皆さん、明けましておめでとうございます。
今年は平成30年、平成生まれがもうアラサーかと思うと、新年早々失禁しそうになるが、これでまた元号が変わってごらんなさいよ?
昭和生まれの扱いは、今で言う明治生まれや大正生まれみたいな感覚になっちゃうんだよ!?

そろそろ死期が近いかな?

まあ、年初から絶望していても仕方がないので、未来に向けて希望に胸を膨らませるような、景気の良い気分にアゲていこうじゃないか!
というわけで、今年の一発目を飾るに相応しい、希望に溢れた作品をご紹介したいと思います。
『レクイエム』

ヴァンダムじゃねーか!

裏社会で用心棒的な仕事をしていたヴァンダムが、家族のために引退を決意した矢先に、最愛の妻がチャイニーズマフィアに殺され、復讐に燃えるヴァンダムがチャイニーズマフィアのボスをぶっ殺すという…。

希望もクソもねーな!

新年に相応しいかと言われれば圧倒的にノーだが、俺の人生的には365日ヴァンダムに相応しい日なので、無問題だ!

一応ざっくりストーリーを紹介するとこんな感じ。

まずは冒頭、チャイニーズマフィアのボスが、嫁だか情婦だかと軋むベッドの上に優しさを持ち寄った後、娘の世話をどうするかという話で揉めて女を切り殺す。
現場を目撃してしまったボスの娘は逃げ出し、移民船に乗ってアメリカに密入国する。

一方のヴァンダム。
親戚の経営するクラブ(多分違法)で用心棒みたいなことをしていたが、家族との時間を大切にしたいのと、あと疲れたという理由で辞職。
↑疲れ果てたヴァンダム

丁度その頃、移民局の相談員として働くヴァンダムの嫁が、密入国してきたボスの娘を保護、引き取ることを決意するが、移民局のオッサンがマフィアのボスと麻薬の取引をするような間柄だったので、情報は速攻で漏洩。
娘を連れ戻しに来たボスに、嫁は斬殺されてしまう。
↑ヴァンダム界隈ではお馴染み、開始30分以内に訪れる家族の悲劇。

ヴァンダムの一人息子は、ボスの娘とともに逃げ出し、クラブ経営のおじさんに匿われて無事だったが、ヴァンダムファミリーの怒りは治まらない!
手始めに、チャイニーズマフィアの幹部の一人を、売春宿で緊縛プレイをお楽しみの最中に乗り込み射殺。
↑最高に恥ずかしい殺され方。

続いて、情報を流していた移民局のオッサンを拉致。
ドリルでドリドリに拷問してボスの居場所を聞き出した後、そのままドリドリにして殺す。
↑死を覚悟するしかないヴァンダムファミリーによる拉致。

しかし、さすがにやり過ぎたのか、ヴァンダムの身元は一瞬でばれ、マフィアの一味がヴァンダムの留守に襲撃。
オッサン二人は殺され、子供二人は拐われる。
カーチェイスの末、ボスの娘はなんとか助け出すが、ヴァンダムの息子が人質となってしまう。
残されたヴァンダムとヴァンダムの弟は、たった二人で、ボス及びその部下たちが待つ貨物船に乗り込む。

弟だけがズタボロになっているうちに、ボスまで辿り着くヴァンダム。
最後は二人とも、人質の存在をド忘れして正面から撃ち合い、ボスを倒してエンドだ!
↑真正面から堂々と撃ち合うぞ!

というわけで、お話としては実にシンプルな復讐劇。
ただ、いつものヴァンダムとはちょっぴり違うのは、裏の人間同士のハードボイルドな抗争という色合いが強く、ハードボイルディーな謎演出が多用されていることと、ヴァンダムさんサイドもそこそこえげつないということだ。

まず本作、異様に台詞が少ない。
ハードボイルドな男たちは、目や背中で語り合うので、気の利いた台詞など必要ないのだ!
↑目で語るヴァンダム、かっこいい!

それはいいのだけど、あまりにも説明不足過ぎて何が何やら分からないというきらいもなくはない。
まずもって、ヴァンダムファミリーの血縁関係がよく分からない。
ヴァンダムの弟がヴァンダムの弟だと分かったのも、かなり終盤になってからだ。
最初から出てたのにね!
いや、今振り返ってみても、あるいは血の繋がりはなかったのかも知れないという可能性も捨てきれない。
魂のブラザーってやつだ!
まあ、ハードボイルドに察しろ!ってことだ。

もう一つ、ヴァンダムさんサイドの所業についてである。
妻を殺された男の復讐劇であるところの本作、正義はヴァンダムにあるように思うかも知れないが、まあどっこいどっこいである。
ヴァンダムもボスも、ファミリーのためなら手段を選ばず何でもする、といった風情である。
漫画『スティール・ボール・ラン』で言うところの、「漆黒の決意」というやつだ。
↑躊躇わず一線を越える漆黒の決意を帯びた瞳

実際、ボスの娘を引き取ったせいで妻を殺されたと知ったヴァンダムは、幼い少女に目をひんむいて食ってかかったりしていた。
↑「何でお前なんかを…!」とブチ切れヴァンダム。

だが、中でも印象的なのは、ヴァンダムよりむしろ、テンションアゲアゲでドリル拷問に励むオジサン二人の姿ではないだろうか。
それまでは寡黙で味なファミリーといった雰囲気だったのに、急に大声を張り上げてドリルで拷問し、聞き出すだけ聞き出したら、

「お前がこの国に麻薬を持ち込んでいたのか!!」
「なんて奴だ!!
「死ね!!」

と、勢いよく殺す様は、なかなか狂気に満ちていた。

というわけで、新年一発目の『レクイエム』、いかがだったでしょうか?
「よし、今年はハードボイルドにいくぞ!」と思った人も多いんじゃないでしょうか?
いねぇか!

まあ、身も蓋もないことを言っちゃうと、34にもなって今さら、年が変わったからと言って急に何かが変わるわけもなく、今年もこんな感じでいこうかなと思います。

こんな僕ですが、今年もよろしくお願い致します。

そして、奇特な方は、ヴァンダムの幸せを祈念してあげて下さい。