めりー。(雑なあいさつ)


そんなわけで、世間一般ではクリスマスと専らの噂の今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?

若いカップルなどはイルミネーション輝く街へ繰り出しロマンティストテイストを満喫した後、お城のようなホテルを埋め尽くして聖夜を性夜へと上書き保存していることでしょう。


あるいは独り身の男性なら、股間のクリスマスツリーを叱咤激励してイカのスメルをデコレートしていらっしゃることと存じます。

山下達郎もあの有名なクリスマスソングで歌ってますからね!


きっと君はオ○ニー

一人きりのクリスマスナイト


何だか毎年同じようなことを言ってる気がするが、それはともかくとして、俺はと言えばここ何年かはこの季節になると、ブログで紹介するのに調度いいクリスマス映画はないかなぁ?と思案するのが恒例となっている。

まぁ巷はクリスマス映画で溢れてますからね!

そんな中から今年の俺が迷わずチョイスした以前から気になっていた作品がこちら!

『サンタキラーズ』

クリスマスムービーに新たなアイコンが登場!?
サイコキラーサンタがお届けする死のクリスマスプレゼント!
君は「良い子」「悪い子」どっちだ!?

それではストーリー!

夜のダイナーに一人の若い女性がいる。
クリスマスも近いというのに浮かない顔だ。

とそこへ、女性の父親がやって来る。
「そろそろ家に帰って来い」と父親は言う。
どうやらこの女性―コートニーは、ある事件をきっかけに逃げるようにして故郷のウッドリッジを出て、このニューヨークで人ごみに紛れて暮らしているようだ。

「まだ“あいつ”は捕まっていない。まだ帰れない。特にクリスマスには」

四年前、ウッドリッジで、精神病院に入院していた男女が病院職員ら30人を焼き殺すという凄惨な事件があった。
犯人の二人はFBIの捜査もかいくぐり未だ逃走中だという。
犠牲者の中にはコートニーの友人もいた。
事件があったのはまさにクリスマスの夜。
たった四年で立ち直るには、あまりにも心の傷は深かった。

「今度はパパとママがこっちに来て一緒に暮らしましょう」

それでも笑顔で別れる二人。

しかし、悲劇は再び幕を上げる!
娘と別れた帰り道、車を走らせていた父親は、サンタコスチュームに身を包んだ殺人鬼に襲われる。
父親はその男のことを知っている。
奴の名はニコラス!
四年前、30人もの命を奪い姿を消したあの男だ!

「コートニーの居場所は教えない!」

手斧による攻撃を受けて深手を負った父親だが、愛する娘に近付けまいと最後の抵抗を見せる。
だが…

「一つだけ、家族を集める方法がある。それは、葬式だ

こうしてコートニーの父親は、ニコラスによって無惨にも殺されてしまうのだった…。

翌朝、車を発見した地元警察が現場を改める。
四年前のあの事件があった町での出来事と聞き、FBIの特別捜査官も駆けつけてくる。
地元警察が捜査官に状況を説明する。

道路から逸れ雪の積もった林に突っ込んで止まった車。
車から不自然に離れた林の中で見つかった遺体。
致命傷となったであろう額の異様に深い傷。
立木に突き立てられた手斧…。

「うーん、これは飲酒運転によるスリップ事故。この季節多いんだよネ!」

………
………………
……………………………

四年の時を越えて再び始まるサイコキラーサンタの殺人ショー!!
クソの役にも立たない警察!
クソの役にも立たないFBI!
全くフォーカスされない重要人物!
やっぱりちょん切られるチ○ポ!
最後の標的となるトム・ボランド!

果たして、殺人サンタどもの真の目的とは!?

…………
……………………
……………………………………




「クリスマスイブだっていうのに忘れ物だなんて、ついてないな…」
生徒会室へ向かいながら、僕は一人ごちた。下校時刻はとうに過ぎている。守衛室で許可を取らなければならないことも、足取りを重くさせた。
守衛のあの男はどうにも気味が悪い。絡みつくような不気味な視線を感じたことのある生徒も少なくない。しかしルールは守らなければならない。今時珍しいくらいに厳格な校風である。

「こんな所を会長に見られたら、また何を言われるか…」
私立藝菩縷愚(げいぼるぐ)男子高等学校。
文武両道、質実剛健を旨とする歴史ある名門校だ。その生徒会長ともなれば相応の資質が求められる。
まず生徒会長選に立候補できるのは学校側がこれと認めた成績優秀者のみ。そんな上澄み数%の候補者たちが選挙戦を戦う。
加えて、多くの生徒らは自らのクラスから擁立した候補を推すこととなるので、結果は常に接戦。どう転ぶか分からない熾烈な戦いも、藝校生徒会長選の常であった。

そんな中にあって。
現生徒会長、壱威張崇(いちいばるたかし)は、圧倒的支持率でもって名誉ある藝菩縷愚高校第81代生徒会長に当選した。
学業の優秀さは言うに及ばず、スポーツも万能で所属するテニス部では個人、団体ともに全国制覇を達成。何よりも、眉目秀麗なその容姿が、生徒らの心を捉えて離さなかった。
完璧。
その二文字がこれほど相応しい男はそうはいないだろう。

だがしかし。
だからこそ。

彼は自分にも、そして他人にもとても厳しかった。校則の厳守はもちろんのこと、伝統ある藝校生徒として恥ずかしくない振る舞いを求めた。
その厳しさは、なぜか会長の指名で生徒会役員の末席に加えられた僕にも等しく求められる。正直なところ、会長の厳格さは僕には疎ましかった。僕は完璧でありたいとは思わない。
「忘れ物をするなんて気が抜けている証拠だ!気の緩みは堕落に繋がる!」
そんな言葉で叱責する会長の姿が目に浮かぶようで、思わず苦笑いがこぼれる。この時間であれば学校には会長どころか一人の生徒もいないはずだ。僕の心配は杞憂に終わる…はずだった。

薄暗い校舎の階段を上り、廊下を抜け、最上階最奥にある生徒会室。
誰もいないはずのその中から、人の気配がした。
僕は息を殺し、気配の主に悟られないようそっとドアノブに手をかけてみた。鍵は開いている。僅かな隙間から室内を覗き込む。
そこには、驚くべき光景が広がっていた。

整然と並べられた生徒会執行部員らのデスク、その中の一席に、うずくまるようにして座る人影が見える。
デスクの上のネームプレートには「書記・権俵豪造(ごんだわらごうぞう)」の文字が見える。僕の名前だ。
室内は足元の非常灯と窓から差し込む月明かりだけで、人影の表情までは判然としないが、そのシルエットには見覚えがあった。

会長だ。

肩で息を継ぎながら、時おりピクンと小さく痙攣している。
衣擦れと共に、何かを擦るような音も聞こえてくる。
そして何より

「ん…くっ…はぁ…はぁ…」

噛み殺すように聞こえるその声は紛れもなく吐息。
そう、夜の生徒会室であの会長が、自らを愛撫しているのだ。
しかもよりにもよって、なぜか僕の席で。
僕はポケットからスマホを取り出すと、暗視モードをオンにした。

会長の影は右手をシャツの下から胸のあたりに滑り込ませた。左手は変わらず陰部に。
ほどなくしてその甘い吐息は、いよいよもって誤魔化しようもないほどに激しさを増していく。
もどかしそうにブレザーの上着とカッターシャツを脱ぎ捨てる。
会長の肢体が露になった。

「美しい」

そう思ってしまった自分に少し驚いた。
しかし、月明かりに照らされた会長の裸体は、途方もなく美しかった。
スポーツマンらしく引き締まったしなやかな肉体。自らを律し完璧であるために磨き上げた全てのものが、美しさとして表出しているようだ。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

息が荒い。涯てが近いことが分かる。

「あ…あぁ…、権俵…権俵ぁ…!」

カシャッ

ほとんど衝動的に、僕はスマホのシャッターを切っていた。
瞬間、会長の手が止まる。
「だ、誰だ!?」
先程床に脱ぎ散らかした上着を手繰り寄せながら叫ぶ。今にも斬りかかって来そうなほどに鋭い眼差しだ。
僕は生徒会室のドアを開き、差し込む月明かりの中にゆっくりと歩を進めた。
会長の表情がみるみる強張っていくのがはっきりと見て取れる。鉄面皮とばかり思っていたけど今は感情が如実に現れている。

「権…俵…?どうしてお前がここに!?」

間近で見る会長の素肌はより一層美しく見えた。月明かりのベールを纏い神秘的でさえある。それでいてこの艶かしさはどうだ!胸の前で握りしめた上着を剥ぎ取り、冷たい床に押し倒してしまいたい、そんな狂った衝動に襲われる。

「下校時刻は過ぎているはずだ!校内に居てはいけない規則だぞ!」

この期に及んでなお正しくあろうとする会長の姿が妙におかしかった。
つい一瞬前まであれほど激しく乱れておきながら。
今なお上着一枚剥ぎ取れば局部まで露になっていながら。
その姿は、滑稽を通り越していっそ愛おしくさえあった。

「僕は忘れ物を取りに戻っただけです。きちんと正規の手続きを踏んでね。会長こそちゃんと許可は取ったんですか?あの守衛さんに使用目的を告げて」

いつもであれば会長に反論など許されない。よしんば反論を試みたとしても、一分の隙もない正論でもって完膚なきまでに説き伏せられる。それが壱威張崇という男だ。
ところが今はどうだろう。こんな僕の指摘に一言さえ返すことも叶わず、無言で睨み付けるのが精々だ。怒りの感情を必死に演出しているが、その瞳は打ち捨てられた仔猫のように所在なさげで、触れれば折れそうなほど儚げだった。
僕の胸中には、最早否定しようもないほの暗い感情が渦巻いている。

「規則、ですか。会長が規則に厳しいことは知っていますよ。特に服装の乱れにはうるさいこともね。いつもはボタン一つ外れていただけで怒るのに、今の会長のお姿はどうです?僕がスマホで撮影した映像、ご覧になります?」

「くっ…何が望みだ!?」

気丈に振る舞う会長だが、その顔は恥辱に歪み、瞳は今にも泣き出しそうなほどに潤んでいる。
そして何より、必死に隠そうとしている会長の男性自身は、哀れなほどに怒張し治まる気配もない。

「ねぇ会長?僕にとってはこんな狭い世界でしか通用しない正しさなんてどうでもいいんですよ。それよりも教えて下さい。僕は会長と違ってバカだから分からないんですよ。こんな時間に、こんな場所で、そんな格好で、一体何をなさっていたんです?僕の机で!僕の名前を呼びながら!」

自分でも驚くほどに饒舌だった。会長の淫靡な美しさがそうさせる。
会長にはもう、怒りを演出する余裕もない。息は荒く、頬は上気し、まるで懇願するように僕を見上げている。
もうどうにかなってしまいそうだ!
もっと欲しい!もっとその目が欲しい!
気付けば僕の身体も芯から火照っている。冬の空気も僕らには熱すぎた。

無言を貫く会長に、僕はさらに畳み掛ける。

「教えてくれないんですか?じゃあ仕方ないなぁ。この映像を学校の皆にも見てもらって、何をしているのか教えてもらいましょう」

「なっ…!?脅迫するつもりか!?権俵…お前がそんな卑劣な奴だったなんて…!?」

乱れ叫ぶ会長を制止して、僕は膝を折り会長と目線を合わせる。汗をかいているからだろうか?会長の匂いが鼻腔をくすぐる。
僕は会長の耳元に顔を近付けると、わざとらしく小声で囁いた。

「嘘ですよ。こんな素敵な会長の姿、他の誰にも見せるもんか…!」

「え?…あ、あ…うああぁぁぁ!!見るな!み、見るなぁぁぁぁぁ!!!」

あぁ、この世にこれほどの愉悦があるだろうか?
あの会長が、僕のたったこれっぽっちの言の葉で果ててしまったのだ。僕はまだ指一本だって触れていないというのに!

「とんだホワイトクリスマスですね、会長。どうするんですか?僕の席をそんなに汚して」

「だって…権俵が急にあんなこと言うから…。いつもは汚さないように気を付けていたのに…」

会長の顔は最早、涙と汗と涎とでぐちゃぐちゃだ。いつもの凛とした澄まし顔は見る影もない。嗚咽しながら、しかしその表情からは被虐の喜びが迸っている。
そんな顔を見せるのは僕だけで十分だ。

「いつもこんなことしてたんですか?いけない会長ですね。…お仕置きです」

僕は会長の濡れた唇をそっと奪った。
そして…。

~エンディング~

シャンシャンシャンシャンシャンシャンシャンシャン

街中が今夜だけのために
何もかも変わろうとする夜
ほんの一月前の別れも
昔のことと許される夜
幸せにならなきゃならないように
人は必ず創られてると
あの日あなたに聞いたのに
メリークリスマス
メリークリスマス
恋人たちだけのために
メリークリスマス
メリークリスマス
全てのドアが出迎える
メリークリスマス
メリークリスマス
一人ならどこへ歩こう
メリークリスマス
メリークリスマス
白い息が行方に迷う


…でも、この時僕たちは愛し合うことに夢中で気付かなかったんだ。
中庭を挟んだ生徒会室の向かい、守衛室の窓から光る赤いRECランプに…。



あちゃー、いっけねー。
他のサイトに投稿しようと思ってたBL小説を間違えてアップしちゃったよー。
ボクってば誠にドジっ子ヒロイン(棒)

でもまぁ、ここは一つ、僕から皆さんへのちょっと小粋なクリスマスプレゼントということで…。

え?映画はどうだったって?

普通に面白くなかったですけど?

いやほんと、「自分、『サンタキラーズ』に出会って人生救われたっス…」みたいな熱い思い入れの方がいらっしゃったら申し訳ないが、これほどシンプルに面白くない映画は久しぶりに見たって感じぃ?
もちろんこれまでも、控え目に言ってウンコとしか言い様のないどうしようもない作品にも果敢にトライしてきた俺だが、例えば余りのクソっぷりに怒りが込み上げるレベルというわけでもなく、余りのぶっ飛びっぷりに指を指して笑うようなものでもなく。
何の感情も沸いてこない素直100%の面白くなさ、それが本作の感想だ。

余りにもコメントしようがなくて、思わず全く畑違いのBL小説を書き始めてしまったと言えば、なんとなく察して頂けるだろうか?

ご覧の通り本作は、サイコカップルが田舎街を舞台に殺人劇を繰り広げるという王道ストーリーに、サンタコスのオバサンが不敵に鎮座するキャッチーなジャケットと、一見するとどう料理しても美味しくなりそうな設定に見える。
ところが実際はと言えば、市販のカレーを激マズに仕上げるラブコメのドジっ子ヒロインばりに、見事なまでの下手くそさを披露している。

まずもって本作の肝心要、サイコサンタカップルのキャラクター設定が、実にどっち付かずで要領を得ない。
ジェイソンやマイケル・マイヤーズのような、最早人の域を越えたモンスターとして描きたいのか。
ジョーカーやレクター博士のような、知的な社会派犯罪者のように描きたいのか。

本作のサンタカップルは、周りからはなぜか「頭が切れる」と評価されているが、あのビジュアルで頭がいいとか言われてもちょっと得心しかねる。

確かに途中までは、ターゲットの銃から予め弾を抜いておいたり、愛用のグラスに毒を塗っておいたりと、用意周到さも見せてはいた。
↑いっぺん言ってみたい台詞。

そうかと思えばFBIの護送車を襲って手斧一本で無双してみたり、当たり前のように警備員を皆殺しにして大企業の役員会に乱入してみたりと、ステイサムもかくやというレベルの異常な戦闘力の高さを発揮。
うんと間違ったギャップ萌えとでも言うべき場当たり的キャラクター造形にたじろいでしまうことだろう。

ただ、ピンヒールでハイキックを決める女サンタさんの勇姿は、一枚画としてはちょっと良かった。

↑「ご褒美です」みたいな安らかな死に顔。

そんなどっち付かずなサンタさんに相応しく、ストーリー展開や作品の雰囲気も、押さえるべきポイントを全て外してくるようなバランスの悪さを見せている。

驚くべきことに本作は、まさかのサスペンス気取りだ。
物語は主に、先述のサンタご夫妻と彼らを追うFBIの特別捜査官の視点で進んでいく。
完全にクライムサスペンスのノリだ。
お陰様でそれなりのどんでん返し的展開も用意されているのだが、そこに至るまでの演出があまりにもまず過ぎるため、どんでん返しを見せられてもキョトンとしてしまう。

具体的にはこうだ。

サンタカップルの主犯格であるニコラスは当初、かつて精神病院にぶちこまれたために引き離された娘ジェニファーと元嫁を取り戻すために、彼女らに近しい人物を狙って殺していると思われていた。
まずこの娘ジェニファーが、かなりの重要人物であるにも関わらず驚くほどフォーカスされない。

なので、「ジェニファーと無関係な人間が殺された!?一体なぜだ!?」みたいな感じでザワつかれても、見る側としては「狙いはジェニファー」という前提条件が整っておらず、「さぁ?」という感想しか抱けないのだった。

ついでに言うと、ジェニファーの親友としてクライマックスで活躍を見せるコートニーも同様だ。
冒頭ではまるで主人公のような顔をして登場しながら、FBIの捜査がメインストーリーになるとフェードアウト。どこで何をしていたのかも良く分からない有り様だ。
クライマックスでは彼女が、「私たちの友情を甘く見たわね!」などと本作一のドヤ顔を決めるのだが、その頃の俺はと言えば「コートニー?あぁ、コートでオ○ニーするこね!という認識になっていたのだった。

で、結局のところ、このサンタニコラスさん、自分がかつて収容され虐待を受けていた精神病院を経営していた会社の役員名簿から、「良い子」「悪い子」をリストアップし、リストに基づいて「悪い子」を殺していたことが分かる。(唐突なネタバレ)

そう、まさかの世直しサンタさんだ。
最終的には経営会社の役員会に乗り込み、リストを一気に埋めていくのだが、唯一その場にいた「良い子」のメガネOLさんだけは殺さず、「あいつよりいいCEOになれよ!」と言って颯爽と去っていく。
「絶対甲子園行けよな!」みたいなノリで!
↑曲がったことが大嫌い、メガネOLさん。

↑「絶対だぜ!へへ」

この、精神異常者設定をド忘れしたような筋の通し方も、作品の世界観をチグハグにしている。

ちぐはぐはぐちぐはぐはぐハグして
そしたら解り合えるのさ~

ごめん、何でもない…。

さて、それでは皆さんお待たせしました!
ここからは本作の実質的主人公とでも言うべき、FBI特別捜査官さんと愉快な仲間たちの奇跡のような無能さについて解説していきますよ!
↑「この私が無能ですって!?」

冒頭からいきなり、現場検証のげの字も知らないような無能さを発揮する地元警察を鼻で笑ったのも序ノ口譲治。
ブルゾンちえみばりのキャリアウーマン然とした出で立ちで颯爽登場したFBIの美人捜査官さん。
「捜査官じゃない。“特別”捜査官だ。二度と間違えるなデコスケと言わんばかりに特別アピールに余念のない特別捜査官さん。
早速サンタご夫妻の陽動作戦にまんまとハマってターゲットを殺されるものの、女サンタさんを拘束することに成功する。

部下の(特別じゃない)捜査官には「アンタは女の扱いに慣れてないから引っ込んでなさい」とばかりに、単身女サンタの取り調べに赴く特別捜査官さん。
女同士の高度な心理戦が展開される緊迫したシーンだ!
有能な特別捜査官さんの作戦はこうだ。

煽り倒す。


「セックスした相手に他の女を取り戻す手伝いをさせるなんて…あなたを愛してないんじゃない?」

案の定そんな俗な煽りが通用する相手ではなく、「これ以上何も引き出せそうにないわね!」などと、何かをやり遂げたような顔をして戻ってくるのだった。

その後も、サンタニコラスさんの殺人を一件たりとも防げずに迎えたクライマックス。
銃を構えたジェニファーが遂に父親であるサンタニコラスさんと対峙する一触即発の現場に割って入る特別さん。

ここから、まぁまぁ長尺で繰り広げられる撃てだの撃つなだののコラコラ問答の鬱陶しさもなかなかだが、因縁に決着を着けるためにもう父親を撃つ気満々のジェニファーに対して、「撃ったら一生刑務所に入れてやる!」などと言いながらヒートアップ。
↑いや、何でやねん…。

挙げ句、まさかのジェニファーを射殺するに至っては(唐突なネタバレ)、無能を通り越して害悪でさえある。
これにはさしもの俺も、作中の女サンタさんのように「バカなの?死ぬの?」と真顔になるしかなかった。
↑完全に同意。

もちろん無能さで言えば、特別さんの愉快な仲間たちも負けてはいない。
特別さんの相棒である(特別じゃない)ジマーマン捜査官さんも、拘束した女サンタへ尋問を試みるが、「アタイ、今朝カミソリを飲んだからもうすぐ死ぬわ」と言われて「そいつぁ大変だ!」と、迅速に救急車を手配。

↑やっぱり女の扱いに慣れてないから…

結果、搬送中の救急車がサンタニコラスさんに襲われ、女サンタさんを奪還されてしまうのだった。

他にも、一般人に紛れて潜入しているのにあからさまに通信時に耳を触る名もなき捜査官さんや、手斧をプラプラさせながら進路妨害するサンタさんに無警戒のまま全滅させられるFBIのその他大勢など、無能の欲張り詰め合わせセットで胸焼けがしてしまうことだろう。

これでまだ、景気のいい虐殺シーンの描写に全振りでもしていれば、その一点突破スピリッツを称賛もできていたが、なんせ本作は高度な心理戦を展開するサスペンス気取りですからね!
残酷シーンの直接描写は意外なほどに少なく、都合二回ほど訪れるサンタさんによるスーパー虐殺タイムも、基本的には「わー」とか「きゃー」とかの悲鳴のみでお送りし、ようやく現場が映ったかと思ったら既に事後という始末だ。
もちろん、あえての見せない演出が奏功する作品も多くあるが、そりゃ作品によりますよと。
例えばゴリゴリのエロビデオで絡みシーンをぶっ飛ばして事後だけ映されても困るでしょうが!?

そんなわけで、面白そうな見てくれに反してストレートに面白くないという残念な結果となった本作。
俺が思わずBL小説に逃避してしまった気持ちも十分に理解して頂けたことだろう。



チャーチャーチャチャーチャーン♪

道ならぬ道を歩み始めた崇と豪造。
しかしそんな二人の前に、用務員龍宮寺魔悪(りゅうぐうじまあく)の罠が迫る!
果たして二人の運命は!?

次回『藝菩縷愚白濁物語』第2話、「絡み付く視線」!

聖なる夜に白子の嵐!

(台詞)「会長を泣かせていいのは…僕だけだ…!」



それでは皆様、メリークリスマス!!