皆さまこんばんは、安孫子です。



突然ですが皆さま


こんなシーンに見覚えがありませんか?




コツ、コツ、コツ(廊下の足音)

「!!」

『誰か来る!』

「大変、ここにいることが見られたら」

『とにかく隠れろ!』

「隠れるってどこに…」

『こっちだ!』


ガラガラガラ



「なんだ…気のせいか…」



ガラガラガラ





「『ぷはぁーーーーーーー』」


掃除用具入れから飛び出してくる2人


「もうダメかと思った…」





青春学園ものやサスペンスもので数多く見受けられるロッカーや掃除用具入れに隠れるシーン

日本では古来より多くの漫画やアニメで表現されてきました。

これほど掃除用具入れに隠れるというシチュエーションを描いてきた民族は、世界に目を向けても日本人をおいて他にありません。


「掃除用具入れに隠れる」は、いわば日本の伝統的な表現方法の一つであり

我々日本人は掃除用具入れ隠れのパイオニアとも言えるでしょう。


その影響で、成人するまでの過程で国民の大半が一度は何かしらの作品で掃除用具やロッカーに隠れるという表現を目にしており(憶測)

その結果、我々日本人は掃除用具入れという無機質な箱に必要以上にロマンを感じてしまうのです。




さあ、皆さま


ここまではついて来れていますでしょうか?



「あ、今週は様子がおかしいやつだ」
と思ったそこのあなた


その通りでございます。


今日は全ての人に対して面白いものというよりは、刺さる人に刺されの精神で書いています。


そして、そういう時は自分が思っているほど面白くなくて痛い目を見る確率が高い事も理解しています。


しかしながら、書かずにはいられない。


何故なら今週の僕には「掃除用具入れに隠れる」以外のネタが全く浮かばないのです。


ネタがないなら無理に書かずにお知らせや食べたもの、行ったところなど日常の報告にすればいいじゃないかって?


ええ、優しいあなたはそう仰るのでしょう。


しかしながらそんなものは書きたくない。


誰もが予想できる、何の面白さもないものは書きたくない。
日常の報告が悪いとも思わないし、書く事もあるけれど少なくとも今は書きたくない。

我ながらとても面倒くさい。



さて、話が逸れました。


本題に戻るとしましょう。


僕は皆さまにお聞きしたいのです。


日本人なら誰もが憧れる「掃除用具入れに隠れる」ですが


皆さまは実際に人に見つからないように掃除用具入れに隠れた事はありますか?





僕はあります。


あれは中学生2年生の頃、バスケ部の練習試合で他校を訪れていた時のこと。


試合の合間に荷物置き場に戻ろうとテクテクと廊下を歩いていると


何ということでしょう。


自分の学校では見たことのないサイズの大きくて立派な掃除用具入れがありました。


当時から僕は身長が高い方で、170センチを超えており


自分が優に入れるサイズの掃除用具入れなどなかなかお目にかかれません。


僕は憧れと好奇心が抑えられず、吸い込まれるように掃除用具入れに入っていきました。


中に入って扉を閉じて、「なるほど、掃除用具入れに入るというのはこんな感じか」と外に出ようとしたところ


外から足音共に声が聞こえてきました。

隙間から外を窺うと、この中学校の生徒と思われる女子が2人こちらに向かって歩いてきています。

その瞬間、僕は自分が置かれた状況を理解し、戦慄しました。

中学校の掃除用具入れに隠れている見知らぬ男






完全に不審者じゃないか!

彼女達からしたら明らかにヤバいやつである。

もしこんな事がバレたら僕は一躍不審者として名を馳せて青春時代が唐突に終わりを告げてしまう。

ことの重大さに気づき、僕はガタガタと震え出しました。

絶対に見つかるわけにはいかない。
見つかれば僕は明日から一生、掃除用具と呼ばれて生きていく羽目になる。


近づいてくる彼女たちに存在を悟られぬよう必死に息を潜める僕。

ドクン、ドクン、

心臓の音がうるさい。

それもそのはず、僕は必死のあまり息を止めていた。

苦しくなって悶えたところ

ゴンッ

膝が当たり音が鳴りました。

後3メートルまで迫っていた彼女達の足が止まり、扉越しに目が合います。


「え、、今なんか音したよね、、」

休日の人気の無い校舎の廊下で、突然掃除用具入れから発された異音。

彼女達は恐怖の眼差しを掃除用具入れに向けました。

その中では僕が恐怖の眼差しを彼女達に向けていました。


「え、ヤバくない?一回戻ろ?」

2人の女子のうち、気の弱そうなおさげの子がそう言います。

僕はその意見に全面的に賛成で激しくうなづいていましたが


音の正体を確かめようと、勇気あるショートカットの彼女はゆっくりとこちらに近づいてきます。


なんていらない勇気なんだ!
友達の意見は大切にすべきだぞ!

僕は非難の声を心の中で叫んでいましたが彼女に届くはずもなく

一歩ずつ迫る彼女に、僕はなす術なく後退りをするしかありませんでした。


しかしですね、掃除用具入れの中に後退りするスペースなどあるはずもなく

後ろに引っかかっていた箒が軒並み落ちて

ガラガラガラガラ!

とすごい音が鳴りました。


すると、彼女達は
「ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!!」
と叫んで走り去っていきました。


僕はしばらくその場で動かずにいました。


そして、彼女達が十分に離れたであろうタイミングで外に飛び出しました。


走りました。

僕は全力で走りました。

誰にも見られることなく掃除用具入れから離れなければ。

その一心で走りました。

そして、荷物置き場にたどり着いた僕はやっと恐怖から解放されました。

怖かった。

本当に怖かった。

掃除用具入れは生半可な覚悟で入ってはいけない。

ロマンを追い求めるものにはリスクがつきまとうのだと、中学2年生にして僕は学んだのでした。




安孫子宏輔


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