9月18日。






夏の暑さが、少しずつ姿を消していく中
秋の涼しげな追い風が
一生懸命
自転車を漕ぐ自分の背中を押してくれた。



僕は家の近くに聳え立つ
スーパーマーケットに向かった。



このご時世なので
マスクを着用している人で溢れている。



入り口には除菌ジュレが置かれており
新型のウイルスに対する対策は万全であり
なんだかホッとした。




僕は徐に、中へ。中へ。と
入って行った。








この時は
彼と運命的な出会いを果たすなんて
思ってもいなかった。








中に入ると
右手に野菜達が並ぶのが見えた。
色とりどりで
今にも手を伸ばしてしまいそう。



何度も攻防を
繰り広げたが



見事に、誘惑に打ち勝つ事ができ
僕は足を進めた。



歩き続けていると
今度は、湯葉刺しと書かれている
パッケージと遭遇した。



⁉︎



何故だ…




僕が最近、ハマっているのを
知っているかのように
僕の視界に映り込んできた。




何度も手を差し伸ばしそうに
なってしまった。



お醤油と少量のワサビとともに口に運んだら
それはもう怖いものがないからだ。



けど僕は、ふと
あることに気づいた。



刺し貯めしていることに。



あ、
刺し貯めとは
自宅の冷蔵庫の中に
湯葉刺しを貯めていることです。
なんのひねりもありませんが。




はい。




そうそう、
冷静に物事を
判断することができ
大人の階段を登れた気がしました。



あとで自宅で再会を
果たせばよいだろう。




そして、さらに足を進めること
20秒ほど。



鮮魚売場に
辿り着いた。



ここでも
僕を誘惑してくる強者が揃っている。




なるべく彼らと
目を合わせないようにと
歩み続ける。




ここはスーパーマーケットの中でも
特に誘惑に負けてしまう人が多発している
現場だろう。



負けてたまるか…




と…


そこである一匹の
お魚さんと目があった。




彼と数秒見つめ合った。




その時間は
鮮魚売場に流れている


お魚天国が聞こえなくなるくらい
濃密な時間だった。




僕は何度か
彼から目線を外したりしてみた。



しかし、彼はずっと僕を
見つめている。




もしかして…




僕は
彼に歩み寄った。



その時
僕は確信した。



そして
そっと彼に囁いた。



「やっと巡り合えたね」



彼と目を合わせただけで
彼が僕を求めていたことがわかった。


そして、
僕も彼を求めていたのだ。



彼の体をそっと抱き寄せ
僕の手に持つ買い物カゴに
ゆっくりと運んだ。



その後のスーパーでの記憶は
ほとんどない。



あるとすれば
ネギと白だしとみりんやら料理酒などを
購入したことくらいだ。





そして
気がついたら
自宅に到着していた。



目の前には
運命的な出逢いを果たした
彼が寝そべっていた。





僕を見つめている。



やっと巡り合えたんだ。



きっと君も嬉しいよね。



僕は嬉しいよ。







ということで
真鯛ちゃんを調理し
真鯛の煮付けを作りました。





なんて…お美しい。


お皿に盛る時に尻尾がピロっと
取れちゃったのは
誰も気づくはずもないだろう。







僕のiPhone内のカメラロールも
君で埋め尽くされている。


幸せだよ。ありがとう。




ふらっと立ち寄った
スーパーマーケットにて
君と出逢えるなんて思ってもいなかった。




また、あなたに逢える日が
来ますように。




僕と出逢ってくれて



本当に




ありがとう。





そして





ごちそうさまでした。










Candy Boy 堀 海登




















おいしかった。




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