの魅力を際立たせるハイノートを連発させるわけでもない。

ひたすら中音域で美しい音とフレーズを紡いでいく。


『HORACE SILVER & THE JAZZ MESSENGERS』を聴いている。





パーソネルは愛聴盤、

『THE JAZZ MESSENGERS AT THE CAFE BOHEMIA VOL.1』

と同じだ。


このときのMESSENGERSはBrowny、Lou Donaldsonの時代、また

Lee Morgan、Benny Golsonの時代とちがって、とても落ち着いている。

Blakeyも妙に管をあおることがない。

Mobley と Dorham の雰囲気がそうさせているのだろう。


蛇足だが、Horace Silver のフルネームは、やたら長い。

Horace Ward Martin Tavares Silva という…。