cannaryaの歌

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最初は無邪気にその丘を目指していた。
四人でその丘を目指していた。

お調子者のユウタが先頭を歩いた。
体の小さかったマリは、ユキヒロがそっと手を引いてくれた。

お日様が沈み始める頃までは、みんな元気に歩いていたけれど
その丘は思っていたよりもずっと遠かった。

最初に、お腹がすいたといってマリが足を止めた。
家の人が心配するからと、ユウタも立ち止まった。

ユキヒロはずいぶん長く一緒に歩いてくれたけれど
置いてきた二人が気になるからと、来た道を戻っていった。


それから長い長い時間、一人で歩いた。

私には、辿りつきたい場所があったのだ。

それは遥か遠くにあって、もしかしたら手が届かないかもしれなくて
諦めそうになる気持ちを何度も振り払った。

雨の日も、冬の日も、足を止めなかった。
いくつもの街を通り過ぎていった。

いつか私の隣には孤独がいた。
孤独と語らいながら歩き続けた。


何年も、何年も。
そうして歩き続けた。

私には、どうしても辿りつきたい場所があったのだ。

弱い気持ちは邪魔になった。
だから、一つずつ捨てていった。

夜の静寂に孤独だけが残った。


幾度目の昼と夜を迎えただろう。
ある日、私は気付いた。
一人では、そこに辿りつく事ができないと。

そして…、私は、孤独を捨てた。


振り返ると、ずっと昔に別れた友人達がいた。

彼らの名前はもう良く思い出せなかったけれど
彼らは私の名前を呼んで笑いかけてくれた。

私には笑い方が良くわからなかった。
だから、彼らの真似をして、作り物の笑みを浮かべた。

「ごめんね、寂しかったでしょう」

と、ユキヒロが聞いてきた。

「いいえ」

私は答えた。

私には、寂しいという事が、良くわからなかった。


彼らは私を手伝ってくれた。
それはひどく拙いものだったが、仕方なかった。

「ありがとう」

私は偽りの気持ちを述べた。


そして私は
偽りの笑みを浮かべ、偽りの言葉を吐き、偽りの涙をながし
今もあの丘を目指している。

私には、どうしても辿りつきたい場所があったのだ。


もしも私が孤独であったのなら、どんなにか救われたことだろう。

例えそれが、偽りの孤独であったとしても。