6月下旬の或る日。

梅雨の晴れ間を狙って、奥武蔵グリーンラインをドライブして来ました。

 

奥武蔵グリーンラインとは、埼玉県入間郡毛呂山町の埼玉県道186号(毛呂停車場鎌北湖線)終点の鎌北湖から、秩父市の埼玉県道11号(熊谷小川秩父線)の定峰峠に至る30kmほどの林道の総称です。

奥武蔵の山並みを縫って走る全面舗装の観光ルートで、時折、関東平野の眺望が開けます。 

 

奥武蔵グリーンラインの概略図

 

私と妻と蒼穹号の気ままなドライブです。

最初に訪れた堂平山(876m)は360度の展望が望めるお勧めの山でしたが、見える筈の山々は雲の中で残念な思いでした。

実は此処に来たのは40年振りで、その頃の思い出を探そうと妻と二人で周辺を散策したのですが、40年の流れを思い知らされた次第・・・全く変わって居りました。

 

堂平山(876m)で

 

少し走って狩場坂峠まで車を進めると、かなり広いスペースが駐車場になっています。

2009年頃までは此処に茶店が有り、私も何度か休憩したのですが、様々な事情で廃業したらしく全てが駐車場です。

この峠の側には別荘地が有るのですが、秩父の山中何処でも見れる「廃屋」の集団化していました。

 

狩場坂峠の茶店

 

現在の姿

 

廃屋化した別荘地

 

狩場坂峠を後にして少し走ると飯森峠になります。

 

奥武蔵グリーンラインの南部

 

ニホンオオカミ史を紐解くと、この峠周辺での捕獲例が有ります。

昭和45年発行の「埼玉民俗」に記された文面をそのまま記します。

 

【埼玉県比企郡都幾川村多武峯(とおのみね)の裏のしきび平の野口家の祖先が捕獲したものです。

 

多武峯(とおのみね)

 

オオカミを獲ったのは飯森峠の頂上付近で、或る日、先祖が鉄砲撃ちに行ったら、そこでオオカミにバッタリ出っくわしたので、夢中で弾丸をあるったけ撃ってしまった。

弾丸は見事命中したが、眼の前のオオカミは倒れないで四つ足をふんばって、こちらを向いて凄まじい形相で唸り声を立て乍ら睨みつけていた。

余りの恐ろしさに、山の神の権化にも思われ、神様に助けを求めた。

 

野口家蔵頭骨標本-1

 

『どうか眼の前のオオカミを倒して下さいますように。

倒して下されば、きっと山の神様のお社を造ってお祀りをいたしますから、どうぞお助け下さい。』と祈り終わると同時にと祈り終わると同時に件のオオカミはバッタリ倒れた。

と以上の様な話をされた。

 

野口家蔵頭骨標本-2

 

野口さんの御先祖はその後約束通りに、その地に山の神のお社を造って祀った。

正月には毎年しめ飾りにこの山頂まで訪れていた。

ある年大雪の時が有り、山の神に行くことが出来ないので家の神棚でお祀りをした。

その年から家でお祀りするようになった。・・・と云うものです。

 

ぶら下げていた頭骨