かなわなければ

このこいは

えいえんにさめる

こともないの


なにもしらない

めをとじて

かわいいままで

ほしにねがった


おもいどおりにならない

せかいならもういらない

ほしいのはひとつだけ

臀部臀部臀部臀部



もう~、撫子ちゃんのエッチ!



どうも、キャンです。


後悔の多い人生を歩いてきました。


「よく分かるよ」


俺のことを深く理解して頂いて光栄だが、思い返してみれば俺の人生は間違ってばかりいたような気がする。


例えばこうだ。

先日、お盆休みを利用して、何年かぶりに実家に帰省した。

うちの実家は正真正銘のド田舎で、不必要に自然豊かなため、年老いた両親では追い付かないくらい草ボーボー。墓参りにも行けない有り様だった。

「どれ、いっちょ」と刈り払い機を持ち出し、汗だくになりながら辺りの雑草を颯爽と刈り払ったまでは良かった。

…そう、雑草を颯爽と刈り払ったのですよ。

こんなことするのは久しぶり過ぎて忘れてたが、僕のお肌は草やら葉っぱやらの汁にめっぽう弱く、要するに右手がきっちりかぶれて水ぶくれまでできてしまったのだが、これもまぁ名誉の負傷扱いでヨシとしましょう。


…数日後、なぜかチンチンにもかぶれが移ってましてねぇ…。


ご存知ない方のために説明しておくと、グジュグジュ患部から出るお汁によってかぶれが広がることがあるんですよ。

つまりこう…右手で執拗におちんちんを構ったということが推察されるわけですね…。


いや、ほら、オシッコする時にも触るから多少はね?


まぁそんなアホな後悔は置いといて、特にいくつかの進路選択においては、常に間違った方を選んできたような気がするが、運とノリだけでなんとかここまで生きてきた。


そう言えば高校の頃、面倒なことは全て「まぁいっか!」で済ませがちだった俺に対し、担任の固太りの薄らハゲから、「まぁいっかで何とかなっているのはお前に悪意を持って近付く人間がたまたま居なかったからだ」と、将来へのありがたい注意喚起を頂いたことがあった。

未だにことあるごとに「まいっか」のEAST END×YURIスタイルが抜けない俺だが、「つまり俺の人生には悪意を持って近付く人間はいなかったんやなぁ!」と、間違ったプラス思考でお茶を濁している。


お陰様で、俗に「不惑」などと呼ばれる40を迎えた今でも間違いだらけで、後悔ばかりが増えていく。

それはこのブログにおいても同じだ。

どういうことかと言いますとこう…、昔の記事を書き直してぇ!


特にブログを始めてから最初期に取り上げた作品というのは、『死霊のはらわた』や『エクスペンダブルズ』のような、俺の人生においてビッグなポジションを占める名作が多く、改めて読み返してみると、「そんなレビューじゃ俺の熱い想いの3%も伝わらねぇよ!」とシャウトしたくなるようなものばかりだ。


とは言え、過去にレビューした作品を知らん顔してもう一度レビューするのは俺の主義に反する上、ズバリめんどくせぇ!

仕方がないので過去の後悔記事(公開と後悔をかけてます)はそのまま放置するとして、実は他にも、取り返せる後悔もある。


そう、俺が今最も後悔していることは、『ワイルド・スピード』の一作目から四作目のレビューをすっ飛ばしてしまったことだ!


思えばワイスピシリーズを見始めたきっかけは、ステイサムとロック様の『スーパーコンボ』を見たいがためで、一本の記事としてきちんと書き上げたのはロック様が参戦する『MEGA MAX』からだった。

しかしワイスピシリーズが魂の一本となってしまった今となっては、初期シリーズを飛ばしてしまったことを激しく後悔している次第。

特に先だってレビューした『ジェットブレイク』は、初期作品をかなりガッツリフィーチャーしており、最早いても立ってもおられず一作目から見直すことを決心したというわけだ。


とは言えこれだけのビッグネームになってしまったシリーズの一作目を、今さらドヤ顔で紹介するのはチンチンがかぶれる以上に恥ずかしいので、ここではあたかも、ワイスピを初めて見たという体でレビューしていきたいと思います。


といったところで、本日ご紹介する作品はこちら。

『ワイルド・スピード』

揉め事の白黒はレースで決めろ!
ゼロヨンに生きる若者たちの熱き戦い!
後悔なんてニトロを吹かしてぶっちぎれ!

それではストーリー!

ハ~イ!わたしミア、ミア・トレット!

お兄ちゃんと二人で、町のお洒落な喫茶店、「トレットズカフェ」を開いてるの!
え?どんなお兄ちゃんかって?
それはまた後でネ!
↑これがわたしたちのお店、トレットズカフェよ。

最近わたしたちのカフェに毎日のように通ってくる人がいるの。
吸い込まれそうな瞳と優しい笑顔が印象的な素敵な彼…。
この町の他の男の子とは、全然違う感じがする。
名前はなんて言うのかしら?
彼は毎日、わたしの作ったまっずいツナサンドを美味しいと言って食べてくれるわ。
あ!噂をしてたらほら、今日も彼がやって来た!
なんだか恋のヨ・カ・ン!
↑…このナイスガイは誰やろなぁ!?(感涙)

といった感じで、まるでお洒落な恋愛映画のように、一人の男がトレットズカフェを訪れるところから物語りは始まる。
と、そこへ今度は、地元の大変に行儀のいい常連たちが来店。
中でも一際行儀のよろしいヒゲ面のヴィンスは、看板娘のミアに惚れていることもあって、このよそ者のイケメンがまぁ気に食わない!
↑地元のいじめっ子ポジションのヴィンス。

早速よそ者のイケメンにウザ絡みして悪態をつきまくり、嫌ないじめっ子っぷりを存分に発揮するヴィンスだが、でも本当は根はいいヤツじゃないかなって思うんだよ俺は!(唐突なフォロー)

しかしそこはイケメン喧嘩せずと言いますか、ヴィンスのウザ絡みをガン無視して颯爽と去っていくポール・ウォ…もとい名もなきイケメン。
この態度にはヴィンスもキレましてねぇ…。
ついつい手が出ちゃったもんだからあっという間に乱闘に発展してしまい、看板娘のミアもおお弱りだ。

「ちょっと男子、やめなよ!やめなってば!もう…お兄ちゃ~ん!


!?


!!!?

…だ、誰だこの最高に頼りになりそうな袖無しのハゲマッチョは!?

彼の名はドミニク・トレット、通称ドム!
ミアの兄であり、この辺りのヤンチャな若者をまとめ上げる顔役的存在だ!
早速ドムは揉み合っている二人の間に割って入ると、ヴィンスを怒鳴り付けて黙らせ、よそ者のイケメン―ブライアン・スピルナーには問答無用の出禁を言い渡し、その場を収めるのだった。

ドムが地元のヤンチャな若者たちから尊敬を集めるのには、理由があった。
この町では夜な夜な、ヤンチャな若者たちによって、公道を不法占拠してのストリートレースが行われていた。
そのストリートレースでドムは圧倒的強さを誇るまさにカリスマ!
若者たちは皆ドムの真似をして車を買うので、車屋さんもドムには頭が上がらないのだった。
↑これはカリスマの佇まい!

そんなこんなで今夜も開催されるストリートを舞台にしたドラッグレース。
しかし今夜は、絶対王者ドムに挑戦状を叩き付ける男が現れた!
そう、出禁を言い渡されたブライアン・スピルナーだ。
金はないがゴリゴリにチューンナップされたスーパーカーの所有権を賭け、勝てば賭け金に加え自身への敬意を要求する熱いブライアン。

多くの観客が舐め切った態度をとる中、かなり善戦するもあと一歩のところで敗北を喫してしまうブライアン。
しかし、名勝負の余韻に浸る暇もなく、パトカーが駆け付けてしまったためにレースは急遽お開き、皆散り散りに逃げ出すのだった。

そんな中、一人執拗に追われるドムを助けたのは、他でもないブライアン!
ドムもドン引きするくらいのヤンチャな運転で、見事に警察の追跡を振り切る。
これで一安心かと思いきや、そうは問屋が卸さない。
ブライアンの運転する車は突然、謎のバイカー集団に取り囲まれてしまう。
彼らはチャイニーズチンピーラで、ドムとは若干の因縁があった。
警察に追われ逃げるうちに、チャイニーズチンピーラの縄張りに入ってしまったらしい。
とりあえずその場は、ブライアンのスーパーカーが蜂の巣にされる程度に穏便に収まったものの、お陰様で二人は徒歩での帰宅を余儀なくされるのだった。
↑チャイニーズチンピーラのリーダー、チン・ピーラ(嘘)

そんなこんなで、夜も更けた頃にようやく帰りついたドムは、危ないところを助けてくれたブライアンを我が家へと招き入れる。
果たしてそこでは、さっきまでレース会場にいたドムの悪友たちがどうかと思うほど自堕落な感じでくつろいでいた!
これにはさすがのドムさんもイライラを隠せず、「なんでそんな奴を招き入れるんだよ!」と相変わらず突っかかってくるヒゲ面ヴィンスにも、「こいつはたった一人危ないところを助けに戻ったんだよ!お前らと違って!」と当て付けのように言い放ち、ビールを振る舞うのだった。

こうして無事にドムにも気に入られ、ブライアンと、そしてブライアンのことが気になるミアも一安心。
これからワクワクドキドキの青春キラキラライフが始まるはずと期待に胸膨らませたのも束の間。
ブライアンが一人でいるところを突然、警察に連行されてしまったのだ!
まぁ、これまでの言動を見るに、前科持ちでも何も不思議じゃないからなぁ…と思いきや、警察のアジトに着くなり手錠を外されるブライアン。
一体彼は何者なのか?

もうめんどくさいので真相はこうだ。
彼の本当の名はブライアン・スピルナーではなくブライアン・オコナー。
おとり捜査を行っている警官だ。
実は最近この辺りでは、トラックの積み荷を狙った強盗事件が相次いでいる。
積み荷は主にパナソニックのDVDデッキ!
強盗団は複数台の車で現れ、走行中のトラックごと奪っていく。
被害に遭ったトラック運転手の証言や現場のタイヤ跡から推察するに、犯人は運転のプロ…ストリートレーサーである可能性が高い。

ブライアンの見立てでは、頭の切れるドムがトラック強盗なんていう危ない橋を渡るとは思えないが、ストリートレースの顔役である以上何かを知っているに違いないと当たりをつけ、おとり捜査を試みていたのだ。
共同で捜査にあたるFBIのデブの偉そうな態度が気に食わないながら、チャイニーズチンピーラに蜂の巣にされた車の代わりを手配してもらうブライアン。
↑(イラッ)

とまあ裏ではそんなことがありつつも、「こいつをドムくんにプレゼントフォーユー!」とばかりに、ブライアンが満面の笑みで持ってきた車は、もうどっからどう見てもスクラップだった。
↑いい笑顔だが車はゴミだ!

素人目には廃車同然のボロ車にしか見えなかったが、なんか知らんがすげぇエンジンを積んでいるらしく、ドムと愉快な仲間たちは興奮しきりで、もう修理して走らせる気満々だ!
↑あー、2JZエンジンね…分かる分かる。

そんなこんなでしばらくは、このスーパーエンジンオンボロカーの修理に精を出しつつ、ドミニクファミリーとホームパーティーをエンジョイしたり、ドムの昔語りに付き合ったり、ミアとベッドで突き合ったりしながら、ブライアンは順調に彼らとの仲を深めていく。
しかしそうこうしている間にも、再びトラック強盗が発生してしまう。
いつになってもホシを上げられないことに捜査チームにも焦りが募り、何よりやられっ放しのトラック野郎たちが返り討ちにする気満々で武装して殺気だっており、一刻の猶予も許さない状況だ。

業を煮やした捜査チームは、容疑者の一人である例のチン・ピーラの家に強行突入&強制連行を敢行!
パナソニックのDVDデッキを持っていたというだけの理由で!

案の定取り調べの結果チン・ピーラは無実で、DVDデッキも普通に買ったものだった。
ブライアンはもう少し時間をくれっつってたのに、完全に捜査チームの勇み足なわけだが、とんだ失態にFBIの嫌味なデブもご機嫌斜めで、「役に立たねぇおとりだなぁ!」などと言い放ち、チームはかなり険悪な雰囲気だ。
↑こいつムカつくー

↑おぅ、言ってやれ言ってやれ!

そんな状況の中、タイミングがいいのか悪いのかこの度、砂漠を舞台としたビッグなドラッグレース大会、その名も「レース・ウォー」が開催される。
例のオンボロカーも無事に立派なスープラに仕上がり、ブライアンも参加者の一員としてドミニクファミリーに同行する。
ドムと一緒にグラサンなどお召しになりバッチリ決め、たまたま信号待ちで並んだ高級車にナチュラルにストリートレースをふっかけるなど、「もう潜入捜査のことは忘れちゃったのかな?」と言いたくなるようなナチュラルボーンストリートレーサーっぷりを発揮するブライアンだが、捜査のことも忘れてはいなかった!
↑馴染みすぎぃ!

ドムと二人でランチをつつきながら、「マジ貧乏つれぇわ~。あーあ、裏の稼ぎでもあったらなぁ!などと雑な三味線を弾きつつ、かなり強引にドムを問い質すブライアン。

この時は「とりあえずレースだ」とはぐらかされるが、何やら含みを持たせた言い方だ。
ブライアンは信じたくなかったが、どうやらドミニクファミリーが一連のトラック強盗団で間違いないようだ…。

様々な思惑が入り交じる中、遂に開幕したレース・ウォー!
同じくレースに参加していた例のチン・ピーラをドムがどうかと思うほどにボコボコにしたりしたけれど、まぁオールオッケー!
こうして一日目のレースは無事に終えたレース・ウォー。
しかしその夜、ドミニクたちは揃ってどこかへ消えて行った。
しかもその直前、ミアと口論しており、不穏な雰囲気だ。

レース・ウォーの最中に、またぞろ「仕事」をしに行ったに違いない。
だが警察もドミニクファミリーに目を付けている。
何よりトラック野郎は武装している!
ドムたちが危ない!

彼らがどこへ向かったのか問い詰めても答えてくれないミアに、意を決したブライアンは遂に自分の正体を明らかにする!


…いよいよ佳境を迎える危険な潜入捜査!
ドミニクファミリー一世一代の大仕事!
たった一人でドミニクファミリーをガンガン追い込む名も無きトラック野郎!
目と目で語り合う男同士の熱い葛藤!
可愛すぎるヴィンス!
走れ!あの踏み切りまで!

果たして、明日なき暴走の果てに彼らが手にしたものとは!?




…いや、初めて見た体でとかもう胸がいっぱい過ぎて無理です…。

え?感想はって?
最高以外にあるとでも?

さて、先日取り上げた『ジェットブレイク』のドムばりに、過去の過ちを力ずくで正すべく今さらながらの紹介となった本作。
最近のシリーズとはずいぶんと毛色の違う作風ではあるものの、例えば、『ロッキー』や『ランボー』、『ターミネーター』といった人気シリーズの一作目がいつになっても色褪せないように、本作もまた、伝説の幕開けを飾るのに相応しい名作であると、改めて感じた次第だ。

ストーリー的には昨今のシリーズと違って、巨悪を倒して世界を救うわけでもないし、当たり前のように車が空を飛んだり、車で戦車やら潜水艦やら人工衛星やらと戦うといった、車の用法用量をド忘れした無茶な展開もない。
カーアクションもシンプルにゼロヨンを駆け抜けるストリートレースがメイン、ストーリーも潜入捜査もののクライムアクション、ドミニクファミリーに至ってはやっていることはただのDVD泥棒だ。
そういった意味では、スケール感は大きくなく、非常に地に足の着いた作品と言える。

だがしかし!
いやだからこそ!
純粋に熱くなれる名シーン名演出がギラギラと光っている!

潜入捜査官と犯人の友情という魅力的なプロット、現実の社会問題にもなっていたストリートレーサーたちにスポットを当てるテーマ、異次元のスピード感を表現する独特の映像演出など、一本のカーアクション映画として見ても非常に完成度の高い本作。
しかし、やはり欠かせないのは、俺たちが愛した各キャラクターたちの存在だ。
これまでシリーズ作品を追ってきたからこそ、改めて感じるものもある。

ぶっちゃけもう、若かりし頃のヴィン・ディーゼルと在りし日のポール・ウォーカーが画面に映るだけで思わず目を細めてしまうのだが、若いぶん誰も彼もが尖りに尖りまくっているのが印象的だ。

割りとパブリックイメージに近い形のヴィン・ディーゼルも、周りからはキレたら何をするか分からない瞬間湯沸し器扱いで、実際作中でも、本当は無実のチン・ピーラを半死半生にしていた!
潜入捜査官という立場があるはずのポール・ウォーカーも、売られたケンカは当たり前のように買うし、なんとなれば自分から吹っ掛ける始末だ。
その他のファミリーの面々に至ってはもう、清々しいまでの無軌道な若者っぷりで、もしも近所にいたら目も合わせないことだろう。

中でも女性陣の尖りっぷりは必見だ。
今でこそブライアンの良妻としてファミリーの良心のようなポジションのミアことジョーダナ・ブリュースター。
しかし本作ではハードなヘソ出しファッションに身を包み、挑発的な上目遣いを披露!
改めて、若いっていいな!とオッサン目線になってしまう。
↑こりゃブライアンも惚れてしまうわ!

また、その後のシリーズでもドムのパートナーとして活躍を続けるファミリーの姉御、レティことミシェル・ロドリゲスも尖りまくっている。
最近のシリーズでもその腕っぷしと鼻っ柱の強さは健在だが、本作での立ち居振舞いはもう完全にヤンキー女子!
ドムに近付くメス犬どもは即座に追い払い「アタイの男」アピールに余念のないその姿は、かなり新鮮でありつつもそれはそれで素敵やなって!
↑ザ・ヤンキー女子なミシェル・ロドリゲス。

↑金髪ビッチを侍らすヴィン・ディーゼル。

↑ヒエッ…。

この女性陣のキャラクター造形に関連して言うと、昨今のシリーズでは社会情勢やらお子様連れに配慮してか、大量に流血するような過激な描写や、過剰なお色気シーンといったものはほぼ皆無。
しかし本作ではまだ、下品なサービスシーンやちょっとした濡れ場が健在なのも嬉しい限りだ。
っていうか、ストリートレースに生きる無軌道な若者たちがお上品なわけないやろがい!という話である。

ドラッグレースの会場では必ずと言っていいほど下品でエロいねーちゃんが下品でエロいオープニングアクトで場を盛り上げ、レティとミアも短いながらちょっとした絡みも披露する。
↑やっぱレースはこうでなくちゃ!

↑なんてセクシーなんだ…(ヴィン・ディーゼルが)

こういった文化は是非とも守っていって欲しいものですな!

また、これまでのシリーズを追ってきたからこそ、最初に見た時には気付かなかったキャラクターの魅力に気付くこともできた。
その最たる例がヴィンスだ。

ファミリーの問題児として度々トラブルを起こし、主人公であるポール・ウォーカーにどうかと思うほどウザ絡みを繰り返すという、完璧にヒールポジションのヴィンス。

だが我々は知っている!
ヴィンスは誰よりもドムのことが大好きな熱いブラザースピリッツの持ち主であることを!
それはもう、いずれ生まれる我が子に「ドミニク」と名付けるほどに!

そう思ってみると本作のヴィンスは、なんだかんだ言って可愛いやつだし、ドムとの関係性もなんだか尊い。

例えばこうだ。
警察に追われるドムを助けたブライアンが、ドムの家に招かれるシーンだ。
相変わらずブライアンのことが気に食わないヴィンスは、完全にご機嫌斜めなドムに食ってかかる。

「なんであんな奴がここにいる?どこの馬の骨とも知れない赤の他人だぞ!ハァン!?

売り言葉に買い言葉で、ドムも激しく応戦。

「お前だって初めて会った時は他人だ!」

辛辣な台詞に対し、ヴィンスの返しはこうだ。

「初めて会ったのは小学校だぜ!?」

これにはさすがのドムもうまい返しが見つからず、黙ってヴィンスにハゲ頭を撫でられるしかなかった!
↑ナデナデ

ドムにこんな態度が取れるのは幼馴染みのヴィンスだけだ!

今でこそファミリーのボスは完全にドム。
暗黙の了解でほんのり上下関係ができている感じだが、ヴィンスとドムのこの、幼馴染みらしいあくまで対等な関係性というのは今となっては新鮮で、そして何より尊いなぁ!と思う次第。

あるいはこうだ。
今では映画のエピローグとしてお馴染みになったドミニクファミリーのホームパーティー。
本作ではエピローグではなくまさかの前半に開催される。
BBQの材料をいそいそと持ち寄るファミリーの面々だが、またまたヴィンスがブライアンの姿を見つけるなり「帰る」と一言。
ドムに「準備を手伝え」と引き留められても、「どうせ人手は足りてるでしょ!?」などと嫌味を言って走り去って行く。
しかし、食前の祈りが終わり、いただきますの段になった頃に、実に気まずそうに戻ってくるヴィンス。

…ちょ、ヴィンス…おま…可愛い過ぎるやろ!!

そんな気まずいヴィンスを、何も言わず笑顔で受け入れるドムとファミリーの面々。
これにはさすがのヴィンスも、ドムのハゲ頭にキスをするしかなかった!
↑どっちにしてもいらわれるドムのハゲ頭。

この、ドムのことが好き過ぎるあまり困らせてしまう憎めないトラブルメーカーっぷりは、言うなれば『エクスペンダブルズ』のドルフ・ラングレンポジション!
ミアのことが好きっぽい感じのヴィンスだが、多分ミアよりドムのことが好きだ!

「君の一番にほんとはなりたかった」

そんな切ないメロディーが聞こえてきそうだ。
そうして見ると物語終盤、トラック野郎の思わぬ反撃を受けてピンチに陥ったヴィンスと、ヴィンスを助けようとするドムの、お互いに必死に手を伸ばす姿はグッとくるものがあるし、考えてみればヴィンスは常に一番危険な役割を買って出ていたと思うと、それほどにドムの助けになりたかったんやなぁ!と目頭が熱くなる思いだ!
ドミニクー!
ヴィンス!

また、改めて一作目を見てみると、後のシリーズ作品、特に前回レビューした『ジェットブレイク』としっかり繋がっていることに気付く。
ドムの過去、父親の事故、思い出のダッジチャージャーなど、思わず「おお!」と声を上げてしまうシーンも多い。
↑お馴染みダッジチャージャー。

また、ドムの妹ミアも、この頃から既に危険な稼業に身を投じる兄を止めようとしており、後にブライアンと共に一線から退くという展開にも説得力が出るようなキャラクター造形だ。

といったことを全て踏まえた上でのポール・ウォーカーとヴィン・ディーゼルですよ。

その後のシリーズにおいて、唯一無二のブラザーとして絆を紡いでいく二人の全ての始まりがここにあり、シリーズ9作目まで追った上で20年の時を遡って見る二人の姿は、言葉に尽くせないほどに感慨深い。

前述の通り、本作でヴィン・ディーゼルが演じる生まれたてのドムは、近年のシリーズに比べてとても人間臭い。
何が人間臭いかと言えばまぁ…フィジカルですね。
今や半分神話の神々レベルに片足を突っ込んだ最強無敵のチートキャラ、ドミニク・トレット。
足踏みでコンクリートの床をぶち抜いたり、鎖を引き千切ったり、鉄の塊である車をトゥルースリーパーとして利用したりと、目を疑うようなフィジカルがすっかり当たり前になっている。

しかし本作のドムは、袖無しハゲマッチョの出で立ちはそのままに、ブライアンの命知らずの運転にビビってみたり、車がちょっときりもみしながら宙を舞ってクラッシュしただけでボロボロになったりと、常識的なフィジカルで逆に戸惑うレベルだ。
↑危険運転にビビるドム。

↑どうしたのドム?調子悪いの?

そもそもの話、ちょっとショットガンで武装しただけの顔も出ないようなトラック運ちゃん一人に、ドミニクファミリーが揃いも揃っていいようにやられる時点で、もう意味不明なのだった。
↑本作のラスボス?名も無き運ちゃん。

しかしそんな人間臭いドムだからこそ、等身大で対等なブライアンとの魂のぶつかり合いがギラギラと光っている!
最初こそ、いきなり出禁を食らわすという最悪の出会いとなった二人が、様々な出来事を経て徐々に距離を縮めていく様子はまさにブロマンスの王道!
特にドムが自らの過去を語るシーンは、ドムがブライアンに心を開いて見せた象徴的な名シーンだ。

「親父と一緒に組み上げた」と言って、ガレージのダッジチャージャーを披露するドム。
そして、レース中の事故で父親が死んだこと、事故を起こした相手を殴って捕まったことを語る。

「親父の車は俺の目の前で爆発した。親父の悲鳴が聞こえた。だが、親父は爆発する前に既に死んでいたらしい。…悲鳴は俺だった…」

「親父を殺した相手選手をレンチで殴った。腕が上がらなくなるまで殴った。そいつは…バスで仕事に通う高校の用務員だった…」

「それからはゼロヨンだけが俺の人生。ゼロヨンを走っているほんの十秒足らずだけ、俺は自由だ」



みなまで語るわけではないが、過去に犯した罪を悔いていること、父親の死が未だに心のしこりとして残っていることがひしひしと伝わり、ここから繋がる『ジェットブレイク』のエピソードにもより深みを感じるのだった。

俺たち皆のブラザー、ポール・ウォーカーも、もう一人の主人公ブライアン・オコナーを熱演!
最早嫉妬する気にもならないイケメンフェイスと、容姿に反する暑苦しさと男気で、見ている我々も思わずミアのようにいそいそと髪型を整えてしまうことだろう。
↑そんな目で見つめられたら…ジュンってしちゃう!

潜入捜査官でありながら犯人サイドとハートが通じ合ってしまうという、まぁありがちと言えばありがちなプロットだ。
ドラマ的には、板挟みになる葛藤や、いざ正体を明かす、あるいは正体がばれた時にどうなるか?といったあたりが盛り上がりポイントだろう。
しかしポール・ウォーカーは、そんちょそこらの潜入捜査官とは一味も二味も違う!
何が一番大切か、何を最優先すべきかを曇りなきまなこで即断即決!
それは、ミアに自身の正体を明かすシーンでも見てとれる。

普通、敵方の女に惚れてしまった場合、あーだこーだと未練たらしく言い訳に終始してしまいそうなものだが、ポール・ウォーカーはこうだ。

「君への気持ちは本当だ。だが今は俺たちのことじゃない

そう、今はドムたちの危機。
急がなければ殺されてしまうかも知れない。
痴話喧嘩をしてる場合じゃない!
「ドムを死なせない!」この一点を最優先事項にして迷いなく行動を起こすポール・ウォーカーの姿はまさに男の中の男!
嘘偽りのない言葉に突き動かされ、ミアとしても兄を救うために協力するのだった。

例えちょっと罵ったとしてもだ!

そんなポール・ウォーカーとヴィン・ディーゼルの、熱い男気がバチバチと火花を散らす、本作随一の名シーンがある。
ブライアンの正体を遂にドムが知ることになる瞬間だ。

シリーズ最強の敵、名も無き運ちゃんから何とかヴィンスを救い出したブライアン。
直ぐ様ドムも追い付き、応急手当を始めるが、ヴィンスは腹を撃たれており一刻を争う状況だ。
ブライアンは迷うことなく警察に電話し、救護ヘリの緊急出動を要請する。
自身の身分と所属を告げて…。

一瞬呆然としたように固まり、ブライアンを見やるドム。


次第にその表情は、怒りとも悲しみともつかないものに変わり、無言でブライアンを睨み付ける。


そんなドムの視線に気付きながらも、必要な情報を救急に伝えながら、懸命に手当てを続けるブライアン。
その横で、ミアが何かを懇願するように兄を見つめる…。


ブライアンが叫ぶ。
「出血がひどい!ショック状態だ!急いでくれ!!」
短い逡巡の後、唇を噛み、それでも応急手当に協力するドム。



…素晴らしい…素晴らしすぎる!

凡百の映画であれば、騙したの騙してないだので台本数ページにも及ぶ台詞の応酬が繰り広げられそうなものだが、本作ではまさかの無言!
ヴィン・ディーゼルの感情が迸るような表情の変化だけで、全てを物語っている!
時間にすればほんの十秒かそこらの、それこそゼロヨンを駆け抜ける程度の短いシーンながら、本編の中でも最も濃密な十秒であり、神懸かった演出と言わざるを得ない!

その後も、二人の男はクドクドと非難や言い訳の言葉を並べ立てたりはしない。
まるでデュエリストが全ての問題をカードゲームで片付けるように、彼ららしく最後はゼロヨンで決着を付けるラストも奮いに奮っている!

そんなわけで、カーアクションとしてのクオリティも高く、若者らしく荒削りなキャラクターも魅力的、ドムとブライアンの魂のぶつかり合いに熱くなり、おまけに以降の作品も再評価されるというとんでもない名作であった本作。
改めて、これほどの逸品をレビューせずにスルーしていたかつての自分を、腕が上がらなくなるまでレンチで殴り付けてやりたい!

といったところで今回の記事はここまで。
皆さんなんとなくお察しかと思いますが、これからしばらくワイスピシリーズが続くぜ!