皆さまこんばんは、安孫子です。



突然ですが皆さま

今日、4月25日はなんの日だか分かりますか?



察しの良い方はもうお気づきですね。


多くの日本人にとって忘れられない日


そう


僕の兄の誕生日ですね。



ありがとうございます、ありがとうございます。


兄に沢山のおめでとうをありがとうございます。


兄もまさか自分の預かり知らぬところで沢山の人に祝ってもらっているとは思っていないでしょう。


まったく、兄上は幸せ者でございます。



という事で今日はせっかくなので兄との思い出エピソードを紹介します。


これを読めば僕の兄上がいかに優れた人間で、人々に愛される素晴らしい人格者であるときっと伝わるはずです。


僕は弟として、我が兄の偉大な逸話を後世に伝えねばならぬ。


お兄ちゃん、僕頑張るよ!







さて、あれはたしか僕が小学3年生、兄が小学5年生の頃。


山々が黄色く染まり、秋も深まったある日のこと。

僕と兄は祖父に連れられ、山の麓にある祖父の畑で落ち葉を集めて焚き火をしていた。


祖父が作ったさつまいもを収穫し、土を洗い流し、そのままアルミホイルに包んで焚き火の中に入れる。


そうすると、最高に美味しい焼き芋ができるのだ。


芋が焼けるまでの間、僕と兄は畑に落ちていた細い竹でチャンバラをしていた。


小学生の男子はとにかく剣というものが好きだ。棒状のものを持つだけでもう楽しくて仕方がない。

僕と兄は少年漫画の主人公さながらに剣を振り続けた。


当時の僕は互角に戦っていると思っていたが、小学生の2歳差は身体の大きさがまるで違う。


今思うと、二つ下の弟に手加減をしつつ一緒に遊んでくれていたのだろう。
全く心優しき兄である。


芋が焼けたので一時休戦し、祖父と三人で焼き芋を食べた。気持ちの良い秋空の下、ちらほらと赤とんぼが飛んでいる畑の真ん中で食べる焼き芋はとても甘く、美味しかった。


焼き芋を食べ終わってからも兄と僕は飽きもせず戦いごっこを続けた。


畑仕事を終えた祖父は「焚き火消えるまで見とくんだぞい」と言い残して先に帰った。


ここで、保護者の目がなくなった兄弟達の戦いは一層熱を帯びたものになる。


喧嘩になる一線を超えぬギリギリのところで竹の剣を打ち込み合うが、当然僕の旗色が悪い。


『このままでは負ける』


そう思った僕は竹の先っちょを焚き火に突っ込み、先端に火をつけて叫んだ。


「炎の剣!!!」


気分は完全にるろうに剣心の志々雄真実だった。


僕の一太刀を弾いた兄が怯んだ。

「お前それ危ない!」

兄の指摘はもっともである。
保護者のいないところで小学生が遊びに火を用いるのはとても危険だ。志々雄真実は特別な訓練を受けているわけで、決して素人が真似をしてはいけない。
弟が間違ったことをしたらしっかりと注意をする。やはり兄はしっかり者である。


兄の真剣な注意を受けて僕は反省し、しょんぼりしていた。
消えていく切っ先の炎をしばらく名残惜しげに眺め、怒っているだろうかと恐る恐る兄の方に目をやる。


すると兄は自信に満ち溢れた顔でこちらを見ていた。

その手に握られた竹の先には火が付いていた。




「ファイヤーソード!!」



高らかにそう叫んだ兄がこちらに向かってくる。


ずるい。

今まさにその事で僕を叱ったのではないか!
僕は心から反省していたというのに!

僕は必死に兄の剣を潜り抜けながら理不尽というものを体感していた。

良いと思ったものはすぐに取り入れる柔軟性、そして年端もいかぬうちに世の中の厳しさを教えてくれる。やはり兄は一角の人物である。


すっかりお互いの剣の炎も消え、日が沈んできた頃兄は言った。


「宏輔、これで最後にしよう」


もうすぐ晩御飯の時間だ。遊びに夢中になりつつも引き際を心得ているあたりはやはりお兄ちゃんである。

「分かった」

僕はそう言って上段に構える。
時代劇のようにジリジリと歩みより、お互い間合いに入る。


僕は楽しい遊びの終わりに名残惜しさを感じつつも、思い切り剣を振り上げた。


その瞬間、兄の目が鋭く光った。


「六連突き!!!」

掛け声と共に兄が6発の突きを繰り出した。




突きはダメである。
剣道でも中学生以下は禁止されている。
避けにくく、受けづらい、非常に危険な技だ。
遊びでは使わないのが暗黙の了解だが、そんな常識に囚われる我が兄ではない。


5年生の本気の突きが6発、3年生の身体に的確に打ち込まれ、最後の一突きが僕の眉間にクリーンヒットした。


僕は眉間から血を流し、その場に倒れた。


その姿は完全に九頭龍閃を受けた志々雄真実だった。



涙でぼやけた視界の先に、竹を捨てて駆け寄ってくる兄の姿が見えた。

その表情はとても不安そうで、僕のことを心から心配しているようだった。

兄が僕を抱き抱える。

少し血は出ているものの、意識があることを確認して兄はホッとした様に一息ついた後、真剣な顔で僕に言った。







「おじいちゃんに言わないでね」











如何でしょうか。


僕の兄の素晴らしさが存分に伝わった事でしょう。

なんて人間らしい、愛すべき兄なんでしょう。


皆さまもどうか彼の生誕を祝ってあげてください。

お兄ちゃん誕生日おめでとう。



元・志々雄真実 安孫子宏輔



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