夏休みに入り、
帰省してから1週間が経った。
正直帰りたいと帰りたくないの気持ちが
半分半分だった。
実家までは空港から車でおおよそ40分。
車から眺めた景色はどこも変わりなく、
懐かしかった。
広い道、錆びた看板、
野球少年たちの歩く姿、
杖要らずの元気な老人。
高校の同級生たちも相変わらず陽気で
唯一変わりがあるとすれば、
みな一回り大きくなったようにみえたことであろう。
専門学校に通ってる一人はもう今年が最後の夏休みであったり、
先生を夢とする一人は実習の準備があるのだそう。
浪人した組は今年が最初夏休みでとても楽しそうだった。
そんな中、
みんなとともに他愛のない話で笑ってるのはたしかなのに、
私の親友はどこか淋しそうな表情を浮かべていた。
その理由は彼女とその日食事していたとき
お互い通っている学校のことや授業のこと、今考えていることや将来のことを話しているうちに察しがついた。
彼女はまわりが県外へと進んで行ったのに自分自身も行きたかったのに
行けなかったことに悔しい思いと
現状に満足できていない気持ちがあった。
そのうえ将来やりたい仕事も決まっていなかったのだから、他のまわりが自分の将来のことを話していたとき余計肩身が狭い思いをしたのであろう。
思っていたよりはるかに元気の無かった彼女は、
半分諦めているかのような目をしていた。
それなのに彼女を元気つけたくて誘った食事会が全然思うようには行かなかった。
上手いこと何一つ伝えられずにただひたすら話を聞いていた。
同じく将来のことが何も見えない私が
彼女の感情に便乗するのは負の連鎖を生むだけであったし、
かといって慰めるのも滑稽であろうと思ったら何も言い出せなかったのだ。
だから私はひたすら彼女の話を聞いた。
気休めにしかならないと思ったが、その他彼女のためにできることが思い付かなかったのだ。
その後
私は将来何をやりたいか改めて考えてみることにした。
しかし気持ちが晴れるどころか、
雲が増えていくばかりだった。
私に夢があったとして、それに対して
どんな壁が立ちはだかろうとその夢を達成するために乗り越えられるだけの力は私にあるのだろうか。
親の望むものではなかった時の目。
周りから見下される視線。
諦めた作り笑顔。
考えただけで気持ち悪くなる。
爪を噛む癖が治ってたと思っていたのに、
いつのまにか私は指をくわえていた。