北海道の北端、稚内市の宗谷岬の背後に宗谷丘陵が広がる。

周氷河地形の典型的な姿で、クマザサにおおわれた丸みを

帯びたなだらかな丘が、いくつもいくつも延々と連なる。

周氷河地形というのは、氷河時代に氷河の周辺つまり北半球

では氷河の南側で土壌が凍結と融解をくりかえし、山岳地帯

全体がゆるやかな波状地になったもの。

とてももろいのも特徴にひとつだ。


稚内市に隣接する豊富町の牧草地帯。

ここにも宗谷丘陵が続いている。

土地を平らにするためにいくつかの丘を一直線に縦に削って

崖になった場所があった。

低い斜面で20メートル、高いものは40メートルくらいあった。

その下の平らになったところにクルマで入って、当時発表会で

やる予定だった、

   『 Watermelon Man 』

の練習を始めた。


吹くのをやめると 『 シャーッ 』 という音が聞こえる。

すぐにその音はしなくなった。

また少し吹いて耳をすますと、同じ音がする。


まさかと思ったが、試しに崖に向かって大きな音を出してみると

『 チリチリッ 』 という音。

その音がだんだん大きくなっていく。

目の前の斜面全体から小さな石がいくつも転がり落ちてくる。


あわてて練習を中断してひきあげたのは言うまでもない。

テナーサックスの音圧ってすごいと思った。