子どものための教育学
実践編(☆:著者 T:教師 C:子ども P:親)
17 教育現場危機
C「先生、A君が遊具で鬼ごっこをしていました。」
C「先生、Bさんが内緒話していました。」
C「先生、D君が掃除をやらずに遊んでいました。」
C「先生、E君が教科書に落書きしています。」
C「先生、F君がシューズ履いたままトイレのスリッパを履いていました。」
C「先生、G君が叩いてきました。」
C「先生、H君が廊下を走って運動場に行きました。」
☆学校の先生に聞いてみると、こんな訴えで一日過ぎていくみたいです。
この先生を部長とか課長に置き換えたらどう聞こえるでしょう。
「部長、A君が仕事中に鬼ごっこしていました。」
「部長、Bさんが仕事中に内緒話していました。」
「部長、D君が仕事をやらずに遊んでいました。」
「部長、E君が説明書に落書きしています。」
「部長、F君が安全靴を履かずシューズ履いたまま仕事しています。」
「部長、G君が仕事中に叩いてきました。」
さすがに大人の世界では、こんな幼稚なことはないでしょう。
でも毎日会社で社員から部長にこんな幼稚な訴えがあったとしたらどう思い
ます。
社員同士が毎日ケンカして、社員が日替わりで問題な行動を起こしていたら。
そして、そんな出来事の中でも、仕事は進めていかなくてはいけないわけです。
「いやいや、さすがに大人社会ではそんな単純な問題はないですよ。もっと複雑で根が深い問題はあるかもしれませんが。」と思われるかもしれませんが、給料をもらって仕事をするわけですから、ほとんどの大人は、そこのところはわきまえて、仕事は仕事として進めていると思います。
ところが、子どもたちは違います。
まず給料をもらっていませんから、大人が真面目に仕事をするのと、子どもが真面目に勉強するのとでは、大きく違います。
学校という場所は、基本的に授業を通して学習することが目的になっている場所です。もちろん社会性や人間性も含めて勉強ですが。
子どもたちはそこへ行き、先生の話を真面目に聞いて、真面目に勉強して家に帰る。
そして、先生方は、子どもが帰ったあとの時間で、次の日の授業の準備をしたり、教育委員会からの書類や研修に時間を使います。
ところが、いざ1日が始まると
C「先生、A君が遊具で鬼ごっこをしていました。」
C「先生、Bさんが内緒話していました。」
C「先生、D君が掃除をやらずに遊んでいました。」
C「先生、E君が教科書に落書きしています。」
C「先生、F君がシューズ履いたままトイレのスリッパを履いていました。」
C「先生、G君が叩いてきました。」
C「先生、H君が廊下を走って運動場に行きました。」
と、子どもたちは訴え、それに対応しなくてはならないのです。
実に過酷ですね。
話を聞くだけで、「転職されたらどうですか」と言いそうになります。
さらに、「先生の教育方針は、我が家の教育方針とは違います。」までならいいんですが、「だからやり方を変えるべきです。」と、学級経営を含めて担任に過剰な要求すらあるそうです。
教員の精神疾患者数は、2024年度には1万3000人を超えたそうです。これは同年度の交通事故死者数2663人の5倍の人数になります。
かつて交通事故死者数は、1万人を超えていました。それが今では、その4分の1にまで減少しました。それは何十年もの間、交通事故死を無くす努力をしてきた結果です。
子どもたちを育てる大切な職業は、日本の未来すら担っているのです。
その先生方が、精神を病んでしまう教育現場は、危機的状態にあると言わざるを得ません。
日本の未来のために、どうかみんなで改善していけないものかと祈る思いです。