アメリカには、PTSD(心的外傷後ストレス障害)とTBI (外傷性脳損傷)による
帰還兵の生活を支援するために、特別に訓練されたサービスドッグがいます。
私は、従来の家庭犬トレーニングに加えて、
2015年よりフリーダムドッグという団体のもとでPTSD介助犬のパピー育てから、タスク(任務)トレーニング、パートナーへの引き継ぎまでをお手伝いさせていただいています。現在は、3代目のタンク(黒ラブ♂2歳半)が卒業間近、そして先々週から、また新たに4代目となるマーフィーを迎えました。
日本ではまだあまり馴染みのないPTSD介助犬ですが、
実際にどんなお仕事をするのかご存知ですか?
まずは、こちらの動画をご覧ください。
(オランダの「ロイヤル盲導犬財団」が作成したものです。)
これは、悪夢にうなされるパートナーを起こし、部屋の電気をつけるタスクです。
PTSD介助犬のもっとも一般的といわれるお仕事のひとつです。
その他にも、突然のフラッシュバックによるパニック発作や不安発作が出たときに、その発作がエスカレートする前に遮断する行動をとります。
人によって、発作の前兆となる動きが違うのですが...
例えば、
手を擦り合わせる
貧乏ゆすりが始まる
爪、唇をかむ
呼吸が荒くなる
などが出たときは、すぐに犬が止めに入ります。
また、咳き込んだり、泣いたりと感情の乱れに繋がりやすい行動が出た時には、様子を見に行くようにトレーニングされています。
こんな感じ。
(タンクが6ヶ月の頃。)
前足をかけて大丈夫か確認します。
そして、「サンキュー」の言葉で座って次の指示を待ちます。
その時に、水や薬、携帯電話などの指示があれば取りに行きます。
(何度も繰り返し練習をするので、周りの犬まで覚えちゃうのね。アトラスまで様子を見に来るようになってます。)
他にも、脳の外傷による記憶障害が出ることがあるので、
私物を探して持ってきたり、薬を服用する時間になったら知らせるということもします。外出先では、背後から人が近づいたら知らせますし、建物内でパニックがでたら出口へと誘導します。
っと、まあ、こんな感じで
一部ご紹介しましたが、毎回そのパートナーの症状や必要に応じて
トレーニング内容が変わってきますので、同じPTSD介助犬でもお仕事内容はさまざまになります。
ちなみに、誤解されがちですが、飼い主さんの不安を和らげるために寄り添うエモーショナル・サポート・アニマル(ESA)と、サービスドッグは違います。
犬を連れていることで、逆に注目を浴びたり声をかけられたりということもあるのですが、公共の場ではすでに精神的な余裕が彼らにないことが多く、犬にとっても集中が途切れてしまってはいけないので、もしも、街中でお仕事している補助犬を見かけたら... ぜひ、遠くから温かく見守っていただけたら嬉しいです。