むかし、むかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へスクワットしに行きました。
おばあさんが川でスクワットをしていると、
すといっくらこ、すといっくらこ、と大きなストイックが流れてきました。
「なんと大きなストイックじゃろう!いい負荷になりそうじゃ。」
とおばあさんは背中に担いで大腿筋をいじめながら家に帰り、そのストイックを切ろうとすると、なんとストイックから大きな赤ん坊が出てきたのです。
二人はおどろいたけれども、とてもよろこびました。
「何という名前にしましょうか。」
「ストイックから生まれたから、ストイック太郎というのはどうだろう。」
「それがいい。」
ストイック太郎はあっという間に大きくなり、立派な大胸筋をもつ男の子になりました。
ある日ストイック太郎は二人に言いました。
「鬼ヶ島に悪い鬼が住んでいると聞きました。」
「時々村に来て悪さをするのでみんな困っているんじゃ。」とおじいさんが答えると
「困っているなら解決策を考えたのですが?問題解決に向けて最大限の努力をしたのですか?そうやって不満を口にするくせに行動せず手を差し伸べられるのを待つというスタンスが、この年齢で山奥のボロ小屋に住んでいるという結果に繋がっているのではないですか?大体、普段から体を鍛えていないから怠惰な鬼なんかに遅れをとるのです。なんでより良い自分になろうとしないのですか?」
「すみません。」
「すみませんじゃなくて、なんでと聞いているんです。」
「そんなに怒らなくてもいいじゃないか。わしだって一生懸命」
「別に怒っているのではありません。やれば現状が良くなると分かっているのに行動しないということが、僕には理解できないので純粋に興味があって聞いてるんです。」
おじいさんは涙目で山へしば刈りに行きました。
「珍しいの、お前がストイックの矛先を自分にではなく他人に向けるのは。」
と何も言わず見守っていたおばあさんが言いました。
「ごめんなさい。僕はひどいことを言いました。でも、」
「わかっておる。鬼退治に行くんじゃろ。その間、誰かが村を守らねばならぬ。だからお前は子猫のような鳴き声で…じゃなくて、だからお前はじいさんを焚きつけたのじゃろ。自分の代わりにみんなを守ってもらうために。」
「お見通しでしたか。」
「安心せい。じいさんはああ見えて飛天御剣流の免許皆伝までいった男じゃ。本気になればその辺の鬼なんかには負けぬわい。それにいざとなったわしもおる。ほれ、わしは毎日鍛えておるからの。」
おばあさんはおどけた顔で見事な下腿三頭筋を見せました。
おばあさんのその言葉で3セット目のベンチプレスのように重かったストイック太郎の心はふっと軽くなりました。そして、
「おかあさん、きび団子を作ってください。ただし、」
「わかっておる。糖質は抑えて、じゃろ?」
ストイック太郎は台所へ向かうおばあさんの背中を眺めながら
「おかあさんには敵わないな。」
と小さくこぼしました。
おばあさんはでんぷんと砂糖からなるきび団子を糖質オフでおいしく作るという離れ業を見事にやってのけました。
その発想は、のちのヴィーガン料理の発展にも大きな影響を与えました。
ストイック太郎はそれを大胸筋の谷間にはさむとさっそく鬼ヶ島に向けて旅立ちました。
旅の途中、ストイック太郎は豆柴に会い、
「ストイック太郎さん、胸に何をはさんでいるんだい。」
「日本一のきび団子だよ。」
「僕に一つくれればお伴します。」
豆柴はストイック太郎から一つ団子をもらい家来になりました。
ストイック太郎と豆柴が歩いていくと、心配性すぎな猿がやってきて、
「ストイック太郎さん、胸に何を挟んでいるんだい。」
「愛のかたまりだよ。」
「一つくれればお伴します。」
猿はストイック太郎から団子を一つもらい家来になりました。
しばらく行くと、狭いところ好きのキジが飛んできて、
「ストイック太郎さん、胸に私を挟んでくれるかい?」
「このきび団子さんめ。」
キジは家来になりました。
しばらく行くと鬼ヶ島が見えてきました。
鬼ヶ島に着くと、お城の門の前に大きな鬼が立っていました。
豆柴が鬼の足に擦り寄ると、鬼は、
「汚ないわね、気やすく触るんじゃないわよこの駄犬!」
と叫ぶ言葉とは裏腹に豆柴をつんつんと指でつつき始めました。
その隙にストイック太郎は大きな石を鬼に向かって投げました。
鬼の上半身が弾け飛びました。
猿は門に登り鍵を開けました。
キジは城の石垣に隙間を見つけて挟まりました。
すると、異変を感じた鬼たちがお城から沢山出てきて、ついに大きな鬼があらわれました。
「生意気な小僧。俺様が懲らしめてやる。」
大きな鉄棒を振り回しながら言いました。
「あなたがかしらですか。」
と言うストイック太郎に鬼はいきなり鉄棒で殴りつけました。
鬼はニヤリと笑いましたが、ストイック太郎は振り抜いた鉄棒の上に立っていました。
「鉄棒は人を傷つけるものじゃない。己を鍛えるものだ。悪い鬼よ、わたしの拳を受けてみろ。」
ぽんっ
ちいさな音一つだけをこの世に残して、鬼は跡形もなく消えました。
「もう悪さはしません。約束します。これで許してください。」
親分を失った子分の鬼たちはおそれおののき宝を差し出しました。
ストイック太郎はお城の金や銀や織物や、荷車いっぴいの宝物を持ち帰り、おじいさんとおばあさんとみんなで幸せにくらしました。
完
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