突然ですが皆さん、舌で自分の喉チンコを触れますか?


はい、あなたは今、口の中でモゴモゴしていますね?

これが、メンタリズムです。


画面越しに皆さんのイライラが伝わるようだが、構わずに続けよう。

あれは俺が「瀬戸内のエドワード・ファーロング」と呼ばれていた中学生時代。

ご存知の通り、致命的にモテなかったどころか、女子からは積極的に嫌われていた俺ではあるが、そこは田舎のアホ男子中学生である。

エロに関する情報はその真偽に関わらず貪欲に吸収していた。

そんな折、当時の友人からこんな情報がもたらされた。


「ベロで喉チンコ触れる奴はキスが上手いらしいぜ」


喉チンコに舌が届く=舌が長い=キスが上手いという、中学生ながら見事な三段論法である!


それを聞いた俺が、「ハハ、何をバカなことを…」と言いながら即座に口の中でモゴモゴしたことは言うまでもない!


結果としては、余裕で届いた。

なんだったらもう、届き過ぎてえずくレベルだ。

もちろん今でも届く。

その日以来、「俺は舌が長いんだ!」「だからキスが上手いんだ!」と固く信じて生きてきた。

あの頃の俺たちには、エビデンスなんて必要なかった。

ただ、太陽が眩しすぎたから…。


とは言えそこは、「経験人数は一番小さな自然数」でお馴染みの俺である。

舌の長さを活かすタイプのキスをカマす機会は、極めて少なかったのも事実だ。

なので、果たして俺の舌は一般と比べて本当に長いのか、答えを導きだすには圧倒的データ不足感は否めない。


だからこそ皆さんに問いたいのだ。

「喉チンコは触れますか?」と。

「愛、覚えてますか?」と。


とりあえずここでは、俺の舌は長いものと仮定しよう。


下が短いぶん舌が長いんだね…って、やかましいわ!


しかし、そんな俺でも、「こいつには敵わねぇ!」と舌を巻いてしまうほど舌の長いダークヒーローが誕生した!5年前に!

こいつだ!

『ヴェノム』

舌の長さはマーベル1!
主役は「マッド・マックス」を襲名したあの男!
腹ペコダークヒーローのモグモグタイムが、今始まる!

それではストーリー!

舞台は大都会サンフランシスコ。
そこで記者として働くエディ・ブロックは、自分の番組も持ち、熱い正義感でもってズバズバと疑惑に切り込んでいくスタイルでそこそこ人気者だ。

…トム・ハーディじゃねぇか!(分かりにくいけど)

そんなトム・ハーディが今追っているネタの一つがライフ財団。
新薬の開発で巨万の富を築き、今や宇宙開発にも打って出るなど、まさに今をときめく大企業だが、どうもホームレスさんを相手に違法な人体実験を行っているのではないか?という黒い噂が付きまとっていた。
しかも間の悪いことに、弁護士でもある婚約者のアンが、ライフ財団の弁護を担当しているという微妙な状況だが、そんなことよりアンのビジュアルが一番調子がいい時の椿鬼奴に似ていることが気になって仕方がないのだった!
↑奴姐さん、今日はキレイっすね!?

そうは言ってもお互いに自立したいい大人なので、それはそれこれはこれスピリッツで夜の密着取材を敢行するが、やはりこの手の映画において油断ならないのは事後である。
夜中にこっそり起き出したトム・ハーディは、鬼奴姐さんのパソコンをこっそり盗み見て、どう見ても社外秘なライフ財団が抱える訴訟情報をゲットだぜ!

そんなある日トム・ハーディは、雇われている会社の上司から取材を命じられる。
その相手こそが疑惑の当事者、ライフ財団トップのドレイクであった。
↑大きな瞳が印象的なドレイク社長。

しかしその内容はと言えば、取材とは名ばかりで実質的にはライフ財団の広報記事。
質問内容も決められ、とても疑惑を追及できるような機会ではなかった。
しかしそこは、「真実はいつも一つ!」の決め台詞でお馴染みの(嘘)トム・ハーディである。
アカンルートでゲットした情報を元に、ライフ財団の疑惑をガンガン追及!
結果、取材は速攻で打ち切り、取って返す刀でトム・ハーディも新聞社をクビになり、ついでに鬼奴姐さんも弁護士事務所をクビ、正義のためならコンプライアンスなど知ったこっちゃないと言わんばかりのトム・ハーディのマッド・ジャスティスに嫌気が差し婚約も解消!
無事、人生は崩壊してしまうのだった。

ライフ財団マジパネェ…。

さて、そんなライフ財団ですが、黒い噂は概ね真実どころか、噂のさらに上をいくレベルのマジヤベェ財団だった!
宇宙探索の中で地球外生命体を発見し、地球に持ち帰っていたのだ!
途中でトラブってシャトルは墜落して検体が一体逃げ出したけど、まぁ気にすんな!

「シンビオート」と名付けられたそのタール状の生命体は、有酸素下では他の動物に寄生しなければ生きていけないという、難儀な特性を持っていた。
つまりここからがライフ財団の本領発揮だ。
何をしたかって?
そらもう人体実験よ。

巷の噂通り、その辺のホームレスさんを拐ってきてシンビオートと融合させてみるという狂気の人体実験を敢行するドレイク。
案の定、苛烈な拒絶反応でホームレスさんは次々にくたばるが、そこは「倫理?なにそれ美味しいの?」でお馴染みのドレイク社長である。
オーバーザモラルなトライ&エラーで人間とシンビオートの融合実験を続けるのだった。
↑相手がオッサンじゃなければなぁ…。

あれから0.5年!(きみまろ風)
いたいけなホームレスさんたちが着々と犠牲になる中、我らが主人公トム・ハーディは腐りに腐って飲んだくれていた!
顔見知りのホームレスのおばさんからは無料配布の新聞を有料で買わされ、行きつけの商店でヤクザもんがみかじめ料を強制徴収しても見て見ぬふりと、ジャスティスもなければマッドもない体たらくだ。

そんなトム・ハーディの元に、一人のMilfが訪ねてきた。
彼女はなんと、ライフ財団の雇われ女科学者さん!
トム・ハーディよりよほどマッドがマックスなドレイク社長の所業に今さらながら良心の呵責を感じ、トム・ハーディにライフ財団の悪事をすっぱ抜いてほしいという依頼だ。
↑ほんのりアンジェラ・アキに似ている女科学者さん。

しかしトム・ハーディからしてみれば、余計な正義感でアンタッチャブルなところに切り込んでいった結果のこのざまである。
今さら財団側の人間が手を貸せなどと、虫のいい話だ。
Milfの誘いを断るなど正気とは思えないがそれもそのはずで、トム・ハーディは元カノの椿鬼奴に未練タラタラであった!

そんなわけで今夜も、かつて二人で暮らしたアパートをしょんぼり見上げるトム・ハーディ。
と、そこへ、タイミングがいいのか悪いのか、鬼奴姐さんが帰宅して鉢合わせしてしまう。
客観的に見てストーカーなトム・ハーディにあからさまにドン引きな鬼奴姐さん。
思わず、「うちの猫、実はアンタのこと嫌ってたから!」などと、ボディブローのような言葉を投げてくる。

俺なら泣いちゃうね!

さらには鬼奴姐さんの新しい彼氏と鉢合わせしてしまうに至っては、トム・ハーディの脳はもうボロボロだ!
しかもお前、相手はお医者様だと!?

全てを失い、落ちぶれてしまった我が身には辛すぎる現実に打ちひしがれるトム・ハーディ。
「俺にはもう、マッドがマックスなジャスティスしかないんや…」と思ったかどうか分からないが、一度は断ったアンジェラ・アキ似の女科学者さんの話に乗ることを決心したトム・ハーディ。
早速、アンジェラ女史の手引きで夜のライフ財団に侵入する。
果たしてそこには、実験動物のように監禁されたホームレスさんたちの姿があった!
さらに、その中の一人はトム・ハーディの顔見知り、そう、無料配布の新聞を売り付けてきたババアだ!

俺なら見なかったことにするが、既にジャスティスの暴走モードに突入しているトム・ハーディはそうはいかない。
こっそり侵入していることなどド忘れして派手にガラスをぶち破り、ババアホームレスを救出するトム・ハーディ。
しかし実はこのババア、既にシンビオートに寄生されいた様子で、実験室を出たとたん元気一杯トム・ハーディに襲いかかり、シンビオートをラブ注入!
ババアはそのまま動かなくなってしまう。

「押し倒された相手が鬼奴姐さんだったらなぁ!」と思ったかどうか分からないが、何が起きたのかさっぱり理解できずに困惑しきりなトム・ハーディ。
だがとにもかくにも、大騒ぎしたおかげでライフ財団の追っ手が迫っている!
「run for money」というよりは「run for life」な一人『逃走中』が始まるが、どうも様子がおかしい。
ホームレス一歩手前のただの飲んだくれ中年に過ぎないはずのトム・ハーディが、アニメ版『逃走中』の主人公もびっくりのとんでもフィジカルを発揮して、ライフ財団のヤる気満々のハンターから華麗に逃げ切ってしまったのだ!

命の危機はひとまず去ったものの、異変は収まらない。
一人で居ても幻聴が聞こえるし、鏡を覗けば幻覚が見える。
挙げ句、腹が減って仕方がなく、ゴミ箱から残飯をサルベージして貪り食ってしまう始末だ。
↑最早ゾンビなトム・ハーディ。

「俺の中に何かいる…」

漠然とした不安に苛まれながら、ライフ財団の悪事の証拠を引っ提げて、鬼奴姐さんと医者の彼氏がディナーを楽しんでいる高級レストランへ、「突撃!隣の晩御飯」を敢行。
しかし、すっかりマッドがマックスになってしまった様子のトム・ハーディは、レストランで他人の飯を食い散らかした挙げ句に水槽にダイブするという破天荒芸を披露し、無事に病院送りとなってしまうのだった。
しかも今彼の病院にな!

一方こちらはその頃のライフ財団。
内部の裏切り者のせいで大事なシンビオートを一体奪われたとあっては、ドレイク社長もさぞかし激おこプンプン丸…かと思いきや、意外とそうでもないかも!?
これまで散々シンビオートと人間の融合実験を繰り返してうまくいかなかったというのに、トム・ハーディはシンビオートの力を引き出して大ハッスルしているじゃないの!
ドレイク社長のオーダーはただ一つ、「トム・ハーディの生け捕り」これである!

…え?アンジェラ・アキさんですか?
まぁほら、科学の進歩には犠牲がつきものですから…?
しかもトム・ハーディの名前をきっちりゲロってから殺されるという使えなさっぷりだ!

そんなわけで、トム・ハーディの一人『逃走中』第二幕が始まる。
今度こそ本気のライフ財団のハンターたちは、攻撃用ドローンを投入するなどほとんど戦争レベルの勢いで追い詰める。
何度も命の危機に瀕していく中で、トム・ハーディの中の「何か」が遂に覚醒し、その姿を現す!

「俺の名はヴェノム」

遂に明らかになるシンビオートの目的!
ミニスカ姿で奔走する鬼奴姐さん!
拒絶反応などド忘れして寄生しまくるもう一人のシンビオート!
トム・ハーディとドレイク社長のクソミソバトル!
ウィー・アー・ヴェノム!

果たしてトム・ハーディは、ヴェノムの力を使いこなしドレイク社長の野望を阻止することができるのか!?
そしてあわよくば、鬼奴姐さんとヨリを戻すことはできるのか!?





…うん、思ったほど面白くなかったね!(辛辣)

いきなりの辛口評価で、過激なファンからは長い舌を用いたプレイでお仕置きされてしまいそうだが、ちょっと待って欲しい。
いや、やっぱり待たなくていいからとりあえずお仕置きはして欲しい。
その上で聞いてくれ。

なんと言ってもそこは天下のマーベルだ。
面白くないわけではない。
ただ、そのビジュアルイメージや断片的な情報で期待値を上げすぎたのが主な敗因だ。

まずもって、既存のヒーローとは一線も二線も画すこの強烈なビジュアルはどうだ!?
もうどこからどう見てもヒーローというよりはヴィラン、それもかなりエグい部類のヴィランだ。
これだけで、とんでもねぇ残虐ファイトを繰り広げるダークヒーローの爆誕を予感させる。

さらに、近年のマーベル作品といえば、ユニバース、マルチバース、ランディ・バースと、その世界は膨張の一途を辿っており、一見様お断りの敷居の高い印象を受ける。
もちろん、個々の作品のクオリティは高く面白いのだろうが、例えば「今度プリキュアの映画見に行くから全20シリーズ見といて!」などと言われても無理な話だ。
それを思えば本作は、一応は「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」(またユニバースかよ!)の一作目という位置付けながら、スパイダーマンが出てくるわけでもなくかなり独立性の高い作品であるように見える。
この点において、俺のようなニワカでも取っつきやすい。

かてて加えて、主演がメル・ギブソンからマッド・マックスを襲名した男、トム・ハーディである。
期待するなという方が無理な相談だった。

その期待値の高さと比較すると、「思ったよりいい子ちゃんなヒーロー映画にまとまったな」という印象がぬぐえない。
もちろん映像の迫力は素晴らしい。
ていうか、普段から俺が嗜んでいるヴァンダムやラングレンなどのド底辺アクションでは永遠に望めないレベルだ。

特にクライマックスの、シンビオートの隊長であるライオットとヴェノムのタイマンバトルは圧巻で、お互いにヌルヌルネバネバと変形しつつくんずほぐれつの攻防は最早何が起きているのか分からず、ちょっと『鉄男』を思い出しましたよ?

しかし同時に、圧倒的映像の力でぶん殴るファイトスタイルには限界があるのも事実だ。
ぶっちゃけ、これまでの多くのヒーロー映画で目が慣れちゃってる部分もある。

ストーリー的にも、肝心要、シンビオートの設定がいまいち釈然とせず、首を傾げる展開が多いことも足枷になっている。
アメコミガチ勢である友人のウィキペディ男に聞けばシンビオートの設定は事細かに教えてもらえるが、それを作品の中だけで理解しろというのも無理な話だ。
一説によるとシンビオートは知性はあるが個性はなく、寄生した宿主の性格によって左右されると言う。
それにしてはヴェノムももう一体のシンビオートのライオットも、どう見ても個性の塊!
そもそも、乗っ取る気満々で地球にやって来ている時点でひどく人間臭く、分かりやすく侵略者といった風情だ。

さらに、他の生物に寄生する際の制約もはっきりとしない。
当初はシンビオートと人間の融合を試みても拒絶反応で宿主が死ぬばかりで、「臓器移植のように適合者がいる」だの「馴染むまで時間がかかる」だの、色々と言っていた気がするが、いったんトム・ハーディと合体してしまえばその辺のあれこれはガン無視!
ワンコや鬼奴姐さんなどに軽快に乗り移っては平気な顔をしている。

もう一体のシンビオート、ライオット隊長に至っては、最初からガンガン寄生しまくっていたが、こちらは寄生された人間は完全にライオット隊長の支配下にあり、ライオット隊長が離れれば死んでしまうという、また少し変わった挙動を見せる。
そうかと思えば最終的に寄生したドレイク社長とは、ヴェノムとトム・ハーディのような見事な共存関係を披露。

この、科学的考察があるような雰囲気を醸し出しつつ、死んだり死ななかったりラジバンダリ!操られたり操られなかったりラジバンダリ!な曖昧さが、終始気になって仕方がないのだった。

まだある。(まだあるんかい)
本作の悪役であるドレイク社長だ。
三浦翔平と伊勢谷友介を足したような、大きな瞳とイケメンフェイスが印象的な彼氏。
一方で、それこそメル・ギブソンのお株を奪うような目が笑っていない笑顔で、無慈悲な決断を軽快に決める姿はなかなかの名悪役っぷりだ。
↑守りたい、この笑顔。

そんなドレイク社長は終盤、ライオット隊長に協力してシンビオートの地球侵略を成功させようと画策する。(唐突なネタバレ)
そんな中でドレイク社長は、トム・ハーディに対してこのようなご高説を披露する。

「世界を見渡してみろ。環境破壊、飢餓、戦争…人間こそが地球に寄生しているのだ!

正直、親の声より聞いた台詞で、俺の激萎えポイントでもある。
映画に限らず似たような台詞を吐く悪役を数えきれないぐらいに見てきたが、その都度、俺のテンションは驚くほどに下がったものだ。
本作においても、せっかくの魅力的な悪役がこの一言で台無しである。
あくまで俺の中でだが!

致命的なのは、せっかくのハイクオリティな映像でお届けするシンビオートの触手チックな形態や長い舌が全くエロに活かされていないことだ!
触手っぽく絡むシーンや長い舌で舐めるシーンもなくはないが、相手は完膚なきまでにオッサン!
ようやく眼鏡と白衣が知的な女科学者さんが出てきたかと思えば、そんな時に限って絡みの直接描写は皆無で即事後(死亡)という有り様である!
↑お前じゃねぇ!

…まぁでも唯一、女体化ヴェノムはエロかったかな!

それでは本作を、見映えがいいだけの凡百のヒーロー映画としてペローンしてしまっていいだろうか?
答えはもちろんノーだ。

そもそもが本作を、ヒーロー映画として捉えること自体が間違いだ。
ではどう捉えるのが正解なのかというと…萌えキャラヴェノムたんを愛でる映画ですね!

「また訳の分からんことを…」と思われるかも知れないが、そう感じたのは俺だけではないようで、それが証拠に我らがGoogle先生に「ヴェノム」と入力してみると、かなり上位の候補に「かわいい」と出てくる!

シンビオートは地球で生きていくためには寄生することが必要で、代わりに宿主には超人的なパワーをもたらすわけだが、ヴェノムたんからしてみればトム・ハーディはようやく見つけた適合者である。
「あなたは死なないわ。わたしが守るもの」と言わんばかりに、一生懸命トム・ハーディを守る。

また、先述の通り、本作に登場する二体のシンビオート、ヴェノムとライオットは、妙に人間臭く個性豊か。
そんな我らがヴェノムたんが仲間を裏切って侵略を阻止するに至った理由も奮っている。
ヴェノムたん曰く、「アタイはあっちの世界では落ちこぼれの負け犬だった。でもアンタとなら最強!だから地球で暮らす!」と。
まぁたいして誉められた動機ではないが、スーパーパワーの割に等身大で身近に感じるヴェノムたんの魅力の一つだ。

等身大と言えば、人間を丸飲みにするようなチート生物の割に、特定の周波数や酸素、火などやたら弱点が多いのもチャームポイントだ。
無理矢理宿主からひっぺがされ、所在なさげにウニウニしているヴェノムたんの姿は、仲間になりたそうにこちらを見ているスライムのようだった!

さらにヴェノムたんは恋愛指南もしてくれる。
普段はトム・ハーディの中にもう一つの人格として存在しているような状態で、おまけに宿主と記憶も共有しているので、あれやこれやの事情も丸っと委細承知之助!
「お前のせいで彼女がクビになったこと、ちゃんと謝ってないだろ?今を逃すと二度と言えなくなるぞ」などと、どこに出しても恥ずかしくない立派なアドバイスをしてくれる。

あと「寄生」って言うと怒る。
めっちゃ怒る。
「謝れ!」って言う。
可愛い。

なんだったらもう、素のトム・ハーディの時点で可愛い。
お隣さんの騒音に何も言えずに「ん゛ー!!」ってなるとことか可愛い。
↑「ん゛ー!!」

そんなこんなで共依存のような妙な絆が芽生えていく二人。
お陰様でクライマックスのラスボス(クソミソ)バトルは激アツ展開の連続だ!

圧倒的パワーと容赦ない残忍性を併せ持つライオット隊長&ドレイク社長のコンビに苦戦を強いられるヴェノムたんとハーディたんペア。
遂には力ずくでひっぺがされてしまう。
しかしハーディたんは間髪入れずジャンプ一番、無力なスライム状態で捕らわれたヴェノムたんに自ら飛びかかり、再び合体する。
この時の、お互いが必死に手を伸ばし合う姿(片方は触手だが)はまことに尊く、言うなればアメコミ版『ふたりはプリキュア!』

最後は、ロケットの爆発からヴェノムたんが身を呈してハーディたんを守って散るのだが(唐突なネタバレ)、この異形の人外が唐突に発揮する男気は俺の涙腺崩壊ポイントだ。
例えるならそう、『キルラキル』の最終話を思い出したと言えば分かって頂けるだろうか?

「分かるか!!」

(生身で大気圏に突入した主人公をセーラー服が身を呈して守るという熱い展開。おかげで主人公は全裸になるだけですんだぞ!)

↑火が弱点だっつってるのにお前…!

最後にもう一つ、何より関心したのはヴェノムたんとライオット隊長の描き分けだ。
人間と融合した姿は、全体的なフォルムとしては似たような感じで、ライオット隊長の方がムキムキだったりとデザイン的違いはもちろんあるが、中でもはっきりと描き分けられている部分がある。

そう、舌の長さだ。

戦闘力という点ではライオット隊長に及ばなかったヴェノムたんだが、舌の長さでは勝っていた!
この、わざわざ舌の長さを描き分けるあたりに製作陣の並々ならぬ拘りを感じ、思わず嬉しくなっちゃうのだった。
↑左がライオット、右がヴェノム。

な?

そんなわけで、なんやかんやと不満はありつつも、燃えるような熱いバトルの代わりに、萌えるようなエモい絆を見せつけられる結果となった本作。
ヴェノムたんの舌のように無駄に長いレビューの間に皆さんお忘れかも知れませんが、最後にもう一度、大切な質問をして終わりたいと思います。

舌で自分の喉チンコを触れますか?