皆様、明けまみておめでとうございます。


失礼、噛みまみた。


「いや、そんなことより何日だと思ってんだ?」


まぁほら、アレっすよアレ…旧暦…みたいな?


それはそれとして、新年一発目の記事と言えば毎年恒例、「年賀状に描いたイラストを晒す」ですね!

「去年そんなことやってたか?」と聞かれれば「さぁ?」と答えるしかないがそれはともかく、今年のイラストはこれだ!


上手いとか下手とかそんな話は置いとくとして、察しのいい皆さんならどこかで見たことのあるポーズとお気付きのことでしょう。
そう、シュワちゃんだ。

…セーフ!左右反転してるからギリセーフ!

こんな僕ですが今年もよろしくお願いします。

また例によって、今年も光の速さで終わってしまった正月休み。
借りていた五本のDVDも、結局は二本しか見られなかったという体たらくである。
そのうちの一本が、またまた人様のブログで紹介されていた『オートクチュール』という作品。

フランスの高級ブランド「ディオール」を舞台に、引退直前のお針子の女性と、移民二世の少女との交流を描くヒューマンドラマだ。
ファッションブランドになど毛ほども興味のない俺だが、オートクチュールの縫製と同様にあまりにも繊細なタッチで描かれる世界に、思わず見入ってしまった。
映画のお供に用意していたポテチ(しかもガーリック味)を食べる機会を逸してしまったと言えば、その繊細さを察して頂けるだろうか?

ストーリーとしてはもちろん、何か大きな事件が起こるわけでもなければ、強大な敵が現れるわけでもない。
登場人物たちも、聖人でもなければ悪人でもない、あくまで普通の人たちだ。
ディオールが舞台であっても、目の眩むような華やかなファッションが次々と披露されるわけではなく、ショーに向けて作業に勤しむお針子たちの日常が淡々と描かれる。
一体どうしてこれで映画として成立してしまうのか、不思議なくらいだ。

移民問題やLGBT問題など、これ見よがしな人権意識の高さが鼻につく瞬間もあった。
しかしそうかと思えば、気のいい素敵なおばあちゃんが、おそらくは体は男だが心は女であろう人物を「女装男」と呼び、「私はありのままを口にする。猫は猫と呼ぶ」と言ってのけるなど、昨今降ってわいたような一方的な人権啓発に留まらない絶妙なバランス感覚を披露。
まさに、「1ミリでもずれたら全てやり直し」というオートクチュールの世界に通じる繊細さを、ここでも見せている。

そうして最後に主人公が、移民らの暮らす団地を見上げながら呟く「美しいわ」の一言は、まさに本作の集大成。
自分を取り巻くこの世界には、様々な人たちが様々な問題を抱えながら生きている。
一見すると理解ある善人に見える人もいるだろう。一見すると嫌な人間もいるだろう。
しかしそんな彼らの人生が1ミリでも違えば、この世界もまた全く違ってくる。
繊細で絶妙なバランスの上に成り立っているこの世界を、「美しい」と表現するこの優しく暖かい視点はどうだ!
こんな俺でも心の芯からじんわりと温もりが広がってくるような、不思議な感覚に包まれた。

え?正月に見たもう一本の映画は何かって?
そらもちろんコレよ!
『ワイルド・スピード MAX』


繊細さとは対極のやつらが再び集結!

だが、それもまた美しい!

ある意味絶妙なバランスで成立する世界観を堪能せよ!


それではストーリー!


まずは冒頭、今日も今日とて、元気一杯にガソリンを積んだトラックを襲撃するドミニクファミリーの姿が、そこにはあった。

相変わらずシャツの袖と頭髪はいらないスタイルのドムを筆頭に、ファミリーの姉御レティことミシェル・ロドリゲス、(まだ東京に行く前の)ハンことサン・カン、あとローマンとテズにポジションを食われていつの間にかフェードアウトしていた陽気な二人と、万全な体制で見事にガソリンを奪うことに成功!


ちょっと死にかけたりしたけどわたしは元気です!


ガソリンを謎ルートで売りさばき大金を手にしたにも関わらず、ハンは浮かない表情だ。
何でも警察にアジトの一つが摘発されたと言う。
ホシはもちろんドムその人!

自分と一緒に居ると他の連中までサツに追われてしまうと考えたドムは、ファミリーの解散を電撃宣言するのだった。

しかしそんな一方的な解散宣言に黙っていられる姉御ではなかった!
「Si,アタイたちはいつでも二人で一つだった。今さら怖じ気づいたってわけ!ハァン!?」
そんな青春アミーゴ魂溢れる台詞でもって、ドムと二人で警察の追撃を受けて立つ覚悟を見せつける!

しかしながら、レティも頑固ならドムも頑固。
その夜、(最後に軋むベッドの上で優しさを持ち寄った後で)一人でひっそりとレティの元から姿を消してしまうのだった…。

あれから数ヶ月!(きみまろ風)
異国の地で車の修理屋をして(多分)静かに暮らしていたドムの元に、急を告げる知らせが入る。
妹のミアからだ。

「レティが殺された」

それは耳を疑うような話だった。
ミアの案内で事件があった現場へ飛び、サイコメトラーばりの現場検証でもって、レティを殺した下手人はニトロを使った違法改造車に乗っていたことを突き止めたドム。
取って返す刀で、そのような改造を行う心当たりを締め上げて吐かせたところによると、どうやらデビッド・パークという男からの依頼で車を改造したらしい。

一方こちらはロサンゼルスのコンクリートジャングル。
今日も今日とて一人のナイスガイが、いかにもお行儀の良さそうなブラザーをゴリゴリに追い詰めていた!

そう、俺たち皆のブラザー、ブライアン・オコナーことポール・ウォーカーその人である。
FBIにカムバックして捜査官として任務に精を出すブライアン。
今FBIが追っているのは麻薬密売組織のボス、ブラガ。
決して人前に出てこないブラガの存在に捜査は難航していたが、ブライアンが捕らえたチンピラの証言から、ブラガの元で運び屋を集める手配役の名前を突き止める。
男の名はデビッド・パーク!


なんということでしょう!

奇しくも同じ男を探すこととなった二人は、噂のデビッド・パークくん宅で運命の再会を果たす。
コマンドー式尋問真っ最中のドムを制止し、どうにかデビッド・パークの身柄を確保することに成功したブライアンだが、その隙にドムは姿を消してしまう。
指名手配を受けているドムの行方をFBIもマークしていたが、彼を捕えることはできなかった。
↑オコナー呼びによそよそしさがにじみ出る。

しかしここで朗報だ!
デビッド・パークによるとブラガは腕の立つドライバーを集めており、近く、採用試験を兼ねたストリートレース大会が催されるという。
手配役であるデビッド・パークの紹介ということで、レース会場に潜り込むブライアンだが、そこには当然のようにドムの姿もあった。

ブライアンがちょっぴりFBIの職権を濫用しつつ、無事にブラガのドライバーとして雇われることとなった二人。
お互い腹に一物ある者同士、決して正体をバラしたりはしないものの、ブラガが疎外感を感じてちょっぴり寂しくなる程度に二人の世界で火花を散らすブライアンとドムなのでした。
↑「え?あの…二人は知り合い…?」

そんなこんなで迎えた仕事当日。
国境線にある秘密のトンネルを抜けてメキシコまで麻薬を運ぶという簡単なお仕事だ。
ブラガの腹心であるフェニックス先導のもと、無事にメキシコに辿り着くブライアン、ドム、その他諸々。
だが、サイコメトラードムジことドミニクは、レティを殺した下手人に既に当たりをつけていた。
その男こそが、今まさに目の前にいるフェニックス!
彼は毎度仕事が終わるたびに、口封じのために運び屋たちを殺していたのだ!
かつてレティもブラガの運び屋として仕事をし、フェニックスに殺された…。
↑いかにもやりそうな顔のフェニックスさん。

自身の車のニトロを爆発させ復讐を目論んだドムだが、混乱の中フェニックスを取り逃がしてしまう。
麻薬を積んだ組織の車を奪い、どうにか現場からの脱出に成功した二人。
ミアとも合流し、あの頃のように三人で食卓を囲み、次第にわだかまりも解けていく。

しかし、ひょんなことからレティがFBIの潜入捜査に協力していたことを知ってしまい、怒りに任せてブライアンに殴りかかるドムだが、レティが危険を省みず捜査に協力したのには理由があった。
そう、ドムの自由のためだ。

FBIへの協力と引き換えにドムの指名手配を取り消してもらい、もう一度二人で暮らす…それがレティの願いだった…。
良かれと思って身を引いたことが、かえって彼女を危険に巻き込んでしまったことを知り、シリーズ屈指のショボン顔で半泣きのドム。
↑そんな顔しないで…ドム…

だが今はしょんぼりしている暇なんかねぇ!
まだ何一つケリはついていないのだ!
ブラガを捕えることも、レティの仇を討つことも、何一つだ!
ブライアンはドムへの恩赦を条件にFBIと共同戦線を張る。
奪った麻薬をエサにブラガ本人を呼び出し、一網打尽にしてしまおうという作戦だ。
しかしここでFBIさんのスーパー勇み足モードが発動!
偽物のブラガを捕え、本物のブラガを取り逃がしてしまったのだ!
ついでにまたドムも消えた!
しかも、ブラガが逃げ込んだメキシコは管轄外などと意味不明なことを言いながら、FBIは芋を引いた!

はぁ~マジつっかえ…

だがシャツの袖と頭髪がない男には管轄の内外もなかった!
奴はたった一人でもメキシコに乗り込み、恋人の仇を討つ構えだ!
そこへもう一人の男もやって来る。
「俺も行く」

再び手を結ぶドムとブライアン!
再びまぐわうミアとブライアン!
簡単に捕まるブラガ!
時系列がよく分からないジゼルことガルガドット!
泥臭すぎるブライアンとドムのツープラトン!

果たして二人は、ブラガの麻薬密売組織をぶっ潰しレティの仇を討つことができるのか!?

例え死んでないとしてもだ!



…「こういうのでいいんだよ」の完成形がここに!


一作目以降久々のドムとブライアン揃い踏みとなった本作。

以前に比べグッとエンタメ度が増し、今のワイスピ的世界観へと舵を切った分岐点的作品と言える。

とは言えこの時はまだドミニクファミリーも今ほど肥大化しておらず、ドム、ブライアン、レティ、ミアの四人を主軸に、割かしコンパクトな人間模様の中、必要十分なドラマが描かれている。

また今回の敵であるブラガも、昨今のように息をするように当たり前に世界を滅ぼすような巨悪ではなく、たかだか麻薬密売組織一つ潰すかどうかという地に足の着いたスケール感。

かてて加えて、シリーズの鬼子と言われる『TOKYO DRIFT』から、主人公を差し置いて人気のありそうなハンだけを続投させるといういいとこ取りスピリッツ!


この、エンタメ度を増したカーアクションに必要十分な人間ドラマ、全体的なスケール感といった匙加減の妙こそが、「こういうのでいいんだよ」と評する所以だ。


大風呂敷を広げすぎないがゆえに、ポイントを絞った濃密な人間模様の描写も本作の魅力だ。

かなり序盤に(カンパネルラー!)(適当)退場してしまうレティことミシェル・ロドリゲス姐さんだが、冒頭のガソリン強奪ミッションでの生き生きとした姿が印象的だ。

それはもう、喜び勇んで一番危険な役割を担っているようで、「幸せそうで何より!」と、見ているこちらも思わず顔が綻んでしまう。

例えやっていることは純度100%の犯罪だとしてもだ!

↑嬉しそうな姐さん。

ブライアンとミア、ブライアンとドムとの微妙な機微を表す描写も見逃せない。
例えばこうだ。

FBIの捜査官と参考人という立場で再会してしまったブライアンとミア。
「ドムは追われているので近付くな」と警告するブライアン。
「五年ぶりに再会して言うことがそれ?」と不機嫌なミア。

さらに、「真実のない人」と罵るミアに対して、「嘘の天才だからFBIに雇われた」と、言い訳の一つもせずに素っ気なく答えるブライアンだが、この時の感情のスイッチをオフにしたような何とも言えない表情は必見だ!

…そんなことあるもんかデス!(涙)

一作目から、うだうだと言い訳をせずに何を優先すべきか即断即決する男気を見せてきたブライアンだが、ここでもやはり、心を殺してミアを危険から遠ざけようとする男気が垣間見える!

そしてもちろん、本作最大の見所といえばドムとブライアンのドラマだ。
またしても追う者、追われる者という立場で皮肉な再会を果たしてしまった二人だが、なんというかもう、ほんとは好きなのに素直になれない少女漫画のような突っ張り合いが微笑ましい。
正直最初から、ブラガとかどうでもいいくらいだ。

そんな二人が激しくぶつかり合う、本作随一の、そして本シリーズ随一の名シーンがある。
レティの携帯の通話履歴から、彼女がFBIの潜入捜査に協力する中で命を落としたことを知ったドムは、怒りに任せてブライアンに殴りかかり、大喧嘩に発展してしまう。
しかし、ブライアンの「お前のためだった」という言葉に思わず手が止まるドム。
みるみるうちに悲しみの表情へと変わり、すっと視線を反らし、一瞬ミアを見て、そして天を仰ぐ…。



…なんて繊細な演技をしやがるんだ!?

一作目の時もそうだったが、感情の奔流を表情だけで如実に物語る演技力が、ヴィン・ディーゼルがただのハゲマッチョではないことを証明している!

さらにこの時のブライアンの、床に倒れたまま叫ぶ「守れなくてすまなかった!」という泥臭い魂のシャウトはどうだ!?
シリーズ通しても屈指の名シーンであることは間違いないし、俺がドムとブライアンのコンビを大好きになった瞬間でもある。
そうして最後には、一人でボロボロになりながらドムの敵討ちを見事にアシストするのだが、その必死の姿に思わず熱くなるのだった。

まだある。(まだあるんかい!)
そんなブライアンの頑張りに対するドムのアンサーソングも奮っている。
ブラガは法の裁きを受けさせるために生かしたまま捕え、そして自身もこれ以上逃亡することはやめ、指名手配犯として法廷に立つ。
思えばレティの死は、逃げ続けてきた自分に原因があった。

「もう逃げねぇ」

男ドミニク・トレットの、それは当然の決断だった。

ブライアンに協力してブラガには法の裁きを受けさせる。
自身も逃げずに法の裁きを受ける。
それはそれとして下手人は殺す。

ただただワイルドで大雑把なバカアクション映画と思われがちな本ワイスピシリーズだが、ヴィン・ディーゼルが魅せる繊細な演技と、上記のような絶妙なバランス感覚とを兼ね備えた、『オートクチュール』とも通じる名作であることが分かる。

もしかするとドムの袖無しシャツはディオール製かも知れん!

まだまだ細かいところで言いたいことはあるが、ここでスペシャルゲストの登場です。
いつもなら俺のタッグパートナーとして、ミアに登場してもらうところなのだが、残念ながら彼女は今回、最初から最後まで本編の方に出ずっぱりで忙しいようだ。
でもご安心!
今回はこちらの方に来て頂いたぞ!

「…レティ・オルティスよ」

ハイ、レティ姐さん!初めまして!
会えて嬉しいです!

「アンタがキャンね。ミアから話は聞いてるわ。あんまりふざけたことばかり言ってると顔にタイヤの跡つけるよ!

ヒィ!?
でも大丈夫マイフレンド!僕は見ての通り、至って真面目で誠実な男さ!
ところでレティ姐さん、今回の作品はどうでした?
残念ながらここからしばらく、姐さんは死んだことになってしまうけれど、ドムと一緒に「仕事」に励む姿はとても輝いて見えました。

「そりゃそうさ。アタイたちはいつでも二人で一つだった。地元じゃ負け知らず。二人で困難に打ち勝っていくのが最高の瞬間さ!」

普通こういったヒロイックな作品の場合、主人公は新しく登場したヒロインと懇ろになりがちですが、死んでもなお姐さんのことを想うドムの姿も印象的でした。
今作ではまだ正体を隠して、ブラガの部下として登場したジゼルがやたらとドムを誘惑してきます。

「…スカンクの匂いがするね」


ヒィ!?
お、落ち着いて姐さん!
しかしドムは、そんなジゼルの目を真っ直ぐ見て答えるんです。

「嘘を見抜いて人の美点を見つける目を持った女。それから、車いじりの好きな女」

そう、これほどの美女を目の前にしながら、姐さんのことを思い浮かべながら話してるんですよ!

「キュンです!」

姐さん!?
でも僕なら「僕の好みの女性?目の前にいるよ♥️」なんて言ってしまうところですが、やはりドムは筋の通った男の中の男ですね!
二作目ではブライアンでさえ軽く浮気してたというのに!
!?

ところでそのジゼルと言えば、後のシリーズでハンの恋人になりますが、戦いの中で命を落とし、傷心のハンは一人東京へ渡り、『TOKYO DRIFT』に繋がっていくという流れだったと思うのですが…ちょっと時系列しんどくないですか?

「はい、顔面タイヤ」

ヒィ!?
スンマセン!じゃあこの話はここまでということで!
それでは最後にもう一つ、僕のオススメのワンシーンを紹介させてもらってよろしいでしょうか?

「言葉は選びな?」

ヒィ!?
ブライアンとドムが、二人でメキシコに乗り込む決死の覚悟を決めた直後、買い物帰りのミアとブライアンはもう辛抱たまらずに台所でおっぱじめちゃうんですよね。ドムが隣にいるにも関わらず!

その時のドムの何とも言えない表情がこちら。
↑(あの二人今ごろよろしくヤってんだろうな…)

「ぶっはっはっは!ミアもやるなぁ!まぁそれはそれとして、アンタはここから飛べ

ファッ!?この崖から!?

「下にトゥルースリーパー敷いといてやっから、安心して飛びな?」

トゥルースリーパーってあれ…姐さんのクライスラーじゃないっすか!?
普通の人間は鉄の塊の上に落ちたら死んじゃいますよ!

「顔面タイヤか飛ぶか、どちらか選びな」

ヒィ!?飛びます!飛びます!!
それでは皆さん、また来世ええぇぇえええぇぇぇぇぇぇぇぇ…