秋深し 隣のmilf 美味しそう


どうも、キャンです。

気がつけば季節はすっかり秋で、つい先日までは二の腕むき出しのヴィン・ディーゼルスタイルで街を闊歩していたMilfさんも、黒タイツや割りとボディコンシャスめのロングスカート(スリット入り)などをお召しになり、「誰かわたくしのマロンを舐めてくれないカシラ?」と言いたげな憂いを帯びた表情を見せておりますね。


俺に任せとけ!!


さて当ブログといたしましても、つい二つほど前の記事では夏真っ盛りだったはずが、あれよあれよという間に三ヶ月以上が経過。

二、三週間に一本更新するかしないか?というレベルの相変わらずの遅筆っぷりに目眩がする思いだ。

そんな俺が今回問題提起したいのは、「ファストムービー」についてだ。


ご存知の方も多いかも知れないが、「ファストムービー」と言えばそう、無料エロ動画サイトだ。


ノー、違う。

いや、違いはしないが、今の文脈では違う。

どうも一般的には「ファスト映画」と呼ばれているようなので、誤解を避けるために「ファスト映画」で統一しますね?


で、この「ファスト映画」とは、映画の内容をナレーション等で解説しながら10分程度に短くまとめた動画のことで、無許可で映像を引用し物語の結末までガッツリ紹介してしまうことから大いに問題視され、一時期よく話題に上がっていたので耳にされた方も多いのではないだろうか。

もちろんこういった動画をアップすることは違法で、既に逮捕、起訴された例も多く、ちょっとビビるくらいの量刑が課されている。


このこと自体はまぁ残念でもないし当然というか、なんのムーブメントも起こしてないから気付かれてないだけで厳密に言うと俺のやってることもアウトだよね!?という世界だ。

もし見つかって怒られたら、素直に画像は削除して代わりにその辺で撮ったタンポポの写真とか載せときます。


理解できないのは、「ファスト映画」にそれほどの需要があるという現実だ。

例えば、自称映画評論家等が、作品の撮影技法や伏線の張り方、比喩表現や監督のメッセージなど、偉そうに講釈をたれる解説動画も多くあるが、それとも違う。

ほら、読書感想文でも粗筋説明だけで文字数稼いで自分の感想は「面白かったです」の一言だけですますようなやついたじゃん?

あれの「面白かったです」さえないバージョンがファスト映画です。

そもそも90分から120分もあるような本編をはしょりにはしょって10分にまとめただけの動画を見て、一体何が楽しいのか皆目分からない。


あらゆるコンテンツが溢れかえっている昨今、より時間効率よくコンテンツを消費したいという分析も出ている。

娯楽だぜ?

娯楽なんてすべからく無駄を楽しむものなのに、時間効率を求めるならそもそも映画なんか見なければいい話だ。

また、話題についていくために知識だけ仕入れたいというニーズもあるようだが、ファスト映画で得た知識程度で会話にいっちょ噛みして、相手がガチ勢だったら惨劇は免れない。


それならまだ、「ファストムービー」の方が理解できるというものだ。

毎度毎度インタビューまで聞いてられないからね、仕方ないね。


いずれにせよ、多種多様なコンテンツに溢れ利便性も飛躍的に向上した現代社会において、コンテンツを消費すること自体が目的となり、まるで何かに追われるようにスピードや効率を多くの人が求めているのだとしたら、一体我々が目指してきた幸せとは何だったのかと立ち止まらざるを得ないのだった。


それを思えば俺はたいしたもんですよ。


例え一度見たことがある作品だったとしても、レビューに際してはきっちり再視聴、さらにはナイスな画像を探して早送りしつつ二周目に突入、挙げ句に二週間以上かけて紹介文を書き上げるという有り様だ。

もちろん、二週間みっちりアメブロと向き合っているという訳ではなく、YouTubeでもちまるを見たりテレビで『千鳥のクセがすごいネタGP』を見たりxvideosでmilfを見たりといった行為に相当な時間を費やしてはいるが、それでも記事を書き上げるまでは当該作品が常に頭の片隅にあり、折りに触れて反芻しては「どうやって茶化そうかなぁ!?」などと考えているわけだ。


具体的には、前々回の記事を書き上げるまでは常にスタローンの口元が頭にあったし、前回の記事を書き上げるまでは常に餃子が頭にあったわけだ。


さらに言えば、定期的に自分が書いた記事を読み返し、「ふふふ、一年前の俺、なかなか面白いこと言ってんじゃん」などと一人で悦に入っていたりするので、そういう意味では俺が一本の映画を消費するまでにとんでもない時間を要しているわけだ。

まさに「ファストムービー」の対極をいく「スロームービーライフ」!

俺のこの、丁寧かつ真摯な映画との向き合い方には、大量生産大量消費を良しとする現代社会のあり方に一石を投じる、大変意義深い側面があるのではないかと思うので、関係者の方は取材とかしてみてもよろしくってよ?


といったところで、今回ご紹介する作品は、自分への誕生日プレゼントとして5月に購入して今まで温めていたスローにもほどがあるこの一本。

『フルスロットル』

俺たちみんなのブラザー、ポール・ウォーカーもう一つの遺作!
これが本当のファストムービーだ!
短くまとめてる場合じゃねぇ息もつかせぬポールの勇姿を魂に刻め!!

それではストーリー!

時は2018年、デトロイトの治安は悪化の一途を辿っていた!
中でも低所得者向けの集合住宅「ブリック・マンション」は最悪で、政府はブリック・マンションの周囲に高い壁を築いて街から隔離、警察が検問を敷き出入りする者を厳しくチェックした!

そんなブリック・マンションでは、今日も今日とて、見るからにヤベェ奴が見るからにヤベェ奴らに追われていた!
↑見るからにヤベェ奴。

奴の名はリノ!
キャプテン・リノでもトマトをモチーフにしたパチスロでもない!
この、世界から見捨てられたようなブリック・マンションを支配する組織から30キロもの麻薬をかっぱらい、あろうことか麻薬をお風呂に入れてあげるという暴挙に出たリノは、お陰様で組織のチンピラどもに追われているのだった。

しかしこのリノの身体能力は尋常のものではなかった!
生身で初代プリキュアとタメを張れるようなとんでもねぇアクションで、集合住宅を縦横無尽に飛び回り、見事に追っ手から逃げ切るのだった。
↑「ありえな~い!」(キュアブラック)

大量のヤクをバスロマンにされた上に、下手人のリノに落とし前をつけることもできなかった組織のボス、トレメインことRZAは、それはもう激おこプンプン丸。
唐辛子を刻む片手間に手下どもに檄を飛ばすのだった。
↑金ぴか銃が激似合いなRZA氏。

RZA親分のパンチラインにビビりまくりの手下は慌てて一計を案じる。
「リノの彼女を人質にすれば奴は現れるハズ!トラストミー!
こうして、壁の外の街のレストランでウェイトレスとして働くリノの彼女、ローラは、容赦のない顔面パンチを食らって拉致られてしまう。
↑ローラ、後ろ後ろ!

しかしこのローラ、実はリノの彼女ではなく、別れた元カノだったのだ!
どっちでもええがな!
とにもかくにも、ミニスカのウェイトレス姿のままケダモノの巣窟にご招待されてしまったローラの貞操は、最早風前の灯火だ!

「リノが現れるまでここにいてもらう」
RZA親分がそう告げた0.3秒後、屋根をぶち破ってリノ登場。

監禁時間0.3秒!!

RZA親分を人質に、ローラと二人で敵のアジトから脱出したリノだが、手下どもがしつこく追いすがり激しいカーチェイスに発展!
しかしローラもローラで、ただの可憐なウェイトレスではなく、ヴィン・ディーゼルも口笛を吹きそうなとんでもねぇドラテクの持ち主だった!
↑慎重(街中で100キロ)

こうして、ブリック・マンションの検問にいる警官にRZA親分をワイルドにお届けしたリノだが、検問の責任者のオッサンがRZAとズブズブの関係だったため、RZAは釈放、リノは拘束、おまけにローラも再びRZAの手に落ちてしまう。
ブチ切れたリノは汚職警官のオッサンを渾身の膝蹴りで殺してしまい、無事ブタ箱行きとなってしまうのだった。

一方こちらは、壁の外の街で麻薬の売買を取り仕切る麻薬組織のボス(ハゲ)。
RZAの手下から麻薬30キロの注文が入る。
しかもブリック・マンションに即日配達希望だ。
しかし、ただでさえ治安のちの字もないようなブリック・マンションに、週末の夜に行きたがる者などいなかった。
誰もがイモを引く中、この死のデリバリーに名乗りを上げた命知らずの男が一人いた!
そう、ポール・ウォーカーだ!
↑ポール・ウォー…目の色違くない!?

「今回のポール・ウォーカーは麻薬組織の手下か…」と落胆したのも束の間、組織の秘密工場にポールが案内された途端、現場に警官隊が到着!
そう、ポールは潜入捜査官だったのだ!

若干『ワイスピ』の初期設定と被ってる気がしないでもないが、派手なドンパチとカーアクションの末に、ハゲのボスを警察署にワイルドにお届けするポール・ウォーカーなのだった。

命のいらない潜入捜査で見事にハゲを仕留めたポール・ウォーカー。
彼の次のターゲットはRZA!
実はポール・ウォーカー、同じく警官であった父親がブリック・マンションの捜査中に殺されており、ブリック・マンションの悪党どもを一掃すべく、並々ならぬ執念を燃やしているのだった。

そんなポール・ウォーカーにこの度、デトロイト市長から直々に召集がかかった。
かなり退っ引きならないヤバい事態のようで、優秀な捜査官を必要としていた。
なんでも、政府専用車がRZA一味に襲われ、積み荷の中性子爆弾が奪われたというのだ!
しかもご丁寧に、盗難防止のためにケースを開けたら問答無用で起爆のカウントダウンが始まるというギミック付きだ!
「なんでそんなもん積んでんの…」という気がしないでもないが、ブリック・マンションに潜入し中性子爆弾の起爆装置に解除コードを入力せよ、というのが、今回のミッションだ。

しかし、いくらポール・ウォーカーと言えど、爆弾の在りかも分からねぇ、RZAの居場所も分からねぇ、壁の中に手引きしてくれる仲間もいねぇでは、さすがに無理な話である。

「いや、仲間はいる」

この無理ゲーに、ポールの相棒として白羽の矢が立ったのが、警官殺しで絶賛服役中のリノ!
もちろん、警察の捜査に協力しろと言っても素直に手を貸すリノではないが、そこはポール・ウォーカーの腕の見せ所。
潜入捜査で磨いた演技力でもって囚人を装い、リノと護送車に同乗すると、高速で走る護送車から運転手を叩き落として護送車を乗っ取るという渾身の演技でリノに近付く。
↑演技…ですよね…?

若干のすったもんだがありつつも、元カノローラを助け出すためにブリック・マンションに出戻る気満々のリノと共に、賑やか過ぎる裏口入門で検問を突破してブリック・マンションへの潜入を果たすポール・ウォーカー。
あとは二人で協力してRZAの野郎を出し抜くだけと思いきや、そうは問屋が卸さない。
突然ポール・ウォーカーに手錠をかけ、護送車に放置プレイを決めるリノ。

「ていうか、お前警察だろ!」

…バレてた!!

何でもリノは、警察をかぎ分ける独特の嗅覚をお持ちらしく、はっきり言って最初から分かっていたとか。
そうなってくると、護送車から叩き落とされた運転手の立場は…。

とにもかくにも、ヒップホップ魂溢れるブラザーたちの巣窟で痛恨の放置プレイを食らってしまったポール・ウォーカー。
あっという間に体中がやたらカラフルなブラザーたちに囲まれてしまうが、そこは俺たちのポール・ウォーカーである。
無数に飛び交う銃弾にかすりもしない主人公ムーヴと、渾身のハンドリングアクションで窮地を切り抜けると、こっそり取り付けておいた発信器で再びリノと合流。

「RZAの野郎がヤベェ中性子爆弾を持ち込んだ。信じられんかも知れんが俺はここを救いたいんや!」と、嘘偽りのない気持ちをリノにぶつけるポール・ウォーカー。

例え放置プレイの仕返しに一発ぶん殴ったとしてもだ!

そもそもRZA親分に楯突いていたのも、この街に蔓延る麻薬をなくすため。
ブリック・マンションを守りたい気持ちはリノとて同じだ!
水と油な二人だが、遂に共闘体制が整った!

「俺に腹案がある。トラストミー!

おもむろに電話をかけるリノ。

「ヤッホー!RZAっち、元気してる?今から行くから待っててね!」

まさかのアポを取って正式訪問だ!

こうして、堂々と正面玄関からRZAのアジトに乗り込む二人だが、そこには戦慄の光景が待っていた!
問題の中性子爆弾は、ロケットミサイル(ロシア製)に載せられ、あろうことか壁の外の街に向けられていたのだ!
おまけに、囚われのローラもミサイルに繋がれている!

「街の人口は300万人、一人10ドルで助けてやろう」

冷酷無比なRZA親分は卑劣にも、ローラと300万の無辜の民を人質に、3000万ドルを要求してきたのだ!
依頼主である市長に状況を伝え、3000万ドルを振り込むように要求するポール・ウォーカー。
市民を守る責任を負う市長のアンサーはこうだ。

「うちは貧乏なので無理!」

…炸裂するポール・ウォーカーとリノ渾身の猿芝居!
この期に及んで浮上する新たな疑惑!
ローラとドS女の過激すぎるSMプレイ!
ポール&リノの華麗なシンクロパルクール!
ローラ渾身のM字開脚!

果たしてポール・ウォーカーとリノは、限られた時間の中でミサイルを止め、街を救えるのか!?
考えるな、飛べ!!





…うーん、これは素晴らしいファストムービー!(エロ動画サイト)

さて本作はと言えば、「パルクール」というアクションというかエクストリームスポーツを一躍世に知らしめたフランス映画『アルティメット』のハリウッド版リメイクで、原作フランス版でも製作に関わっていたリュック・ベッソン、さらにはパルクール創始者として主演も務めたダヴィッド・ベルもリノ役で出演するなど、最早リメイクというよりは本家新シリーズといった様相だ。

なので、本作の一番の見所と言えば、全編にわたって炸裂するパルクールアクション!これに尽きるだろう。
そもそもパルクール自体が、走る、跳ぶ、登るといった移動を伴う動作によって心身を鍛えようというエクストリームスポーツなので、アクション映画として見せればそれはもう極めて目まぐるしくスピーディー!

雑多な街中を全力疾走、屋上から屋上への大ジャンプ、高い壁もゲームのような三角跳びで越える、狭い隙間にもノンストップで飛び込む、登ったかと思えば逆に自然落下…等々。
まさに「立ち止まったら死ぬ!」と言わんばかりの目まぐるしさで、ブリック・マンション内を縦横無尽に駆け回るその姿は、「野生の猫か何かか!?お前は!」とシャウトしたくなること間違いなしだ!
そういった意味で本作は、ファスト映画(物理)と言えなくもない!

ただですよ、「パルクールすげぇぇぇ!!」なんてことは、公開当時、その辺のMilfが見るようなワイドショーなんかでも散々宣伝されてたわけですよ。
しかし、映画としての魅力がパルクールのみに留まらないところが本作の凄いところであり、俺のスローレビューの始まりでもある。

まず物語的には、主人公が難易度の高いミッションに挑むだけのシンプルなもの…ではなく、意外と二転三転があり、最終的にはそこそこのどんでん返しも待っている。
また、貧困問題や格差問題にスポットを当てるようなメッセージ性も随所で見てとれ、貧しい壁の中から高層ビルの立ち並ぶ壁の外を睨み付けるような印象的な構図は、ヴァンダムの『ネバー・ダイ 決意の弾丸』を彷彿とさせる。
彷彿とさせる!

さらには、ポール・ウォーカー、リノことダヴィッド・ベル、ヒップホッパーRZAの他にも、見るからにキャラのビンビンに起った濃いメンツがいくたりか登場し、それぞれに活躍シーンを見せてくれる。
体格の割に神経の細いK2、ボンテージスタイルのドS姐さんレイザー、ファンタジー感溢れる巨漢のその名もイエティ、そして、最初から最後までミニスカウェイトレス姿でちょいちょい尻もはみ出すローラ!

中でも、敵のドSレズ女レイザーとミニスカローラのキャットファイトはある意味見物で、バトルなのかプレイなのか判断がつかなくなるレベルだ!
↑僕も混ぜてもらっても?

そんな二人の決着も実に奮っている。
両手を手錠で拘束されたローラが、レイザーをカニ挟みで屋上から放り出すのだが、この時のミニスカ姿で披露する渾身のM字開脚は、映画史に残る名シーンで、落っこちていくレイザーの顔芸と相まって俺は大爆笑していた!
↑本作一の名シーン!

ご覧の通り、パルクールアクションを主体に据えつつ、二転三転するストーリーに社会派なメッセージ、個性的で魅力的なキャラクターにサービスシーンと盛り沢山な内容の本作。
それでいて上映時間は90分ジャスト!
一体これだけの内容をどうやって詰め込んだのかという話だが、そらもう一々の展開をちょっぱやで時短よ。

誰も彼もが息をするように披露するファスト手錠外し。
細かいやり取りなしで顔面パンチ一発で沈めるファスト人拐い。
「ヤツが現れるまで監禁する」と言った0.3秒後にヤツが現れるファスト人質解放。
物語終盤になって思い出したように次々と明らかになるファスト真相。
「あんだけのことをしといて、さすがにそうはならんやろ…」と言いたくなるようなファスト手のひら返し。

権利者さんサイドに訴えられたら困るのでオチのネタバレは避けるが、自分の部下を虫けらのように殺していたRZA親分が急に「必死に生きている人間を虫けらだと!?」とキレ始めたりと、冷静に考えればさすがに無理があるというか、ツッコミどころは満載なのだが、冷静さなどというものはパルクールの疾走感と共に置き去りにされてしまうので気にしなくてOKだ!

それでは最後に、本作においても欠かすことのできない存在、ブラザーの中のブラザー、ポール・ウォーカーについて触れて終わりにしたいと思います。
皆さんご存知の通り、2013年、『ワイルド・スピード SKY MISSION』の撮影中に自動車事故により40歳という若さでこの世を去ったポール・ウォーカー。
そんなポールの「最後の主演作」とされるのが本作だ。
本編最後には、「IN LOVING MEMORY OF PAUL WALKER」という追悼メッセージが添えられている。

『SKY MISSION』に続いて再びこんなラストを目にすることになるとは思わず、今さらながら切なさが胸に込み上げるが、文句のない男前でアクションもこなし、おまけに前髪も長くないと、改めて映画界は素晴らしい人材を失ったなぁ!と再確認した次第だ。

粗筋説明の中でも少し触れたように、本作におけるポール・ウォーカーのポジションはワイスピシリーズのそれと近しいところがある。
元は法の番人でありながら、犯罪者であるはずのヴィン・ディーゼルやダヴィッド・ベルの熱い男気に打たれ、最終的には立場を捨てて彼らと友情を結ぶポール・ウォーカー。
どちらかと言うと規格外の化物に振り回される形になることの多いポールだが、本作でも、エクストリームにもほどがあるノンストップアクションを繰り広げるダヴィッド・ベルに置いてけぼりを食らい、途方に暮れるシーンも何度か出てくる。
それでも最終的には、そんな化物たちと友情を結び、それどころかファミリーになってしまうところが、ポール・ウォーカーの魅力であるように思う。

これは俺の勝手なイメージではあるが、ポール・ウォーカーは、『銀河英雄伝説』に例えるとキルヒアイスだと思っている。
その確かな実力に加え優れた人格により周囲からの信頼を得ながら、志し半ばで早逝してしまったキルヒアイス。
もしも彼が生きていたならば、ラインハルトとヤン・ウェンリーも手を取り合うことが出来たはずと、今でも信じている。

『銀英伝』を知らない人には何のことやら分からないだろうが、とにかく俺が言いたいのは、ポール・ウォーカーが生きていれば某二人のハゲマッチョも仲違いすることはなかったのではないかということである。
もちろん、歴史にifはない。
仮にポールが生きていたとしても、余計に泥沼化した可能性も否定できない。
それでも、作品を通して多くの人たちと友情を結ぶポールの姿を見るにつけ、あるいは生前のエピソードを聞くにつけ、あり得たかも知れない「if」の未来に、思いを馳せずにはいられないのだった。

そんなわけで、ハイスピードなパルクールアクションに一捻り効いたストーリー、濃い目のキャラに俺得なサービスシーン、そしてポール・ウォーカーの魅力と、ファスト映画程度ではとても味わい尽くせない贅沢欲張り詰め合わせセットとなった本作。

気が付けば、今回の記事を書き始めてから二週間どころか一ヶ月経過していたのも無理からぬ話である。
それでもこの一ヶ月、ポールの笑顔とローラのM字開脚が常に脳裏の片隅にあったので、私はいっこうに構わん!!



…いや、さすがにもうちょい急げ!